東北ツーリング 第6弾

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 いよいよ今日で退院だ。と言っても神戸に戻って病院で見てもらわねばならない。朝食後、下に置いてあった自転車をパッキングし荷物をまとめて宅配便の会社に電話するが、昼頃にならなければ取りに来てもらえない。仕方がないので守衛の人に看護婦さんを介して荷物を着払いで送ってもらうように頼む。旅の最中なので気分だけでもと思いフロントバッグだけでも持っていこうかと思ったが、荷物は全くない方がいいと考え、結局自転車、ザック、フロントバッグを宅配便で送ってもらう。ウェストバッグにカメラをつけただけの姿で神戸まで戻ることにする。やはり身軽の方がいいだろう。最後の回診後に主治医の先生から説明を受ける。そしてお世話になった人へ挨拶まわりをしてからタクシーを呼ぶ。いよいよ退院だ。今日は会計が休みなので後日電話をして料金を聞き振り込む。タクシーが来る前に看護婦さんが来てくれて別れの挨拶をする。タクシーで大間港へむけて出発だ。

 そして大間港に到着。バイクが数台並んでいたが、私は自転車がなく、おまけに松葉杖姿なので自分自身が旅人ではなく、彼らとの距離を感じてしまう。気分だけでも旅人になろうと思い、最西端の与那国島で買ったバンダナをここ本州最北の地大間にてかぶる。切符を買ったはよいが、乗船手続きをしていなかったので再び待合室まで戻り、乗船手続きを行う。

 姿はけが人だが、とりあえずはこれで14回目の渡道となる。一番滞在時間が短いが、最後だけでも北海道に渡っておきたい。刻一刻と出航時間が迫ってくる。いつもなら船で島などに渡るときは未知の場所への期待からか気合いが入るのだが、今回は全く気合いが入らない。こんな姿なので仕方がない。今まで大したけがをすることもなく旅が出来たのが幸せだったのだ。今まではそれを実感することがなかったが今回のけがで無事に旅が出来ることの幸せを感じ取る。

 今回の敗因は古いチューブラーを使っていたことは明白だ。次回はW/Oを使って絶対にリムからタイヤがはずれないようにしよう。日本一周は完成させたい。いつの日か日本一周全都道府県制覇、そして全有人離島制覇を成し遂げたい。

 しかししばらくはなにも出来ないだろう。足が完治したらまたどこかへ行こうと思う。おそらく冬までには治ると思うので冬の休みには久々に沖縄にでも行こうか。出来たらそれまでに一度どこかへ行きたいと思う。

 出航後、ちょうど弁天島が見えてきたので外に出て写真を撮る。近くにいたライダーさんに話しかけ、写真を撮ってもらう。聞くと三重から自走で来ており、初めての北海道だそうだ。これから道内を一周して南下するそうだ。7年前の夏の初めての北海道ツーリングの事を思い出した。山口から青春18切符で輪行して苫小牧で降りたはいいが、走り始めたら途中でメカトラブル、苫小牧まで戻り結局列車、バスでえりも岬YHまで輪行したこと、それから宗谷岬まで縦断したこと。あれから毎年北海道へ行っているが、北海道は何回行っても新鮮な感じがする。やはり旅人にとっての聖地なのだろう。

 風がきついので中に入り、ライダーさんといろいろ話す。最後に色々話すことが出来たのはよかった。しばらくすると函館山が大きく見えてきた。裏から函館山を見たのは初めてのことだ。

 13:00函館港に到着。松葉杖姿では人のじゃまになると思い、一番最後に出る。函館から大間へ行くバイクにはホクレンの旗がはためいている。ターミナルへ行ってみると、バイクがやたらと多い。とりあえずタクシーを拾って函館駅へ行く。船で一緒だったライダーさんが駅前におり、挨拶する。とりあえずは朝市でウニ丼でも食べようと思い、いろいろ見て回る。結局「あけぼの食堂」へ入り、2倍ウニ丼3700円を頼む。最後くらい贅沢をしてもいいだろう。出るときに名刺をもらい、以前来たことを思い出す。店を出て朝市の中で「いかすみソフト」なるものを発見したので早速食べてみる。色は灰色だが、味は普通のバニラソフトと変わらない。朝市を回り、最後にほんの少しだけ観光気分を味わうことが出来た。

 それからバスで函館空港へ行く。函館空港で早速予約していた便のチケットを購入。松葉杖の事を考慮され、一番最初に機内へ案内してもらうようにしてもらえた。また、関空では車椅子も用意してもらえた。先に買っておいた仙台発の便のチケットを払い戻し、土産にいつものように白い恋人を買って一路機上の人となる。他の乗客よりも先に機内に案内してもらうのは初めてのことだ。

 機内から下を眺めると、実物大の日本地図を実感し、今まで走ったところを思い出す。たった3時間半の北海道だったが、これで8年連続夏は北海道に来たことになる。来年はどうしようか?やはり宿題の東北をすませようか?それともいつものように北海道をツーリングしようか?去年のようにインラインでツーリング、また徒歩の旅も捨てがたい。それよりもまずは足を治さなければ。



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