年越し南北大東島 その8


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 朝7時前に起きる。普段なら遅くまで寝ているがキャンプの朝はいつも早い。米を炊いてお茶漬けを作り、昨日の魚の身をほぐしたものを入れると、お茶漬けだけよりも格段においしくなった。やっぱり料理は工夫次第でうまくなる。食後、後かたづけをしてから昼頃までテントでうだうだ過ごす。キャンパーに北大東島のことを聞かれる。日本一周中の自転車で、年越しをここ南大東島でやっている。今まで走ったところや島の話をいろいろする。彼は会社を辞めて一気に日本一周、そして私は会社の休みの旅に色々回っている違いはあるがやっぱり同じ自転車同士、心の通じ合うところがある。

 昼頃から今日は島の北側を回ってみる。サトウキビの畑を左手に見ながら走ってゆく。だいたい1/4周ほどしたところで展望台らしいところを見つけたが、結局最後までどこにあるのかわからずじまいだ。島の北側にある北港らしいところに立ち寄る。道路から海側へそれて、しばらく細い道を下ると小さな港らしいところに出た。幅が5m位の階段が海面まで下りているが今日も波がきつい。岩を見るとサンゴでできているようだ。北には北大東島がぽっかりと浮いているが、空気があまり澄んでいないのでちょっとぼやけて見える。けっこうゴミが浮いているものの海の色は北大東島と同じくきれいな青い色をしている。波が打ち寄せると、青白く波が泡立つ。カロリーメイトを食べていると車で家族連れがやってきたので挨拶。家族が帰ってからもしばらく北大東島を眺めており、サンゴに自転車を立てかけて北大東島をバックに写真を撮る。できた写真をサイクルスポーツ誌に送ってみよう。

 再び道を走る。所々島の中が見えるところに出て、盆地のような地形を眺めながらペダルを漕ぐ。そしてしばらく走ると空港に到着した。空港はまだ飛行機がこないので人がおらずにとても寂しい雰囲気を醸し出している。しばらくすると、キャンプ場に来ていた人がやってきた。名前を渡松さんといい、大東島へは何回か来ているベテランだ。大東寿司やみかんをもらい、色々と島の情報を聞く。旧空港の滑走路に入ることができるとのことを聞いたので早速行ってみる。

 島の中程にある旧南大東空港へ行くと、建物はあるものの人の気配が全くせずにゴーストタウンのような感じがする。フェンスの間を自転車を押して入ってゆくと、そこは飛行機の滑走路だった。とりあえず端から端まで往復するが、路面はあれており走りにくい。自分が飛行機になった気分でペダルを踏み込み加速する。それにしても人気が全くしないので薄気味悪いところだ。空港を後にしてスタンプをもらいに役場まで行ってみる。記念スタンプを押させてもらうと、「星野洞へは行かれましたか?」と言われ、とりあえず見学してみることにする。鍾乳洞の鍵を借りて星野洞までペダルを漕ぐ。途中にはサトウキビ畑が広がっているだけだ。鍵は1時間くらいしか借りることができないので道を急ぐ。

 役場から2kmほど北へ行ったところに星野洞はあったが、入り口がよくわからなかった。ふとみると、こんもり土が盛り上がったところがあり、そこにドアがあったので鍵を開けて入ってみる。コンクリートのトンネルが50m位下り、入り口に電源盤があり、まずは鍾乳洞内のライトの電源を入れてからコンクリートのトンネルを下ってゆく。それにしてもとても響き、なにやら気持ち悪い感じもするがここまで来たら引き返すことができないのでどんどん進んでゆく。

 すると、一番下にまたドアがあったのであけてみるとそこが鍾乳洞だった。中は当然のごとく湿度100%でとても蒸し暑く、汗がしたたり落ちてくる。センサーが人を関知して、進んでいくうちにつれて明かりがどんどんともってくる。最初はびっくりしたがなかなか趣向の凝った仕掛けでおもしろい面もある。それにしてもこんなところに私だけなのはとても寂しい。もしも地震が起こったら私は間違いなく助からないだろう。鍾乳洞内の通路は大きく2つあり、両方回っても10〜20分くらいで回れてしまう大きさだ。しかし床や手すりが濡れており、危なっかしいので注意して進んでゆく。鍾乳洞を見るのは秋芳洞以来だろうか?石筍や鍾乳石は久しぶりに見ることができた。秋芳洞のように説明があるわけではないが、こじんまりしてなかなかよかったと思う。しかし今度は複数で来たいところだ。

 再びコンクリートのトンネルを上り、電源を落として鍵を閉めて外に出る。それから役場に戻って鍵を返し、フロンティアロードを通ってキャンプ場に戻る。フロンティアロードを通ると、キャンプ場に戻るときに坂をいちいち上らなくて済むので楽だ。途中の林のトンネルでは潮岬でも同じような林のトンネルがあったので思い出す。空港で渡松さんが言っていた売店はどこにも見あたらず、寿司や食料を買うことができなかったのは残念だ。

 キャンプ場に戻り、しばらくすると渡松さんがやってきたのでビールを飲みながら話をする。聞いてみると、トカラ列島も旅されたということだ。トカラの話を聞いて私も無性に行きたくなった。できたら今年のGWにでも行ってみようと思う。

 今日の夕食は、明日で島を出るのでスパゲティ2食分を食べる。那覇に戻るときに持っていく荷物をできるだけ少なくしたいからだ。しばらくすると、池田さんがやってきて今日は牛タンを持ってきてくれた。早速網で焼く。今日もテレビを見てから21時頃テントに入って眠りにつくが、しばらくしたら周りが騒がしくなってきた。どうやら地元の人が飲み会でもやっているのだろう。うるさくて眠れないまましばらくすると、誰かがテントの方にやってきて「一緒に飲みませんか」と誘ってきた。別のキャンパーも参加したので私も起きてから一緒に混ぜてもらう。島にいる人や帰省中の20歳くらいの人が10人くらいおり、色々話をする。昨日日の丸展望台にいた人もいた。山羊刺しやら泡盛やら色々もらう。2時頃まで飲んでテントに入って寝る。明日は朝の便だが起きることができるだろうか?ちょっと心配だ。

本日の走行距離:32.6km




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