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町内放送 11/30/99

 朝早く、といっても九時半くらいなのだが町内放送に起こされた。じいさんの濁声がすさまじい音量で響き渡り窓ガラスがびりびりと震えたほどである。音が割れてしまっているためなにを言っているのかはわからない。誰かが死んだということを言っていたようである。二丁目のみだざんびどじだでじだじばずーっきーん(ハウリング)今朝ごごがじだだばばざさんのおじずがーんがなくだりばしたきーんどどぅざはごんだんどきーんががじごろからどばずじにでとりおごだじばずっ。ぐりがえじまずーっ。

またやってしまった 11/29/99

 なんとなくいらいらするので、鼻の奥はまだどんよりしているもののもう大丈夫だろうとジョギングしたらものすごい勢いで風邪がぶりかえした。帰ってきてシャワーから出ると、走る前よりはっきりどーんと悪化しているのがわかるのである。こういうことを毎年二回くらいやっている。体を動かして汗を流すとすかっと恢復、ということもたまにあるがたいていは悪化する。風邪のひきはじめに走ってがくっと本格的に悪化させることもある。おおそうだ今回もひきはじめに走ったのだった一昨日のことではないかアホとちがうか。悪化するたびああまたアホなことしてしもたなあと反省するのだが、しかし自分の体調がわずか三十分ほどで急速に変化するのを感じるというのはなかなかおもしろいのでみなさんもどうでしませんなはいはい。

どんより 11/28/99

 一日どんよりしていた。

発熱 11/27/99

 『マトリックス』を観たので影響され「キアヌ・リーヴスになろう」という決意のもとウェイトトレーニングとジョギングをばんばんやったところ熱が出た。このところずっと、なんとなくだるくて鼻の奥が熱かったのでそうかなあと思ってはいたのだがやっぱり風邪だったらしい。こういうアホなことはやめようと毎回思うのだが、やってしまうのである。ああしんどい。

利き酒の会 11/26/99

 珍しい日本酒を何本か用意して、それについての蘊蓄を聞きながら飲むという会に参加する。酒の味などさっぱりわからないしどうでもいいのだが、あれこれ飲んで食べて二千円なので行かないのはあまりにもったいない。
 この会に参加するのもすでに三回目なのだがいつもはおっさんばっかりだったのに今回はなんと隣に美人女子大生が座る。なにを飲んでも日本酒ということしかわからず味はおんなじなのでがつがつ飲んで食ってげらげら笑って、のつもりだったのに隣にそんなものが座ってしまうと本能のままへらへらと飲み食いするわけにもいかず「このお酒はさっきのに比べるとあっさりしてて、ナントカカントカのナントカカントカに似た感じですね」などとにっこり話しかけられて仰天し「あー。なんかそんなんやなあ」と気の利いたことも言えず目の前の料理を食っては「うん。これは魚や」たしかに魚やなどとごまかす。
 以前この会の講師役の方に、味がよくわからないというのは偏食の人に多く田中君もきっと好き嫌いが激しいのであろうと言われたことがあるがぼくには好き嫌いなどまったくない。なんでも食べる。あのおいしいあれをまた食べたいと思うことがほとんどない分、まずくて食べたくないというものもないのだと思う。そうそう。味がわからないのではなく、そんな細かいことを気にするようなちまちました性格ではないのである。そういうことなのだ。決して舌がばかだというようなことはないわかりましたか。
 しかしここ数年、どこそこのなんとかいう蔵の酒はなんとかかんとかで杜氏がなんとかで製法がかんとかで、あれに比べてもなんとかのどうたらいう酒は、とかこだわってぐだぐだ言ってはあーあの酒は実に芳醇な香りとまろやかな舌触りが絶品だとか言いたがるような、特に女性が多いように思うのだがなんかそんなことが流行ってるのだろうか。なんだか気に入らんなあ。味がわかるのが上流の女よ、とでも思っているのか。なに味がわからないのでは犬とおんなじだとなんと失礼なわからないのではない気にしないだけだ。だいたいどれ飲んでもみんなおんなじやないかっ。

