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インタビュー 9/30/99

 女子高生に囲まれインタビューされた顛末は五月末に書いたが、それの載った雑誌が送られてきた。兵庫県立明石清水高校文芸部の部誌である。いやあ高校の文芸部の部誌というのは昔も今もおんなじですなあ。ぼくは高校のとき文芸部に入部した覚えもなく活動もなんにもしなかったにもかかわらずなぜか文芸部員になってしまっていたのでよく知っているのだ。なにがいっしょと言ってペンネームのものすごさである。清水高校の面々は「バナナ親びん」「ポタージュ好き」「如月秀」「田中」「もとのり」これで全員。ぼくは「田中」が気に入った。いさぎよい。
 小説や四コマ漫画、イラストなどがあるが詩がなかったのは少々意外であった。ぼくが高校のときは詩がほとんどだったように思う。ぼくが風邪のとき/お見舞いこないでね/だって/君にうつるとぼくはかなしいから……というようなちんこ踏んだろかと逆上しそうになる詩が山盛りだった。
 そんなことはともかく肝腎のインタビューであるが、テープレコーダーで録音するだけでメモも取らず、ゲラが送られてくるでもなく細かい言葉のチェックなどもなくという非常に大雑把なインタビューだったので、ある程度予想はしていたが予想通りだった。
 『大久保町の決闘』が実際に西部劇映画をモデルにしているという話から、それはどういう映画かという質問にぼくはこう答えている。

 タイトルが『大久保町の決闘』と『OK牧場の決闘』があって。タイトルだけ先に冗談であったんですけど『OK牧場』っていう方のと『大久保町』っていうので、あらすじ自体は『OK牧場』と違って『リオ・ブラボー』っていうのがあって父親の影響で小学生頃まで戦争映画と西部劇ばっかり見てて。結構好きだったんですよ、そういうの書きたいなって思っていたんですよ、西部劇わからへんやん、そんなもん。

 なんのことかわからへんやんこんなもん。なんとなく近いことは言ったような気がするもののこりゃいったいなんだったんだろうかなあ。最初から最後までだいたい全部この調子である。超メタ言語インタビューと言っていいのではないか。しかしまあよしとしようみんな可愛かったから。

またしても引っ越し 9/29/99 

 実家の建て直しが完了したので、またしても引っ越し。荷物が多すぎて結局すべての部屋が倉庫のような段ボール山積みの状態となってしまい、ちっとも新しい家に移った喜びがない。それはともかく困るのは水栓のレバーが仕事場と逆であることだ。つまり仕事場の水栓は下げると水が出て、上げると止まるのだが、今度の実家のやつは上げると出て下げると止まるのである。建て直す前は当然ひねると出る古いタイプで、これだとやり方がまったく違うので混乱はなかった。感覚的には下げると出るのが自然だと思うが、災害のときなど落下物によって水が出っぱなしになるのを防ぐためにも上げると出る方式がこれからは増えるだろうというようなことを以前新聞で読んだ。それはわかるがわたしは困る。実家では水を止めようとして火事でも消すのかというほど水を放出して全身水浸しとなり、仕事場に戻ってふたたび水を止めようとして下痢でもしたのかというほど水を放出して全身水浸しとなる。
 今はこの上げると出るか下げると出るかの混乱期なのであろうと思うのだが、ひねるタイプにも混乱期があったのであろうか。ネジでも水栓でも時計まわりに回すと締まり、反時計まわりに回すと緩むというのが現在では常識となっている。時計まわりに緩むのを「逆ネジ」と呼ぶほどである。これは右利きの人の場合強く捻ることができるのは時計まわりだろうから、それを「締める」方にしようとなったのか。しかしそうなるといやいや締めすぎて今度開けられなくなったら困るではないか開けるとき時計まわりにするのがよかろうぞ、などという髭の老人なども現れていろいろすったもんだがあったはずである。いったいいつ誰の手によってネジの常識は確立されたのであろうか。非常に興味深いところだが今はそんなことどころではないのである。誰か調べて教えてくれ。じゃあな。

