第2幕

第1場

(質素ではあるが温かみのある室内)

Ferrie

狭くて汚いところですが、まあ、お掛け下さい

Rolfe

とんでもない。お心遣い、感謝しますよ

Ferrie

しかし、そうですか。300年前の移民の子孫の方だったのですか
道理で

Eliot

と、言うと?

Ferrie

今この星で、星空を知っている者などほとんどおりません
星を見たことがあるのは、宇宙へ出る一部の金持ちだけ
私どもは、自分の上に白い空以外のものがあるなどと考えたこともない

Credo

星、か。神話のようなものだ
プレ・テクノロジー時代には夜空に溢れていたと聞くが
人間は、闇を追放する力を得たのだ
今は、光がある (当然、というように)

(後ろから扉が開く音、足音)

Beatrice

お飲み物をお持ちしました
(グラスの触れる音)

Credo

Beatrice…。ん、すまない
(振り向き受け取って、僅かに見交わす)

Eliot

私達の祖先は遠くこの星を離れて、
Terraから見えた星空を心の支えにしていたのです
私も、幼いころから何度となく、訪れたこともない故郷の、
見たこともない空の話を聞きました

《小型で球形の機械》

彼らが残したこの「プラネタリウム」が、私達移民の唯一の「記憶」ですから

…この部屋にもう一度星空を甦らせて見ましょう

《暗転 恒星投ON》

Beatrice

まあ、綺麗 (歓声)

Credo

これが、星か (半ば呆然と)
俺達の上に、本当はこんな空が広がっているというのか
…信じられない…

Eliot

私達移民が語り継いだ、夜空の物語を…




第2場

《夏の星空》

Eliot

私達の先祖がこの星を離れる遥か昔から、語り伝えられた神話があります

Rolfe

俺達は、子供のころから、幾度となく聞かされてきた
御伽噺みたいなもんだ

Eliot

(昔語り風に)
遠い太古の時代、かつてこの星は、自然に溢れていた
豊かな海は青く星を潤し、大地には深い森が命を育んでいた
人間は、その中を生きる小さな生き物だった
その世界で、神々と人間はともに暮らしていた

Rolfe

神に祝福された大地は自ずと豊かに実り、
大地に争いはなく平和な楽園だったと言う

Eliot

夜空は無数の星の光で埋め尽くされ、微かな光さえ厳かに輝いていた
…これが最初の「金の時代」です
実りの夏に見える星を、人はこの時代を表す神々の星と呼びました

この3つの明るい星は、
最も高位の神が姿をやつした白鳥、
神の使者である大鷲、
そして神を讃える歌を歌う人間の姿と言われます
(星座絵 Cyg, Aql, Lyr 順次ON)
その間を流れる、光の帯が分かりますか

Ferrie

何とも… 微かな淡い光が…

Eliot

これは「天(てん)の川」と呼ばれ、神々の山から人里に流れくだり
恵みを運ぶ酒の川とされました

Rolfe

まだ人類が文明といえるものも持たないような時代のこと
やがて、そんな時代が終わる

Eliot

人間は次第に数を増やし、大地に広がっていく
小さな家族のように暮らしていた人々は、互いを養うため、
土を起こして畑を作り、山に入り獣を狩り、世界を侵し始めた
それぞれの土地に民が集まり国を作り始めた

Rolfe

今までは誰もが同じ生活だった
だが、やがて豊かさに差が生まれ、強いものが、富を集めることを知った
人間は、今まで知らなかった「諍い」をはじめる事になる

Eliot

一部の神々は、すさみ始めた世界を厭い、天に帰っていった

(日周運動 夏の星座西へ)

…これが、「銀の時代」です
けれど、まだ、この世界は見捨てられたわけではありません

星空には、
地上に国を築いた人間の王らとともに、 (星座絵 Cep, Cas, And)
人に罰を与える獣神、 (星座絵 Cet)
天の馬を駆る英雄が交わり、 (星座絵 Peg, Per)
なお自然を残すこの世界で神と人はなお共にありました

しかし、人は過ちを深めることをやめなかった

Credo

"罪深き人間"か… (無感動に)







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