"The Matrix" 11/25/99

 ワーナーマイカルの無料招待券というのをもらっていたのだが、使用期限が11月末日までとなっていたのに気づきあわてて『マトリックス』を観にいく。映像がすごいすごいと評判だったが、あちこちで断片的に見たせいかそのあたりはさほど驚きもせず、日本のアニメの世界を実写でやるとなるとああいうかっこいい人々でないと絵にならんのだなあとそればかりを思う。人間見た目に美しいというのも偉大なことであるなあとつくづく感じたことである。実にかっこよかった。
 映画館の売店で『マトリックス』やらいろんな映画のポスターを売っていたので見てみたら、なんと驚け一枚千八百円。紙一枚ですぞ。このあいだ『スター・ウォーズ』と『タクシードライバー』のポスターを譲ってもらったことを書いたが、あれは同じ大きさのきちんとしたものが一枚七百五十円で、それでもけっこうするものだなあと怯えていたのになにをするのか千八百円殺す気か。マイカルの場合割引券やらなにやら使えば一般でもいつも千五百円で映画を観ることができるのである。ポスターの方が高いではないか。なにかまちがっとるのとちがうかとぶつぶつ言いながら実家へ帰ると『スクリーン』一月号があり(母親がいつも買っているのだ。どっちかひとつでよかろうと思うのに『ロードショー』も買うのだ)付録がマトリックスのポスターであった。いらんと言うのでもらってきて仕事場に飾る。サイズが半分くらいだがめちゃくちゃ得をしたような気分である。

神刃笛 11/24/99

 というのを思いついた。じんばぶえと読むのだがどうでしょう。

『クラシック音楽夢レース』 11/23/99

 好田タクトが本を出したらしい。好田タクトというのは元吉本新喜劇の役者で教育テレビ『あしたもげんきくん』(とかなんとかそんなような小学校一年生向けの番組)の元祖「げんきくん」をやっていたこともあるもっちゃりしたボードビリアン。たいていの人は知らないと思うがぼくはよく知っている。なぜかというと高校の同級生で、しかも吉本でもしばらくいっしょだったからである。
 彼の大道芸のメインは世界の指揮者のモノマネで、似ているのか似ていないのか普通の人にはさっぱりわからない。見物客は笑うのだが、それはよく似ているからではなく好田タクトの顔の表情がおもしろいからというだけのことだったりする。クラシック音楽がめちゃくちゃ好きなようで、今回出た本というのはその知識をふんだんに活かしたわけのわからん変な本である。
 クラシック音楽のいろんなジャンル、たとえば「交響曲」でレースをするのであれば一枠マーラー巨人、二枠ショスタコービッチ革命、などと並べ、本命はベートーベンの運命で大穴はハチャトリアンの鐘、とか予想とコメントをつける。(内容についてはちゃんと読んでいないので適当)それを98レースもやっている。
 発行ウィザードプレス、発売キングベアー出版で1500円ということだが、今回の出版にぼくは直接関わっていないものの、どこか出してくれるところはないだろうかというので原稿をもらって編集者に見せたりいろいろ世話を焼いたにもかかわらずファックスで表紙のゲラを送ってきただけで一冊もくれず、あろうことか大阪でも神戸でも売っているはずだからぜひ買うようになどとぬかすのでみなさんも買わないように。

見知らぬ女性の謎 11/22/99

 そういえば京フェスで会った数人の方から11/8/99の夜中に訊ねてきた女性というのは、いったいどういう嘘なのだと質問されたのだが、あの日の記述に嘘はまったく書かれていない。あれは実は叙述トリックであって、と種明かしをするとみんなほほうなるほどそうだったのかやられたなあと感心するかと思えばまるで感心せず新本格の旗手と言われる作家までが「けっ、なんや」と吐き捨てるようにがっかりするのであった。