へべれけの美人 9/28/99

 すらりとスーツを着たOL風の女性であった。夜遅く、駅前の交差点を通りすぎたあたりで工事のせいか車が進まなくなり、ぼんやり道行く人々を眺めていると一人おかしな歩き方の女がいたのである。どうやらへろへろに酔っているらしく、よろめいて車道に出そうになる電柱に手を突いて倒れそうになる自転車を避けようとして化粧品店のショーウィンドウに突っ込みそうになる。あまりの酔いっぷりに驚き、追い越しざまについ「おいおい」と声を出してしまったら窓を開けていたせいかそれが聞こえてしまった。きっと顔をあげてこっちを睨みつけてきた。年の頃なら二十二三、眦の上がったちょっときつそうな顔だったがかなりの美人である。車との距離は二メートルもなく、ちょうど信号で車が停まってしまったところだったので、眼と眼を見つめ合う状況となってしまった。見ず知らずの女性を誘うなどこれまでの人生で一度としてしたことはなかったのに、そのなにか言いたそうな表情が気になったのと、相手がへべれけだという安心感もあってつい「大丈夫? 乗る?」と言ってしまった。
 驚いたことにその女性、はっとしたように穏やかな、どこか心細げな顔になって頷くと、こっちへ来るではないか。窓のすぐそばまで来たので、乗るのかと思ってドアを開けようとしたら突如「ううーっ」と呻くようにして泣きはじめ、ふるふると何度か強く首を横に振ったかと思うと今まで歩いていたのとは逆の方向に小走りに行ってしまったのだった。
 お、なんかレイモンド・カーヴァーみたいやな、と思いながらも車を降りて追いかけていって川縁の小径を歩きながらしんみりと話をしたりすることもなく、この話はこれでおしまい。そういうものである。

ああまた思い出せない 9/23-27/99

 あとで書こうと思って五日ほど放っておいたら、またしてもなにがあったかなんにも思い出せなくなってしまった。まったく思い出せないのでおそらくこうであったのではないかということを想像して書くことにする。
 朝四時に起きて仕事をばりばりしていると突然(以下9/17-21のあたり参照)

よだれは好かれている 9/22/99

 最近のアホ犬よだれの散歩コースの途中で必ず会う白い犬がいるのだが、どうやらそいつはよだれに惚れているようなのである。最初その家の前を通ったときは、びゃんびゃん吠えてなにやら凶悪などついたろかこらあというような態度であったのに、このごろは低い塀に前足を載せ首を垂れひたすらよだれを目で追いながら「くう。くう。くう」などと悲しげに鳴くのだった。他の犬が通ると「おいこらこらこら。来るな来るな」と言わんばかりにぎょんぎょん吠えるので、よだれを特別視しているのはまちがいない。しかし当のよだれはそいつのことをまったく見ようともせず、その目の前で土を掘るわ逆立ちして小便は撒き散らすわ草食うわ家庭菜園の網に足を突っ込んで恐怖の悲鳴をあげたかと思うと車のヘッドライトに目がくらんだか電柱にまっすぐぶつかっておいてなにかが襲ってきたと勘違いして後ろへ逃げようと歯を剥き出して唸ったりアホ丸出し。それでもその白犬はあいかわらず「くう。くう」と言いながらよだれを見つめつづけ、やがてその前を通りすぎても見えなくなるまでずっとじっとよだれを見ているのである。けなげである。でもよだれは逆立ちして小便をするのである。
 人が歩いている足の下にわざわざ入ってきて、わあなにをするのじゃと驚いて避けたその足の真下に前脚を突っ込んでその脚を踏まれ、町内全土を脅かす悲鳴をあげるようなアホ犬の、いったいどこがいいのかあの犬に訊きたい。

