94年北海道 日本海ツーリング その10


小樽の舟見坂

8/21

 いよいよ今日でこの旅が終わる、というよりも次の旅への充電期間が始まる。今日は朝食を頼んでいなかったのでゆっくり寝ることができた。喫茶「えんがわ」でコーヒーを飲む。「むい」(「あくと」の続編)を買い、ヘルパーと色々話しをしてから出発。途中、コンビニで朝食を買い、港での見送りに参加する。船長、ヘルパー、ホステラーに別れを告げ、まずは北一硝子でコップを買う。次にまた美園へ行くと、ホステラーが3人おり、一緒にまたソフトクリームを食べる。住所交換し、美園の前で写真を撮ってから小樽駅まで走る。自転車を分解し、稚内以来の友「午後の紅茶レモンティー」1.5Lペットボトルに別れを告げ、13:00発の快速エアポートに乗る。車内で寝て、千歳空港駅着。大阪行きは1時間遅れだ。右手の窓側を希望するが、窓側はすべてダメだ。空港内で時間をつぶす。結局何だかんだで1時間25分の遅れだ。無事機上の人となり、機内から外を見ると、曇りで何も見えない。

 無事大阪空港着。荷物を受け取り、バスに乗る。三宮から地下鉄に乗ると、バンダナを巻いて輪行袋を持っている自分が浮いているのがわかる。ここは北海道ではないのだ。現実の世界に戻りつつあるのだ。

 西神中央駅に着き、自転車を組み立てて寮に着く。帰ってみると、去年積丹YHであったサイクリストより道東からの絵はがきが来ていた。また、30本注文したはずのハスカップソーダが6本しか来ていなかった。翌日電話したら「こちらの間違いでした。30本送りますので6本はそちらでお飲み下さい」とのことだ。

 本日の走行距離  8.1km

総走行距離   505.7km



エピローグ

 小樽の見送りで感動して、一度北海道から船で帰ってみたくなった。今まで船で帰ったのは、父島、礼文島、波照間島、佐渡などがあるが、まだ北海道からは船で帰ったことがない。ぽんぽん船のみんなで見送り、「心の旅」を歌ったときには涙が流れそうになった。一度自分もみんなに見送られてみたい。

 これまで学生時代はとにかく金をかけず、また社会人になってからはとにかく時間をかけずに道内に入っていたが、その自分にとっての絶対的な価値観が崩れさろうとしているのを感じた。旅での感動は金で買うものではない。次はフェリーで帰り、より大きな感動を味わいたいものだ。

 日本地図に今回走ったところを線引きすると、一応北海道一周はできたみたいだ。だんだん北海道の海沿いで初めて走るところがなくなってきたのはなにか寂しいものがある。しかし、一度行ったところ、また一度走ったところでもまた走りたい所はいくらでもある。また、別の方法(インラインスケート、徒歩)で旅をすれば、新たな発見があることは明確だ。同じ自転車でも荷物を軽くしたレーサーと、キャンパーのMTBとでも違う。

 今まで、ライダーさんなどから「自転車は大変ですね」と言われ、自分もそれに含まれていた、と思っていたのだが、結局違う事がわかった。同じ自転車でも、荷物満載のMTB,ランドナーに比べ、私のように荷物をほとんど持たないレーサーだと、もちろん大変楽だ。彼らの自転車を持たせてもらったが、私ではとうてい持ち上がらないほどの重さで10%を越えるような坂を上ったり、風速10mを越すような向かい風の中を走り、おまけにキャンプまでするのだ。そういう彼らと私を今まで同次元の存在、と考えていた自分が恥ずかしい。また彼らに対しても済まない、と言う気持ちが生まれてきた。しかし荷物をほとんど持たない私の旅のスタイルも、自転車の旅の一つのスタイルだと思う。体力に自信の無い私はこの自分にあったスタイルで自分の旅をこれからも続けていこうと思う。


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