京フェス 11/20-21/99

 去年に続いて今年も京都SFフェスティバルに行く。田中啓文牧野修両氏と大阪で待ち合わせたのが二時半で、それから翌日までずーっと喋りつづけであった。マンガカルテットの企画もあったようだがずーっと喋っているその途中がたまたま企画だったようなもので、酔っていたしなにを喋ったかほとんどなんにも覚えていない思い出したくないみなさんも忘れてください。ただ、田中啓文氏がどうしようもない無知だということが判明したのは覚えている。あんなことも知らずによく生きてこられたものだ。その他なんとなく覚えているのは小林泰三氏が体温零度にこだわり我孫子武丸氏はカップヌードルカレーにこだわり牧野修氏は良識を駅の便所に捨ててきたらしく(なに駅前の自転車置き場?)さすが羽振りがよくて高価なサンドイッチを平気で残したりその後も気前よくばんばんいろいろおごってくれたり猫を振り回して殺したりしたことくらい。
 さほど飲んではいないと思っていたのに帰りは十三で倒れそうになり便所で嘔吐し、ふらふらだったのでしばらくホームで休んでから各駅停車に乗って眠り、目が醒めると気分が悪くなるためそのたび降りては胃液を吐くというのをくりかえす。覚えているだけで塚口、武庫之荘、芦屋川、夙川、岡本で吐いた。阪急には悪いことをした。
 そして去年と同じく尾骨の皮が剥けた。

小錦のダイエット 11/19/99
 
 タレントになってからはKONISHIKIと書くのだそうだが、ダイエットをしているという話を聞いた。あれほどの巨体から標準体型までいっきに痩せるようなことがもしあれば絶対に全身の皮がめちゃくちゃに余るはずで、そうなればきっとモモンガのように空を飛べると思うのだがどうでしょう。

獅子座流星群 11/18/99

 曇っていて見えないと天気予報で言っていた割には見事な快晴で、一秒に一個から三個くらいのものすごい勢いで流星を見ることができた。なるほど流星「群」とはよく言ったもので、あそこまでの数になると流れ星というよりも「異変」と言った方がしっくりくるほどのすさまじい景色である。夜空の星がすべて流れはじめたかのようであった。実際にオリオン座の三ツ星が同時に三方へ流れた瞬間は心底驚いたし、カシオペアがいったんは収束して同じ方向へ流れたのに、天頂にさしかかったところで広がって飛んだりしたのはまるで軍隊のアクロバット飛行のようでなんらかの意志が演出しているのではないかとさえ思ったほどである。流れ方のバリエーションが何度かくりかえされて、少し飽きたかなあという明け方、荘厳なファンファーレとともに月が地平線まで流れたのは実に見事なクライマックスで顫えるほど感動した。
 などと書くと本気にして気象庁に問い合わせをする真面目な人がいたりするかもしれないなあ。

よだれ、うんこを漏らす 11/17/99

 よだれにうんこと続くとなにやら汚い話のようだが汚い話である。夜実家に帰り、よだれが散歩に連れていけとぎょんぎょん鳴いているのを気にしながら細かい雑用を片づけ、さあ散歩に行こうかと散歩用の紐やらハーネスやらを用意していると電話が鳴った。たまたま誰もいなかったので、あわてて玄関まで走るとベルが鳴り止む。なんと気の短い人であるなあと思いつつよだれの元へと戻ったところ、ぼくの顔を見ながらぎょぎょおおんなどと変な声を出しつつもりもり排便してしまったのだった。さあっもう行けるぞっと思ったのにぼくが遠ざかったため絶望したらしい。かわいそうだがおもしろかった。とりあえず散歩には連れていってやったが、ときどき思い出したように「うんこたれ」と声をかけると心の底から恥じ入ったような上目遣いでいちいちこっちを振り返るのが笑えた。五十回くらい言ってやった。

またしても腕時計 11/16/99

 実はまた腕時計を衝動買いしてしまった。このあいだ時計好きの知り合いにセイコーの海外向けオートマチックダイバーを見せびらかされ、そんなものがあるのかとネットで検索してみたらセイコーファイブの逆輸入モデルというのが見つかり、やたら安かったため思わず注文してしまったのである。いやしかしスウォッチより安い。セイコーの機械式時計がこんなに安くていいものか。
 便利なもので、昨日注文したら今日の午前中に届いた。もっとチープな感じかと思っていたのにけっこうまともで中途半端である。自動巻でミリタリーウォッチ風。曜日の表示が英語とスペイン語(だと思う)のどちらかを選べるようになっていて、スペイン語(だと思う)の方にすると見たこともない文字列が出てきておもしろい。日曜がDOM、月曜がLUN、火曜MAR、水曜MIE、木曜JUE、金曜VIE、土曜SABとなっているのだが、なぜこれをスペイン語だと思ったかというと、ドイツ語フランス語イタリア語の曜日の呼び方は時計雑誌に表になって載っていたのにそこにはこれと同じのがなかったからである。あと考えられるのはスペイン語くらいしかないではないかと思うのだが本当は何語なのだろう。ロシアに近い小さな公国ギスリキデスタンの公用語バドレンズズ語とかだったりするととても嬉しい。
 