ついでに 9/21/99

 先に明日の分も書いておこう。朝四時に起きてばりばり仕事をしているといきなり麻薬捜査官の裏切りに合いコロンビアの麻薬組織に拉致された。アジトのある南米の孤島まで船で運ばれたがアメリカの囮捜査官であるゴールディ・ホーンそっくりの美女と手を組んでいったんは逃げだす。撃ち合いとなり敵数十人を撃ち殺したものの丘の上の小屋に追いつめられ、怪我をしたニコール・キッドマンそっくりでもある囮捜査官を介抱しているうちにややこしいこととなって結婚を約束したのだが哀れ彼女はぼくの腕の中で息を引き取ってしまう。復讐を誓いながらも銃を持った麻薬組織の連中に取り押さえられ他の囮捜査官の名前を吐けと夜通し拷問されるがビールを飲んで寝る。

やっと今日 9/20/99

 やっと20日にたどり着いた。しかしやはりなんにも思い出せない。無理に思い出してみるが朝四時頃庭になにか巨大な物体が激突したような音に驚いて目を醒ましあわてて出てみるとなんとそれは銀色に輝く円盤で、中からは牛ほどもあるナメクジがぞろりと這い出してきてイカの塩辛みたいな触手でなぜか半裸のブロンド美女を捕まえており、たまたま手にしていた光線銃で化け物の頭部とおぼしき部分を撃つと化け物はけひょーと叫んで全身に散らばった女性器を思わせる無数の疣から血便のような液体を撒き散らしそれを浴びたブロンド美女の肉はたちまち腐って蛆がわき蛆はきいきいと甲高い声で鳴きながら瞬く間に増殖して庭を覆いなにもうええてどういうことああ飽きたか飽きるわなあ続けてやるとなあたしかにぼくもちょっと飽きたもうちょっといける気もするけどまあ他にやらんといかんことがあるしなと思ってビールを飲んで寝る。

いきなり19日にしよう 9/19/99

 ということになったのではあるまいか。おお気づけばもう19日である。やっぱりな。
 
この日はたぶんなかった 9/18/99

 まったくなんにも覚えていない。おそらくこの18日という日はなかったのではないか。そうとしか思えない。全国的に18日はとばして

まだ思い出せない 9/17/99

 なぜだろうかこの日のこともなんにも覚えていない。朝四時過ぎふと目醒めると胸の上に大人の握り拳ほどもある毒蜘蛛がいたように思う。体から離れるのをじりじりと待ってスリッパで叩きつぶす。誰かがぼくを殺そうとしたらしい。いったい誰がと思っていると隣の部屋で悲鳴がし、飛び込むとブロンドの美女が毒蛇を前に立ちすくんでいる。ヘアスプレーとライターを使った簡易火炎放射器で蛇を焼き殺したものの突然現れた謎の中国人に殴られ美女とともに悪の秘密組織の基地に連行された。鰐のうじゃうじゃいるプールに落とされそうになったがなんとか逃げだし世界を滅ぼそうとする悪の計画を阻止し悪の親玉を殺し悪の秘密基地を破壊し世界平和を守ってからビールを飲んで寝る。仕事もばりばりした。

やっぱり全然思い出せない 9/16/99

 このあたりになると思い出せてもいいと思うのだがやっぱり思い出せないのである不思議なことだ。おそらくこうであったであろうという平均的な日常を想像して書くことにする。
 朝四時頃女性の悲鳴に驚いて目を醒ました。あわてて外に出ると袴姿の女学生が蛮カラ学生四五人にからまれていたので柔道の技で全員を倒す。きちんと礼をしたいので両親に会ってくれと懇願する美しい女学生に笑って背を向け、家に帰ってばりばり夜まで仕事をする。約1200枚ほど書いたところで客が訊ねてきたと女中が呼びにきた。出てみれば朝助けた女学生とその両親で、娘が危ないところをよくぞ助けてくれましたと涙ながらに礼を言われる。紡績会社の社長だというその父親が、ぜひ娘と結婚し自分の右腕となって働いて欲しい年収二億は保証する邸宅と軽井沢に別荘も用意すると言ってくれたのだが断り、眠くなったのでビールを飲んで寝る。だいたいこんなところであろうか。

