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楽毅 宮城谷昌光著 最終更新05/10 '09


1997.09新潮社刊行。
楽毅(がくき 生没年不明)は中国戦国時代の燕国の武将。燕の昭王を助けて、斉を滅亡寸前まで追い込んだ。昌国君、または望諸君とも呼ばれる。諸葛亮孔明が憧れた二人のうちの一人。
中国戦国時代の小国中山国の宰相の嫡子と生まれ斉に留学。斉の孟嘗君の知己を得る。アホな王のお陰で亡国の憂き目に遭うも、燕の昭王からの招聘を受け燕の武将として斉を治めるもつかの間、燕の昭王の後を継いだまたもや愚か者の王に疎まれ趙に亡命。
ほとほと上司に恵まれない有能なサラリーマンのような人生。
しかしながら、その時その時代を一生懸命生きたその生き方は感銘を覚える。こんな潔い人生を歩めるだろうか?

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★★★★☆
★★★★☆
★★★☆☆

晏子 宮城谷昌光著 最終更新05/15 '09


1994.10新潮社刊行。
晏子(あんし)と呼ばれた斉の名宰相、晏嬰(あんえい)とその父親晏弱(あんじゃく)を描いた物語。
前半部が晏弱、後半部が晏嬰の物語。晏弱時代の方が面白かったという人が多いが、僕もそう思う。
絶体絶命の危機であった「断道の会同」を自らの機転により死地を脱し、君主に認められてからは、難問をその知略を持って解決していく姿。その割には余りにもあっさりと死んでしまう退き際の良さと言い銀河英雄伝説のヤン・ウェンリー並みの男前。前半の晏弱に強い父親の像が浮かぶ。
その父親から物語は堅物の息子晏嬰に代わる。時の君主に愚直に諌言を食らわしまくっても殺されなかった晏嬰。
羊頭狗肉の諺は晏嬰の「牛頭馬肉」の言葉から生まれた。
出来の良い父親の後を継ぐ出来の良い息子は父親とは違う生き方をするが、本当は父親がなし得なかった生き様を息子が実現した…といえるのではないだろうか?と思える。

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★★★★☆
★★★★☆

沙中の回廊 宮城谷昌光著 最終更新06/17 '09


2001.01刊行。
春秋時代の晋の宰相士会の物語。時代的には子産の少し前の話。
晋の文公(重耳)が晋に戻って国を復興するが、それに反発する郤氏が乱を起こし失敗するところから物語りは始まる。

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★★★☆☆
★★★☆☆
★★★☆☆

香乱記(全4巻) 宮城谷昌光著 最終更新07/08 '09


2006.04刊行。
戦国時代の斉王・田氏の末裔、田儋<(でんたん)>田栄<(でんえい)>・田横、田氏三兄弟の物語。
始皇帝が天下統一を果たし斉は滅亡したが、始皇帝滅後、またもや世界は揺れ動く。そして項羽と劉邦が天下の覇を競って争うが、その中にあって理想の国家を造ろうとする田氏。
しかし、同盟を組んでいたはずの劉邦に裏切られ滅亡する。
項羽は単なる人殺し、劉邦は大嘘つきの盗人、単なる小心者韓信…正義は必ず勝つとは限らない…英雄とは本当に英雄だったのか?!と考えさせられる作品。
司馬遼太郎の「項羽と劉邦」が余りにも虚しく思えてしまう…。結構この作品の中の劉邦や張良は大好きだったのに…。
歴史とは多面的に見なければならないものらしい…。歴史観とはある一方方向からだけ見ていては、見落としてしまう事が多いという事か…。
今までの常識を覆してくれた作品としては「太公望」以来の衝撃。


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