よだれ逃げる 11/15/99

 またしても逃げやがった。よだれの小屋は今仮住まいなので造りがいいかげんで、なにかの拍子に柵が倒れたらしい。これ幸いと逃げやがったのである。あんな役立たずのアホ犬どうなろうと知ったことではないが、走っている車やオートバイを見つけると力いっぱい駆け寄っていくという信じがたい癖があるので、車に乗っている人はさぞかし迷惑だろう。とりあえず見つけて連れ帰らねばならぬ。なにオートバイかあんなもんどうなろうと知るかこせこせ左から抜きやがって。三十分ほども家の回りをうろうろしたが見つからず、まあ一応努力はしたということで許してもらおうあとは運に任せてあきらめましょうと家に戻るとアホは餌の前で地団駄を踏みながらくうくうと待っていた。食えと言う前に食うとどえらい目にあわされるのを体で覚えているため勝手に食えないのである。いつから帰っていたのかと思うとあまりのアホさに脱力してしまい、怒る気力もなくしたので踏むだけにしておいた。

ポスターを買う 11/14/99

 友人の空耳医学博士がどういうわけかポスターを大量に買ったということで「田中哲弥の分」として頼みもしないのに「絶対欲しかろう」と買っておいてくれたものを譲り受ける。『スター・ウォーズ特別編』のエピソード4〜6と『エピソード1』の劇場用、ボバ・フェット(へんな人気があるらしい)とダース・モールの合計六枚。それに『タクシードライバー』が二種類で全部で八枚。『タクシードライバー』の一枚は拳銃を構えるデ・ニーロの写真に"You talkin' to me?" と文字が入っている。
 ちょうど先日WOWOWでやっていたとんでもないアニメ『サウスパーク』で、狙撃用のライフルを買おうとした小学校教師が銃器店でとっかえひっかえライフルを持っては鏡の前で"You talkin' to me?" と言ってみて、一番「デ・ニーロっぽい」のを買うというギャグがあった。いったいアメリカの男の何人が、銃を手にこの台詞を言っただろうかと思うと笑えるけど不気味な気もする。
 もしかしてアメリカの銃社会は大きく"You talkin' to me?"派と"Go ahead. Make my day."派の二つに別れていて、互いに仲が悪いとかそういうことはないのだろうか。新進の"I'll be back."派が今ひとつ盛り上がらない"What do you do?"派と手を結んで"You talkin' to me?"派と激しい抗争をくりかえし、そのどさくさに一気に勢力を伸ばした"Go ahead. Make my day."派が政界をも牛耳ることとなったその結果がイラク空爆だったりして。いやいや案外そんなものだ。でも結局最後に勝つのは"Oh,behave."派だったりして。

飲めや歌え 11/13/99

 いやとにかく明石で飲めや歌えだったのである。久しぶりに羽目を外した気がする。どうやって帰ったか覚えていない。北京ダックを食べたのは覚えている。ああ楽しかった。

変な留守電 11/12/99

 ときどきまちがい電話があるが、今朝のは怖かった。九時前だったのでこっちはもちろん熟睡しておりベルが鳴っても起きなかったのだが、やたらとがなりたてるようなおばはんの声が数分続いたのでなにごとかと驚いて目が醒めた。
 「どうなっとるんですか」というのが第一声で「フジビージョエのモンダラゾンギイ(何度聞いてもそうとしか聞こえない)ですけど。いつまで待っても連絡がないんで電話しましたんですわ」と続く。これはあとで再生してみてわかったことで、ぼくが電話にたどり着いたときは「困るんですわほんまにもう。うちもあれからいろいろともう大変やったんです。あんなことされてもうたらもうどうにもなりませんわ困るんですわいやほんま」などとぐちぐちぐちぐちひたすら文句を言っているのが聞こえただけだった。まちがいだとは思ったものの、もしかしてぼくに怒っているのだろうか、誰だろうなんのことだろうとどきどきする。さらに愚痴は続き、ぞっとしたのは「蛇かて生き物ンなんやから切ったら死にますで」いったいなんの話だ。「とにかく、電話でもしてもらえたら助かりますんやけど」と怒りもあらわに叩きつけるようにして電話は切れた。明らかにまちがい電話だったとわかってからもなんだか怖くて興奮してしまい、結局そのまま起きてしまったのだが今も気持ち悪い。そら蛇を切ったら死ぬわな。