やはり思い出せない 9/15/99

 やはりこの日もなんにも思い出せない。休日であったようなので、絶対遠くに出かけたりはしていないはずである。おそらくこうであったのではないかということを想像して書くことにする。
 朝五時に起きて軽く四時間ほどのウェイト・トレーニングをこなし、シャワーを浴びてから森へ入って熊と戦う。夕方満身創痍となって帰宅し、ばりばり仕事をする。約1200枚ほど書いて眠くなったのでビールを飲んで寝る。まあこんなところであろうか。

思い出せない 9/14/99

 あとで書こうと思って一週間近く放っておいたら、この日なにがあったかなんにも思い出せなくなってしまった。まったく思い出せないのでおそらくこうであったのではないかということを想像して書くことにする。
 朝六時に起きていきなり素晴らしいアイデアが浮かんだのでそのままコンピューターに向かって夜中二時頃まで一心不乱にキーボードを叩き約1200枚書き上げる。ビールを飲んで眠くなったので寝る。まあこんなとこかな。

給食さん 9/13/99

 小学校の校務員をしている友人が電話で「給食さん」のことを話しはじめた。「給食さんになにやら渡したらその給食さんはなにやらであれやらでけめられました。どうもどうもであれらりました」みたいなことを言うのである。学校の屋上に祠があり、そこには給食の守神である「給食さん」が祀られていて年に一度六年生の中から一番可愛い女の子を供え物として選んではその肉を刻み、というような情景を思い浮かべつつ「給食さん」ってなに? と訊くと給食を作っているおばさんたちのことだという。「普通言うやろ給食さんて」言わん。
 給食を作っている人だから「給食さん」らしい。その伝でいくと作家は「小説さん」か。ミュージシャンなら「演奏さん」医者など「診察さん」や「治療さん」や「手術さん」とそのつど名前を変えなければなるまい。教師は「教育さん」学生は「勉強さん」タクシーやトラックの運転手は「運転さん」軍人は「戦争さん」ストリッパーは「脱衣さん」娼婦は「セックスさん」監督は「監督さん」モデルは「モデルさん」いまいち盛り上がりませんなあ。

アラン・シャペルとグラン・シャトーくらい違う 9/12/99

 うーむ。これはなかなかのできだ。
 
ホシヅルの日 9/11/99

 今日は星新一氏を偲ぶ会「ホシヅルの日」だったのだが行けなかった。行きたかったなあ。案内の封筒の宛名が「田中哲也様」となっていたから行かなかったわけではなく、もちろんその封筒は読まずに引きちぎって丸めて踏んで犬のうんこまぶしにしたあと火炎放射器で焼いて肥溜めに捨てたのだが、それとは別に自分で案内は取り寄せた。参加する予定だったのである。いろんな事情が重なって(まあつまり『猿』がまだ)行けなくなった。なんとなく取り残されたような気がし、むしゃくしゃするのでよだれに餌オアズケ十分地獄の刑を科す。ただオアズケするだけでなく十秒置きくらいに「はいよろしいおっとやっぱりオアズケ」というのを入れるオプション付き。いちいち「あわおおおお」などと不満を言いつつ前足をそわそわ動かすのでおもしろい。

痩せた 9/10/99

 五キロほど軽く走ったあと実家に送られてきていたとある雑誌をざっと見ていやーな気持ちになって食欲をなくしビールだけ飲んで風呂に入ったら昨日よりも二十五キロほど減って今はがりがり。

太った 9/9/99

 最近ずっと仕事ばかりで机から離れないせいかかなり太った。え、なにが嘘昨日よりいきなり二十キロほども増えてしまってこれはもう太ったとしか言いようがなにがちがうのああ「仕事ばかり」が気になるのか本当じゃまちがいない夜中にWOWOWでナインティナインのライブ見てあまりのレベルの低さに呆れ果てたりもせず仕事ばかりしてなに二十キロも一日で太るわけがないというかいちいち疑り深いなみんな。
 
