―公嘱協会は公共嘱託登記の手続きを受託処理できる唯一の社団法人です―
不動産登記制度は、不動産の表示に関する登記と、権利に関する登記の2種の登記に大別されて います。この2種の登記は、個々に独立されていて、不動産の表示に関する登記は、不動産の権利の客体である土地及び建物の物理的状況を公示して、その取引の安全を図ると共に、行政機関の基礎
資料としての役割等も担っています。
昭和35年の不動産登記法の一部改正により不動産登記制度と台帳制度とが一元化され、昭和44年 に全国のすべての登記所において一元化作業が完了され現在に至っています。
登記簿と台帳の一元化は、登記簿の表題部と従来の土地台帳及び家屋台帳を一体化し、両者の機 能を持たせることを目的とした事業であり、その結果、登記簿の表題部にする表示に関する登記は、権利に関する登記から独立した登記として位置づけされました。
他方、昭和25年に土地家屋調査士法が施行されましたが、この制度には、「この法律は、土地家屋調 査士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実 施に資し、もって不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的とする。」と法の目 的を明示し、また、「調査士は、他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記につき必要な土 地又は家屋に関する調査、測量、申請手続又は審査請求の手続をすることを業とする。」とその業務を明確にして、不動産の物理的状況の正確な公示を補完する機能を制度上に持たせたのです。
このように、不動産の表示に関する登記手続は、土地家屋調査士の専管業務として法的に位置付けられています。
こうした土地家屋調査士の職能集団である公嘱協会は、昭和60年の土地家屋調査士法の一部改正 により、官公署等の公共の利益となる事業を行う者による不動産の表示に関する登記に必要な調査若しくは測量又はその登記の嘱託若しくは申請の適正かつ迅速な実施に寄与する社団法人として、
全国に50協会が設立されたのです。
このような公嘱協会という職能集団が、国の施策として、法律により登記手続の補完機関として設立を求められた理由について、第102国会において、当時の島崎法務大臣から法案提出案の趣旨説明が以下のとおり行われました。
(趣旨説明要旨)
「官公署等が公共の利益となる事業に関して行う不動産の登記の嘱託または申請に必要な手続 は、その規模、性質等にかんがみ、専門的知識、技能を有する司法書士または土地家屋調査士が組織的に受託して処理することが望ましいところでありますが、現行法のもとでは種々の隘路があり、司法書士または土地家屋調査士がこれらの登記の嘱託等の手続の受託をしているのはわずかの部分にしかすぎず、これがひいては官公署等のする登記の嘱託等の手続の適正、円滑な処理の目的
を十分果たし得ない実状となっております。
そこで、官公署等が公共の利益となる事業に関して行う不動産の登記の嘱託等の手続の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的として、司法書士または土地家屋調査士を社員とする民法第34条の規定による社団法人が当該嘱託等に係る事務を受託してこれを処理することができるものとする制度を創設することとしております。
右に述べました社団法人制度の創設を認めることに伴い、所要の罰則の規定を設けるとともに、罰金及び過料の多額を引き上げることとしております。
以上が司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の趣旨であります。」
更に、公嘱協会が設立されたと同時に「罰則規定」も改正され、土地家屋調査士又は公嘱協会以外のものが、業として土地家屋調査士業務を「受託・処理」することは、土地家屋調査士法に違反することになり、調査士業務を官公署等から受託した者(法人を含む)と、その業務を実際に処理した者に罰則規定が適用される「両罰規定」が新設されました。