時計の抽選に当たる 11/11/99

 また当たった。ペプシボトルキャップといいハーモニカといいこのところ抽選によく当たる。時計が当たったとはいうものの、ただでもらえるわけではなく限定400本の時計の購入権利が当たったのである。また腕時計が増えてしまう。はっきり言って無駄に買ったものもかなりの数あり、売れるものなら売ってしまいたいのだが、なかなかブームのときのG-SHOCKのようにはいかんだろうなあ。
 おおそうだここで売ってやれ。
 機械式ダイバーズウォッチに興味のある方はご一報を。特別価格にてご提供いたします。

ハーモニカ 11/10/99

 ちぇろ子さんこと笹山量子さんにハーモニカをもらった。ちぇろ子さんのホームページのプレゼント企画に応募したら当たったのである。めちゃくちゃ小さく、全長3.5センチ程度だがちゃんと音階も吹ける。和音も出る。ハーモニカを吹くのなど小学校の音楽の授業以来だなあと感慨に耽りつつ、ちょうど手元にブルックナーの交響曲のフルスコア全集があったのでチクルスをやってみようと全曲全パートきっちり一音のミスもなく吹いてみたのだがさすがに唇が疲れた。

時計が 11/9/99

 明け方なにげなく壁の時計を見ると秒針が逆回転していた。夢うつつだったので、なるほどこのせいで仕事が進まないのかとへんな納得をしたのだが、昼前になって起きてから、あれはきっと電池が切れかかっているのだろうと見てみるとちゃんと動いているのである。時間も合っており、時計にはなんの問題もない。そういえばこのところ、前触れなくくらりと眩暈のような感覚が襲ってくることがあって、もしかするとあのとき時計が逆回転しているのではないだろうか。つまりあの瞬間は実際に時間が逆行していて、そのため仕事がまるではかどらないのだ。不気味なことにこの時計、何年か前にメディアワークスの忘年会で記念品としてもらったものではないか。なんとなく陰謀の臭いがする。あ、また眩暈が暈眩たま、あ。るすがい臭の謀陰くなとんな。かいなはでのもたっらもてしと品念記で会年忘のスクーワアィデメに前か年何と書きながら気づいたが実際に時間が逆行すれば書いた文字が消えていくだけで、こんな風にはならんのである。

夜中に見知らぬ女性 11/8/99

 十一時くらいだったであろうか。突然見知らぬ若い美人が弁当と飲物を持ってこんばんはとやってきて、今日はまだなんにも食べていないのだと言いつつカルビ弁当を黙々と食べ、なにかおもしろいビデオはあるかというのでたまたまデッキに入っていた『マウスハント』を見せたら楽しそうに最後まで見てじゃあまたと言って帰っていった。こういうこともある。
 また嘘かと思っただろうがこれは本当なのである。驚いたか。

編集者と異人館めぐり 11/7/99

 某社編集者と神戸で会う。初対面である。これまで編集者が関西方面に来るという場合は、他の売れっ子作家との打ち合わせなどのためであって、暇ができたのでその「ついでに」田中哲弥にも会っておこうかなというのがあたりまえであったが、今回はわざわざぼくに会うためだけに、それも日帰りで来られたのだそうで恐縮する。
 昼飯をどうしましょうと言いつつ、なぜか北野の方へ上がり、なぜか異人館通りを歩き、なぜか「うろこの家」なんかを見学する。日曜日の異人館通りに男二人連れというのはなかなかに異様な、悲しげな光景であったはずである。その後駄目押しのように小洒落たイタリアンレストランに入り、とどめにチーズフォンデューなどを食す。チーズフォンデューというのは実はかなりの量のアルコールが含まれているため、酒に弱い女の子に食わせたらへろへろになるので簡単にやってしまえる、というような生活の知恵をたくさん教えてもらった。
 もちろん仕事の話もちゃんとして、すぐにも取りかかりたいくらいありがたいのだが、目の前には猿が立ちはだかっているのである。さっさと殺して終わろうかと思う。