ペプシボトルキャップ2 9/8/99

 昨日の日記でスター・ウォーズのボトルキャップのことを書いたら、飯野文彦さんからダース・モールのやつを一個あげましょうというメールが来た。めちゃくちゃ喜んでいると、今度は別のSF関係者からワトーのスペシャルとダース・ベイダー二種類、ダース・モール二種類(ダース・モールは全部で三種類あるらしい)その他いくつかを交換してくれというメールも来た。どうやらスペシャルというのはなかなか当たらないらしいのだ。飯野さんなんか百六十本以上買って一回も当たったことがないそうで、へえーっと驚くのはスペシャルが出にくいと知ったことではなく「百六十本以上買う」というのがぼくにはまず信じられないからである。しかしまあワトーのスペシャルのおかげで、一本買っただけで欲しいやつすべて揃うとは嬉しい限り。くじ引きとか抽選とかでなにかが当たるということなどこれまでの人生でほとんどなかったのに、この強運はもしかすると近日中に死ぬということではないか。大丈夫かなあと心配しつつニフティやインターネットでボトルキャップ関連のページなどを見てみると「ワトーのスペシャルを五千円でゲット」とか書いてあるところもあって驚いた。コレクターの感覚というのがぼくにはもひとつよくわからないので、こういうのを見るとまあ落ち着けと言いたくなる。まあ落ち着け。

ペプシボトルキャップ 9/7/99

 今頃初めてスター・ウォーズのボトルキャップのついたペプシを買う。コーラなんか飲むことないのでただひたすらボトルキャップ目当てに1.5リットルも買ってしまってどうしたものかと悩んだのだが、とりあえずジャー・ジャー以外ならなんでもいいから欲しいしかしやはりダース・ベイダーかダース・モールだと嬉しいなあと期待しつつ帰って開けるといやがらせのようにジャー・ジャー(HEAD)。ババツカミである。しかしシールをめくる方では「ワトー」のスペシャル・ボトル・キャップというのが当たったのでまあよしとしよう。一応十万名に当たるという抽選も「ダース・モール」と書いて送ることにする。しかしなんでよりによってジャー・ジャー。誰かダース・ベイダーかダース・モールのボトルキャップどんなんでもええので余ってませんか。くだされ。

長電話 9/6/99

 かかってきた瞬間、お互いやることいっぱいあるわけであるしさほど長くはならんだろうなと思ったのに結局切ったのは朝六時前。なんでや。淋しいのか。
 しかし「捨て台詞」を使ったネタは使えるかも。いや、ここに書いておくと忘れずにすむかなあと思って。

明石大蔵海岸でバーベキュー 9/5/99

 はからずもメンバーになってしまっている明石の町おこしグループのバーベキューパーティがあった。レストラン経営の人もいたりするので料理はめちゃくちゃ豪華。生ビール飲み放題でステーキなんか厚みが八十センチくらいあるそんなにないなないない。
 高校のとき同じクラスだった美人が偶然来ていたので、他のおっさんには目もくれず便所も我慢して隣の席を死守する。独身だそうだ。妙齢の美女と酒を飲みながら話をするなど実に久しぶりである。他のことはなんにも覚えていない。

