年越し南北大東島 その9
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朝7時頃起きる。いよいよ今日で大東島ともお別れだ。結局南北合わせて5泊してしまった。もっとも、他のキャンパーはもっと長くいるのだが。何かの本に載っていたがこの島を気に入って1週間くらい泊まる人もいるそうだ。何となくわかるような気がする。
北海道でもそうだが、沖縄の島も長期滞在者やリピーターが多い。行ったことはないが石垣島の米原キャンプ場では長期滞在者が多いという話だし、竹富島では気に入って旅の期間中ずっといた人もいた。また波照間では11回訪れた人にもあった。 夏の北海道と違ってなにやらのんびりした時間の流れを感じてしまう。北海道に比べて旅人の層も違い、高校生や大学生が少ないのが沖縄の傾向だ。おそらく北海道に比べて時間(船)やお金(飛行機)がかかるというのが原因だろう。これまで私も北海道に10回以上行っているが、そろそろ沖縄の島にもはまるかな、と思われる。
朝食用の米を炊き、お茶漬けとみそ汁、そして昨日もらった山羊刺しの残りを食べる。できるだけ荷物を軽くしたいのでワタガラスもすべて食べ、食後に残り少なくなったガスを使い切って荷物を減らしてゆく。飛行機が朝便なので急いでパッキングをしてからみんなに挨拶をして9:15キャンプ場を出発する。自転車日本一周の人は寝ていたので別のキャンパーに言付ける。いつものようにいちいちキャリアに椅子をくっつけてその上にザックを置くのは時間がかかるので、重いザックを我慢して背負って空港まで走ってゆく。坂を越えるのはきついのでフロンティアロードを走り、島の中央部を抜けて空港目指してペダルを漕いでゆく。それにしても背負ったザックがとても重く、すぐに足が止まりそうになる。久々に重い荷物を持ち、それもいつもはキャリアに載せているザックを背中に背負っているのでとてもしんどい。だが時間があまりないので疲れた足にむち打ってペダルを漕ぐ。この飛行機に遅れたらいつ帰ることができるかわからない。約30分で空港に到着する。
玄関前で急いで自転車を分解、パッキングしてから手荷物を預ける。今回の手荷物の重量は輪行袋14kg+ザック17kgだが、超過料金はサービスしてもらって10kg分だけでよくなった。ありがとう。待ち時間を利用して土産物屋に行って絵はがきを探すが売り切れていた。キーホルダーや小物を自分の土産にする。キーホルダーはこれから集めていってザックにつけていこうと思う。土産物屋の人に挨拶する。しばらく待っていると元旦に休憩中に出会った2人組と再会。そういえば彼らもこの飛行機だった。搭乗ゲートをくぐるもののどうもゲートの電源は入っていない。これなら何を持って入っていっても見つからないが、ハイジャックしようにも海外まで飛ぶ燃料を持ち合わせていないのは明白だ。そんなしょうもないことを考えつつも機内に乗り込む。彼らは一番前の窓側で、私は一番後ろの通路側だ。遅く来たので通路側は仕方がない。そしていよいよ大東島とも別れ、機上の人となる。
機は旋回して一路那覇へ向かってゆく。どうせしばらく海しか見ることがないのでコーラルウェーを読んで気を紛らわせる。紅白で聞いた「サトウキビ畑」の旋律を思いだし、なにやら感慨深いものを感じる。次のGWのことを考えると、渡松さんから聞いたトカラのことを思い出す。今まで6回のGWで本州、九州の海岸線を走り、日本一周を目指していたが、どうしてもトカラに行きたくなってきた。今世紀中に人力で日本一周を完成させようと思っており、残りも本州の太平洋側のみとなってきたのでどちらにしようかと迷う。もしもトカラならば船は4日に1便だけであちこち行くことはできないが、それを言ったら今回の沖縄もそうだ。うまくいけば2航海分で3島位は訪れることができるかもしれない。どうせなら奄美大島も行ってみたいが、奄美大島は自転車にとってきつい島ベスト3に入るらしい。再び対馬のように疲れ果ててしまうのだろうか?しかしいつかは行かねばならない。
今までの旅はどれも期間が短かったものの、ほとんどが移動型の旅だった。今回は久しぶりに、おそらくは6年前の小笠原以来の滞在型の旅となった。キャンプでの滞在は初めてのことだ。1つの小さな島に2日間フリーでいるのは気分をリフレッシュする事ができてよかったと思う。キャンプ場でごろごろするのもたまにはいいだろう。南大東島に惹かれて居着いてしまうのもわかるような気がする。夏の北海道のキャンプ場とは違い、静かでとてものんびりした時間が過ぎ去ってゆく。