宇宙作家クラブの集まり 11/6/99

 大阪で飲み会。あ。飲み会ではなくて例会。めったにお会いすることのない方々がたくさんいらっしゃったというのに、結局いつもの面々と宇宙とはまったく関係のないくだらなーいくだらなーい話をずっとしていたのであった。エウロパがどうかしたとか言ってげらげら笑った記憶があるが、どういう内容だったか思い出せない。

『電撃hp』のエッセイがボツ 11/5/99

 スノーボードのネタで、と言われて書いたらボツになった。別のを書かないといけないのだが、前回とその前はこの日記のまんまを出してしまったので、今回は逆に『hp』に載らなかったやつをここで発表することにする。

 今回はスノーボードの話である。なんの脈絡もなく毎回テーマがころころ変わるがぼくのせいではない。知ったことではない。どうせ誰も読まないので編集者もこのエッセイ、もうどうでもいいようで冬ですなあスノーボードですなあ、ほなそれで適当にということで雑誌の趣旨とはまったく関係のないスノーボードである。
 いやしかしスノーボード人気はとどまるところを知らず、ゲレンデによってはスキーヤーよりスノーボーダーの方が多い場所もあったりして大変なことになっている。どうして大変かというとスノーボーダーというのはほぼ例外なく馬鹿なので、スノーボード人口が増加するというのはすなわち馬鹿が増えるということだからである。スノーボーダーの方がスキーヤーより多いゲレンデともなると、これはもうあなた会う人会う人ゲレンデのど真ん中に座り込んで世間話をし勝手に山奥に入って雪崩を起こしターンもまだろくにできないくせにクリフジャンプに挑戦して逆さに落ちて大怪我するような馬鹿ばっかりという悪夢のような世界なのである。
 ぼくの友人にもこの手の人間が一人いて、スノーボードが流行っているというので数十万円も出して道具一式取り揃え、初めてボードをつけていきなりビデオで見たブライアン・イグチの真似をして民宿の前の階段から飛び降りて脚を折った。
 最近はまた、スノーボードと同じようにマウンテンバイクを流行らせようとする動きがあるようだが、それをこの男が見逃すはずはなく、三十万円もするフルサスペンションのバイクを買ったかと思うと急いでいるわけでもないのにわざわざ混雑する車道を、わざわざ自動車の間を縫うように走ってこけて轢かれて死にかけ、翌週はショーン・パーマーの真似をしようとダウンヒルに挑戦していきなり前のめりにひっくりかえって顔から落ちて死にかけた。
 サーフィンが流行ったときは台風の日にサーフボードを買っていきなり波に呑まれて死にかけ空手のビデオを見ていきなり熊と戦って死にかけSFブームだというので(これはデマだったが)普段着のまま宇宙空間に出ようとして死にかけた。
 しかしまあスノーボーダー全員が、この男のように愚かしいというわけではなく、たとえばぼくもスノーボードをするがこんな馬鹿では全然ない。他はともかく熊と戦うのだけはさすがにつきあわなかった。