宇宙作家クラブの会 9/4/99

 ぼくは「宇宙作家」ではないので会員にはなっていないのだが、遊びに来てもかまわないよと言われてのこのこ行く。神戸でちょっとした用事があったので例会はパスしてビアホールから参加した。もっと大がかりな集まりを想像していたのだがなんのことはないいつもの飲み会で、いつものとおりアホな話全開で突っ走る。(詳しくは野尻さんのページでどうぞ。リンクの張り方がわからなくなってまったので、がんばって調べてみてください)
 ビアホールから太融寺方面へ移動したが残っていたのは北野勇作さんと小林、啓文、ぼくの三馬鹿の合計四人。宇宙作家はどこにもいない。北野さんのダイナミックな(猛烈なスピードで五メートルほど落下する)うたた寝(最初ふざけているのかと思った)に恐れをなしながらアホな話を続ける。神戸の古本屋で見つけた『おれの血は他人の血』の初版本を「これ八百円。どうやうらやましいやろ」と自慢したらみんなでよってたかって「おおこれは、かなり高く売れるにちがいない。一財産まちがいないぞ」などと大騒ぎ。だから八百円で売っていたのだと言っておろうが。
 ああそれからぼくの書いた宇宙ハードSFは「大阪ホシ計画」ではなくて「大阪ヌル計画」です。入っているアンソロジーのタイトルが『ホシ計画』ね。もう売ってないけど。

透けとるん 9/3/99

 「透けるとん」ではなく「透けとるん」ではないかですと。座布団全部没収。

カリスマとスケルトン 9/2/99

 最近テレビや雑誌などで「カリスマ」という言葉をよく見たり聞いたりするが、どうやらこれは「その分野では人気のある人」くらいの意味で使われているらしい。へんなの。全然値打ちがない。「カリスマ美容師」とか「カリスマファッションモデル」とか、耳にするたびなんとなあくみんなそろってちょっとバカなのかかかなあそそそそうかもじれないなあという感じがする。
 それからiMacやG-SHOCKの半透明のやつのことを「スケルトン」というけど、あれもなんとなく変な感じがする。「スケルトン」って"skeleton"だろうからこれは誰がなんと言おうと「骸骨」であります。機械式の腕時計なんかで裏蓋が透明で中身が見えるやつを「スケルトン」というのはまだわかるが、iMacをそっくり真似た世にも恥ずかしいe-oneの売り文句に「人気のスケルトンボディ」と書いてあるのは納得いかん。思うのだがこれは「スケルトン」の「スケル」が「透ける」ように思えるおかげで定着してしまったのではなかろうか。いいやおそらくまちがいあるまい。「透ける」から「スケルトン」座布団全部没収。

A rolling stone gathers no moth. 9/1/99

 真夜中に、仕事場の窓をこんこん、こんこん、と叩く音がするので、ここは二階なのになあと思って怖くなり、放っておいたらしばらくして音は止み、それでも怖いので三十分ほどは知らないふりをし、しかしやっぱり気になって怖々カーテンを開けて腰を抜かした。
 ガラスに、横四十センチ縦二十センチほどもある巨大な白い蛾がべったりと貼り付いていたのである。なんという大きさか。両方の羽には古代文明の象形文字を思わせる紋様があり、成人男性のペニスのような胴体がくねくねと蠕動している。気持ち悪くて恐ろしい。こんなものが部屋に入ってきたらと考えただけで気が遠くなりそうである。カーテンを閉めても、そこにあんなものが貼り付いているのだと思うとどうにも落ち着かない。内側からガラスを叩けば逃げるかとも思ったのだが、それさえ気持ち悪くてやりたくない。しかしただじっとしているのも怖いので、なんとかがんばって二三度ガラスをどんどんと叩いてみたところ、やっぱりというかなんというか敵は逃げるどころか胴体をくねくねもにょもにょ蠢かすだけでどちらかというと喜んでいるようなのである。
 見れば見るほど気持ち悪い。少し離れて見ると、羽の模様がちょうど女の人が両手を顔の横に持ってきて窓を覗き込んでいるように見える。なんという趣味の悪さか。とりあえずカーテンを閉め、灯りを消して待ってみたが蛾は逃げない。外の灯りのせいでカーテンにうっすらと蛾の影が映ったりしてよけいに怖い。そうだ寝室からベランダへ出て外からなにか棒みたいなもので突っついてやればいくらなんでもどこかへ行くだろうと箒を手に寝室に行きカーテンを開けて腰を抜かした。こっちには同じやつが五匹も貼り付いていたのだ。



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