久々に沖縄を旅したが、北海道と同様これからもまた一段とはまっていきそうな感じがする。これからの冬休みはスノーボードをやめて沖縄などの南の島の旅にしようかとも思う。
1時間くらいすると、機はだんだんと高度を下げだした。右に津堅島、右下に久高島、そして遠く右にどこだろうか島影が見えだしてきた。大東島とは違った海の色を見せてきた。大東島は深い青だが、ここはエメラルドグリーンの淡い色を見せている。それにしても飛行機から見たら那覇市内は建物が多く、とてもごみごみしている印象がある。もっともここ1週間ほど大東島でキャンプを送っていたので強く感じてしまう。久々に町を見て感動するが、それもすぐにやんでしまう。
那覇空港に到着。3人で昼食にでもすることにする。どこに行こうかと考えていると一人が「ステーキハウスジャッキー」を勧めていたので行ってみることにする。だが私は自転車などがあり、とても荷物が多い。また、今日の宿を決めていない。YHにでもしようかと考えていると一人が沖縄国際YHの予約を取るというので私もついでに頼む。もう一人は石垣に行くらしいが迷っているようだ。
まずは空港からタクシーに乗って、輪行袋やザックはトランクに入れて「ステーキハウスジャッキー」に行く。とりあえず輪行袋やザックを持って入り、椅子の上に立てかけておく。壁のメニューを見ると、一番安いランチが500円もしなかったように思う。とりあえず我々3人はテンダーロインのMを頼む。もちろん焼き加減も自由で、私はレアにする。ボリュームもあり、ライス、サラダ、スープがついていて1400円は安いと思う。1人は八重山によく行っており、大阪の人だが石垣から直接大阪に帰るのではなくて、いったん那覇に降りてここにいつも来るとのことだ。このボリュームでこの安さ、それにこのうまさだと、それもわかる。今度八重山や宮古に行った帰りは立ち寄ろう。もしも私一人で行動していたらここを知ることはなかっただろう。旅は道連れ世は情け、とは言ったものだ。今回の旅の大きな収穫だ。それにしても荷物を持って入ってくれてありがとう、大変助かりました。大阪の人も結局一緒にYHに泊まることにした。
食後、タクシーを拾って沖縄国際YHまで行って受付を済ます。自転車を組み立てて立てかけておく。それから3人で国際通りを抜けて公設市場まで行くものの、今日は休みで仕方なくぶらつきながらYHへ戻る。途中で三線を売っているところがあり、前から三線がほしかったのでしばらくは買おうかどうか迷うが、結局はまたの機会にする。
泡盛の専門店に立ち寄り、色々見て回ったり試飲したりする。4年前もここにきて、そのときに見つけた「どなん」「与那国」「舞富名」以外の花酒が今回もあった。店員に聞くと、3品と同じものだが、古酒を混ぜているとのことだ。
YHに戻り、洗濯をする。ここ1週間ほど全く洗濯をしていなかったのでここぞとばかりに洗い物をする。YHでは夕食をやっていないので近くの那覇そばで夕食にする。色々話しているとどうやら私のホームページを見たことがあるとのことだ。島談義に花を咲かせ、沖縄料理に舌づつみを打つ。
再びYHに戻り、2階の自動販売機にあった「ミキ」等を飲んでみる。「ミキ」はでんぷん糊を薄めて少し甘くしたような感じでどろっとしている。私はとても気に入った。そのうちに1カートンどこかで買っておこう。同じ会社の別の飲み物を買ってみるが、ショウガ湯のような感じでどこでもありそうなのであまり気に入らなかった。
そして久々に入浴する。島でのキャンプ中風呂どころかシャワーも浴びなかったのでとても気持ちがいい。すっかりのびきった無精ひげもきれいさっぱりとそり落とす。風呂から上がったら誰かに話しかけられ、見ると4年前にここのYHの前身である那覇YHで同室だった市川さんだった。
部屋に戻り、色々話していると市川さんがやってきて色々と話をする。どうやら沖縄には10回以上も来ているとのことだ。沖永良部や与論にも行っており、私も奄美諸島に行きたくなった。話を聞くと、観光地化された沖縄とはちがった素朴な南の島という感じがする。ぜひ一度訪れてみたい。話をした後22:30頃寝る。
本日の走行距離:7.8km