94年北海道 日本海ツーリング その9


一千万円のトイレへの道

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 朝、6時半頃目が覚め、朝食後、船で舞鶴、新潟へ帰る人を見送り、また宿に戻る。結局今日は素泊まりで連泊し、小樽の町をぶらつくことにする。連泊手続きの後、今日帰るサイクリスト梶原さんと一緒に出発。まずは昨日のミーティングで進められた「魚一心」に行く。12時の開店前に既に20人くらい並んでおり、見渡すと半分くらいがぽんぽん船のホステラーだ。私は梶原さんと別の席になり、同宿のライダー2人組と相席する。彼らは北海道ツーリングが初めてで、中でも一人は免許を取る前にフェリーのチケットを取った強者だ。ここでのおすすめは定食だ。600円で刺身が6種類、鯖の煮付けが付いておりはっきり言って安い。

 次にセントラルタウンにある喫茶「光」に行く。店の雰囲気はとても渋く、何かかび臭い、というイメージがある。喫茶店内に昔のランプがたくさん陳列されており、アンティークな雰囲気が充満している。ミーティングでは「トイレに1000万円をかけており、すごい」と言われたのでトイレに行ってみる。なるほど1000万円をかけただけのことはある、と思わせるようなトイレだ。トイレで用を足すためにやることは、まずトイレのドアを開ける事から始める。このドアを開けるとそこは別世界。喫茶店内の雰囲気とは打って変わって明るい世界が私を待っていた。なんとドアから赤い絨毯が数メートル敷いてあり、まずは入り口で靴をスリッパにはきかえる。そしてしばらく進むと今度は2枚のドアがあり、そこは男女に別れている。そして私は男の方に入る。すると、さらにスリッパをはきかえなければならない。こうして2回スリッパをはきかえることにより初めて用を足せるのであった。しかし便所(男の小)、手洗いの水は自動式でなかった。私はアイスティー、梶原さんはコーヒーを頼む。

 次に斜め向かいの「美園」に行く。ここはソフトクリームがおすすめ、とのことを昨日のミーティングで聞いた。私たちはさっそく店内に入る。すると、昨日のホステラー数人が既に来ており、近くの席にする。みんなグラスに入ったソフトクリームを食べていたので私たちもそれを注文しようとウェイトレスさんに頼む。しかし、名前がわからず、結局「それ下さい」と頼む。ソフトクリーム420円だ。さっそく食べてみると、一言「うまい」。味はなつかしい味で、昔ながらの味だ。少しオレンジ系統の味がしたような気がした。これを食べただけでも小樽に来た価値はあった。

 それから小樽駅で梶原さんと別れ、駅前で時間をつぶした後、ヴェネチア美術館に行く。目当ては前回来たときに気に入った作品で、色ガラスを何層かにして動物、置物などを作った作品だ。その作品をしばらく眺める。15万円するが、いつの日にか手に入れたいものだ。置物で欲しい、と思った初めてのものだ。

 一心太助に4時開店の少し前に着いた。既に20人くらいは並んでいるだろうか。私も並ぶ。すると、ソロのサイクリストが2人いたので声をかけて一緒に食べることにする。まずは予約の客が先に入り、それから人がどんどん入れ替わる。私たちは5時45分までの席に入る。サイクリストと話をすると、2人とも学生で3週間から1カ月走っている。2人に話を聞くと、最初私の事をライダーと思っていたようだ。まあ格好がTシャツと短パンだからだろうか。昨日までのレーサーパンツだったらわかったかもしれないが。3人とも小樽が旅の最後だ。3人とも目当てはウニ丼、しかし無かった。仕方がないのでウニを1人1枚と、ご飯を注文する。乾杯の後、目当てのウニが来た。さっそくご飯に乗せてウニ丼だ。ご飯をお代わりし、何回かウニ丼にする。その他ボタン海老、毛ガニ、ホッキ、ホタテ、イカ刺しなど旅の最後を飾るべく3人で16000円も頼む。特にボタン海老は大変大きく、口の中でとろけ、大変うまい。車エビよりも大きな甘エビのような感じだ。もうしばらくは海産物はいい、というくらい食べた。ここでは、1人で食べるよりも数人で色々注文してからみんなでつつきあうのが一番いい食べ方だと思う。

 小樽運河で記念撮影、住所交換をする。それから坂を上り、国道に出る。しかし荷物を満載した人は見るからに大変だ。2人は銭湯に入るとのことで私は別れ、ぽんぽん船に戻る。

 舟見坂タイムトライアルに挑戦する。最初の十字路まで30秒、これなら結構行けるのではないか、という淡い期待ももてそうだ。しかしだんだん疲れてきたのでペースが落ちる。何とか踏ん張り、碁の看板をすぎ、ホステラー、ヘルパーとすれ違い、励まされ、何とか2分ジャストでTTを終わる。しかし1分23秒の記録にはほど遠い。まあ、自分なりには頑張ったからこれでいいのだ。実際19%もの坂(標識には16%とあるが、下の坂の説明には19%と載っていた)を登るのは久々だ、というよりも滅多にできない経験だ。

 宿に戻って風呂に入り、ゆっくりして9時からミーティングだ。ライダー2人と色々日本中の話をする。今日もホーミーをやってからバイオリンを弾く。まずは「宗谷岬」を弾いてから簡単な曲を弾く。今日はホステラーでギターを持ったライダーさんが弾き語りをしていた。大変うまかった。

 本日の走行距離 13km



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