年越し南北大東島 その5
12/30
朝7時前に起きる。天気は今日も晴れだ。早速昨日の残りのご飯でお茶漬けの朝食にする。食後、昨日の洗い物も一緒にする。ここはキャンプ場ではないので誰かが来てテントを片づけてしまう可能性もあるが1日中小さな島で重いキャンプ道具を持っていくのも何なので、結局はテント一式を置きっぱなしにして自転車で島内探検に出かける。なんせこの小さな島で今日1日フリーなのだ。あちこち行ってみよう。
まずは島の西側にある郵便局へ行く。島で唯一の郵便局だ。まあ考えてみたらこの小さな島、それも集落が2つくらいしかない島で郵便局をたくさん作っても意味がない。おまけに2つの集落も自転車で10分位しか離れていないのだ。旅のお約束の100円貯金をする。もちろん郵便局の判子と局長印を忘れずにもらう。局長さんから「観光ですか?」と話しかけられ、少し話す。明日行く南大東島のことを聞くと、畑はこちらとあまり変わらないが見るところはこちらよりも多いそうだ。明日が楽しみだ。
次にすぐそばの西港を見学する。大きなクレーン車があり、おそらく船が着いたら人や荷物をこれであげるのだろう。一度船で来てみたい、そしてクレーンであげられて上陸してみたい。ふと南を見ると、南大東島がぽっかりと見える。わずか8km位しか離れていないのに2島間の水深は2800m位だそうだ。一度海底から眺めてみたいが海底は光が届かないのでよくわからないだろう。
港の周りには昔の建物がガレキと化している。おそらくリン鉱石採掘の建物だろう。海を見ると所々青くきれいな色をしている。海底に白いサンゴか何かがあり、こんな青い色を見せるのだろう。それにしても波が高い。これがもし台風だったらどんなに波がすごいのだろうか?それよりも台風の日は船はおろか飛行機も欠航してここへは来ることができないだろう。少し離れたところから港を見ると、岸壁の高さがよくわかる。おそらく10mはあるだろう。波が常に荒く、もしもふつうのような低い岸壁を作っても船はうまく着岸できないからだろう。それにしても一番最初に来た玉置半右右衛門には恐れ入る。周りがこんながけだらけの島によく来たものだ。
しばらく港にいた後、再び自転車を漕いでテントまで戻る。近くにJAがあるらしいので探すと今日も開いていた。聞くところによると今日の4時で店を閉めるようだ。他に何か食べることのできる店を聞いてみるがどうやらどこもしまっているとのことだ。仕方がないのでここで昼食用の食料を買う。ついでに鰹のワタガラスも買う。これは鰹の腸の塩辛のようなもので酒のあてにはいいだろう。
再びテントに戻り、昼食にラーメンを作る。さっき買ったソーセージとワタガラスも食べる。ワタガラスは塩辛みたいに塩辛く、酒のあてにはいいだろう。JAでは常温でも1週間はもつ、と言っていたので信じよう。椅子の上にエアマットを敷いたら座り心地がよくなった。ついでに食後少し寝ころぶ。
食後、ジャグリングの練習をする。持ってきたのはデビルスティックとけん玉で、デビルスティックはザックの脇に差せばじゃまにならない。最初、クラブやボールも持ってこようと思ったがボールはともかくクラブは荷物になりそうなのでやめた。ラジオを聴くと、沖縄本島は曇りのち雨とあるが大東島は晴れ、沖縄の広さを感じさせる。
しばらくすると空が曇って来だした。上に着てから再び西港へ行く。西港近くの売店に行って国標の位置を聞く。どうやら崖の上にあるようだ。すると昨日会った家族に出会い、お母さんも登っていったそうなので私も行ってみる。港近くの工事現場の崖の上にコンクリート製の国標はあった。崖と言っても回り道をしたらよじ登ることはない。いばらのような鋭く長いとげを持つ植物をよけながらたどり着くとコンクリートの高さ約2mほどだろうか、国の標識である国標がそこにはあった。日本で唯一のものらしい。元は明治に建てられたが昭和12年に今のコンクリート製になった。あまり大したことはない。見たら大したことはなかったものは札幌の時計台、能登の「さざれ石」などだ。しかしやはり日本の証である国標、それもここにしかないので一応見る価値はあるのだろう。ちょっと高台になっているので多少は景色がいい。もう少し登ってみるが、草がじゃましていい景色を得ることができない。しばらく南大東島を眺めた後、すごすごと戻る。
その後、島の南側を走る。南にある港から海沿いにきれいにアスファルト舗装されているところに入ってゆく。風は追い風、とても楽に走ることができる。2kmほど走ったところで行き止まり。実はまだ工事中の道路だった。仕方なしに向かい風の中引き返してゆく。
そして空港に到着、これで2日がかりで北大東島を一周する事ができた。とても暑く感じるので空港内の食堂に入り、かき氷を頼む。まさかこんな年の瀬に暑くてかき氷を食べるなんて向こうではないだろう。さすが南国沖縄、それも今年は特に暖冬ならではのことだ。
再び島の北側を走り、北海道のような風景を見つつテントに戻る。テントは大丈夫だった。そして夕食の準備に取りかかる。とりあえず今日はスパゲティにレトルトのソースに今日買ったコンビーフを混ぜ、その上にワタガラスをのせたものを食べる。レトルトに何か加えるとレトルトだけよりもおいしいような気がする。料理中もそうだが、夕方になると風が強くなってきた。ガスの火が消えないように注意しつつスパゲティをゆでる。食後に後かたづけをしていると雨が降ってきだした。外にいても仕方がないのでテントに入り、18:30頃寝る。仕事ならやっと夕方の休憩に入ったくらいだろう。キャンプではお日様が出る頃に起きて、お日様が沈む頃に寝る。とても健康的だ。
本日の走行距離:24.8km