紀伊半島一周自転車旅行 その8
菅島灯台にて地元の子供たちと

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朝5:30ごろに目が覚める。しばらくしたら雨もやみ、少しだけだが空も明るくなってきた。今朝は8:45の菅島行きの船に乗ればいいのでゆっくりできる。昨日買っておいたパンを食べ、テント内でランタンを焚いてテントの中を少しでも乾かす。そして荷物をまとめる。堤防でマットを干しているといきなりテトラポットの下に落ちてしまったので、注意しながらマットを取りに行く。しかし風が強すぎるのでテントをたたむのも一苦労だ。仕方が無いのでテントを無理矢理丸め、空気を抜いて袋に入れる。

 港へゆくと、大きなザックを背負ったバックパッカーがいたので挨拶する。彼らは神島に2泊して、あちこちの島へ行っているそうだ。青ヶ島も行っており、話に興味を憶える。しかし同じように島が好きな人たちと会えてうれしい。船が来たので乗り込む。そして菅島に到着。ここでは私一人だけが下船した。バックパッカーに挨拶する。

 下船後、とりあえず灯台へ行ってみる。しかし道がよく分からない。途中で地元の子供に話し掛けられ一緒に行く。まずは山道を押し、自転車をおいて港と反対側の海岸まで下りる。そこでしばらく時間をつぶす。海岸にはウミソウメンやらコンブやらが落ちている。再び自転車まで戻り、灯台へ行く。えらい小さな灯台だ。ここで子供たちと記念撮影する。その後、知らないうちに子供たちとはぐれてしまい港まで戻り、鳥羽行きの船に乗る。そして今度は鳥羽港に着く。

 次の答志島行きの船の出港までまだ2時間くらいあるのでここで昼食にする。港の2階に魚のバーベキューがあるのでここで昼食にする。鯛やカレイなど色々取り、それに手ごね寿司も頼む。見晴らしのいいところに案内してもらい、ここでしばらく書き物をする。そのうちに魚が調理されてやってきた。カレイは生きているものがそのままやってきた。そのまま焼くと、しばらくバタバタ動かしていたがそのうちに動きが止まってしまう。食べてみると生焼けだったがうまかった。また、その他の魚や貝もうまい。そのうちに手ごね寿司がやってきた。これもまたうまい。結局勘定は3000円を越えてしまったが、この旅唯一の贅沢だ。まあたまにはいい
だろう。

 その後答志島行きの船に乗り、島へ渡る。例のごとく自転車を船内に乗せる。答志島で自転車を降ろす時に出入り口が上の方なので、一度船内の狭い階段を自転車を持って上がる。一番端の答志の集落から走りはじめる。途中、「答志島温泉」があったが通り過ぎるだけだ。島の中ほどの山を抜けるので結構高いところまで上らねばならないが、坂の勾配はさほどきつくはない。途中の上からの眺めはすばらしい。自転車で走る島としては、今まで走った島のうち、恐らくベスト10に入るだろう。

 何とか反対側の桃取の集落に着く。しばらく走ったら港だ。ここの手すりに濡れたシュラフ、テントなどを掛けてしばらくの間乾かす。船の出港時間がやってきたので急いで取り込む。それから切符を買って急いで船に乗る。 鳥羽まで戻り、少し時間があるのでもう一つの港の中の郷まで走る。途中の真珠島に行こうと思ったが入場料1200円は高いので止めにする。中の郷の港で残る1つの島坂手島への時間を見ると、鳥羽港よりもこちらの方が早いのでここから坂手島に渡ることにする。

 10分位で坂手島に着く。この島は円形の島だが、一周道路はなく、途中までしか道はできていない。とりあえず港から左側に行けるところまで行ってみる。全くフラットだが風がきつすぎる。次に右側へ行ってみる。灯台までは道があったが、それ以上は道が無いのでそこまでにする。灯台のあたりからは神島、答志島、菅島が見える。また、地図で確認すると、神島の向こうにいらご崎が見える。この島は道が細い。

 港まで戻り、中の郷まで戻る。港を出たところで数人のランドナーが走っていたのでその後をつけて行く。すると、鳥羽駅で止まり、見ると20人くらいいた。聞くと、京都大学のサイクリング部だ。結局彼らの内の2回生のグループと今日は行動を共にする。どうやら少し戻った安楽島の野球場でテントを張るらしい。まずはジャスコで今日の夕食の食料を買う。メニューはキムチ鍋だ。やはり大勢いたら色々自分たちで作ることができる。一人だとどうしてもレトルトに頼ってしまう。そして酒でもおごってあげようと思い、ビールと日本酒を買ったら彼らに「いいですよ、割り勘にしましょう」といわれてしまうので割り勘にする。

 それからキャンプの場所へ行く。まずはお風呂セットだけを持ってゆき、数人で風呂へ行く。「かんぽの宿」だ。そこまで10%以上の坂を必死で登る。しかし彼らはさすがサイクリング部、旅したときの荷物で楽々と上ってしまう。すごい。私には到底真似ができそうに無い。500円を払い、風呂に入る。新宮のYH以来久しぶりの風呂だ。ついでに伸ばしていたヒゲも剃ってしまう。さっぱりとして気持ちがいい。 風呂から上がり、みんなで戻る。高台にあるので夜景がきれいだ。

 帰ってみると風がすさまじい。その中で米を炊き、調理をしたり大変だ。最初、サイクリング部のバーナーで炊いていたが途中で火力が弱くなり、私のバーナーを出す。しかし風が強く、そのうちに火が消えてしまい、回りにガソリンが吹き出してしまう。また、暗いのでランタンを出すが、この強い風の中なかなか着火できない。しかし何とか調理を終え、そのうちに買っておいた酒が出る。

 風の中テントの設営は困難を極めた。サイクリング部のテントは4人用で、けっこう大きいので大変だ。私も手伝う。彼らが設営し終えてから私のテントを設営する。ペグを打つ木づちを借りる。これは便利だ。一人だと荷物になりそうなので持ってこないがあれば便利だろう。テントを設営し終え、荷物をテントの中に入れる。今日はシュラフ、マットくらいなのでいつもに比べて広々としている。そのうちにサイクリング部から「酒を飲みませんか」と言われたので彼らのテントに入り、飲まさせてもらう。こういう若い人たちの中にいると、まるで自分まで若返ったような気がする。自分も学生時代を思い出す。途中、上級生が入ってきた。まるで自分も彼ら2回生になったようでその上級生が自分よりも年上に感じられた。しばらく色々話してから自分のテントに戻って寝入る。しかし今日は若返ったようだ。

 結局今日は進むどころか少し引き返してしまった。まあいいだろう。予定など絶対に予定通りに行かないものだ。またそのうちに今回走り足りないところは走ればよい。

本日の走行距離 28.3km



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