 本人もスノーボーダーである担当編集者によると「辛辣すぎて笑えない」のだそうだ。

ポール・デルヴォー 11/4/99

 冬樹蛉氏の日記に「田中さんは、いかにもデルヴォーが好きそうである。うひひひ」と書いてあって大変驚く。好きなのである。学生時代、姫路の美術館で見たデルヴォーの絵に触発され「煌々と」という短編を書いて『SFマガジン』に送ったことがあるくらいなのである一次選考にも残らなかったけど。夜走る列車の車内に全裸の少女が無表情に座っている情景を描いたホラーショートショート「最終列車」というのを斉藤肇氏主催(だったと思う)のショートショートトーナメントに書いたりもしたのである全然うけなかったけど。
 しかしおそらく冬樹さんが思っているようにぼくは全裸の美少女に惹かれるのではなくいいやそう思っているはずだうひひひがなによりの証拠まったく人を変態みたいに。そうではなく列車や操車場といったモチーフがぼくにとっては非常に大きい。三歳まで過ごした場所が、国鉄の操車場のすぐ近くだったのである。だから初めてデルヴォーの絵を見たとき、あ、これはぼくの心の中の風景ではないか、と思ったのだ。昔ぼくはこの絵の中にいたのではないかと思うほどなんだとではやはり裸の美少女も心の中にいるのではないかだと。ははあたしかにいるがいきなり裸というのもちょっとなんですかわかるんですかあなたぶんぶんうなずいて。なになにあなたもいきなり裸では困りますかなるほど学校指定の体操服姿でないと感じないしかも肌が白く小柄で痩せていて胸がぺったんこで三つ編みで十五歳以下で必ず眼鏡はかけていないといけないのかいやああなたなかなか大変そうですな。

風邪をひいた 11/3/99

 熱はないが頭が痛い。アスピリンをばりばり食べて今日は早めに寝ようと思った夜半過ぎ、友人がどっとやってきた。全員手ぶらで、かなり酔っており、しかも女の子はいない。勝手にビールを飲み、便所で吐き、歌を歌い、ぼくの知らないサッカー選手のことを全員で怒る。ええがなアホでも賢かったらサッカーなんかするわけないやろ。一人にぎやかなやつが突然いなくなったと思ったらコンビニの弁当を買って戻ってきたので全員の分があるのかと思えばおのれの分だけでみんなで文句を言って殴ったり蹴ったりしているのに平気で黙々と食い、すぐに吐き、そうこうするうち床で寝るやつが出始めたのでいいからもう帰れ頼むから帰ってくれと叩き出したのが朝の五時。ゴミを片づけたりシャワーを浴びたりしていたらもう七時前である仕事もしてないのにいつもとおんなじではないかと書いた今寝室で物音がするので見てみたところ、まだ一人勝手にベッドで寝ていた。首と耳の間あたりを力一杯踵で蹴って起こしてやったところ、ああもう仕事に行く時間やともぞもぞ呟いて駅の方へと向かっていった。毎回言うけど二度と来るな。

津原泰水さんの電話で起きる 11/2/99

 昼前、津原さんの電話で起きる。これが編集者からの電話であるとか、サラリーマンの友人だとか、結婚斡旋所の勧誘とか図書館からのはよ本返せとかなら、まだ寝ておったんですわどうせぼくなんか人間の屑ですわで別にいいのだが、同業者からの電話の場合なんであんたこんな早起きなんですかと驚いてなんとなく屑の中の屑になったような気がして恥じ入ってしまう。明日寝る前に知り合いの作家に片っ端から電話して、まだ寝てたんですかもう朝でっせと呆れ果てたように驚くといういやがらせをちょっと思いついたが仕返しが怖いのでやめようと思う。電話の内容は仕事の話で大変ありがたいものであった。好きなようになんでも書いていいのだそうだ。後悔させてやるうそうそ。

我が社になくてはならない要 11/1/99

 知り合いの女の子が会社の同僚の結婚式に招待されたという。式そのものはごくありきたりの、キャンドルサービスやらスライドショーやらお父さんお母さん子供のときあんなことこんなことしてくれたよねありがとうって今ほんとうに感謝していますしくしくしく、みたいなもので実に退屈だったのだが、新郎の上司というのがめちゃくちゃ緊張していて、その挨拶がものすごかったのだそうだ。
 本日は。(手も足もがたがた顫えている)このようなはれがまが、はれがまが、はまがま、はま、はれまが(一分ほど沈黙したのち)本日はこのようなはれがま、しい、せきっ。(十数秒沈黙)本日は。あっ(となにか気づいて)おめでとうございます。しっ新郎。新婦。の。新郎の。新婦。えっ? あ。新郎の。新婦。いや。あ。新郎の笹釜君は非常に。優秀。な。あ。え。でございまして。仕事はもちろんのこと。え。げほ。ぐほ。は。まあそういいますとなんだか軽薄なようにも(一行とばした)思われますのがそうではありません。ムードメーカー。(またしても十数秒沈黙)なにしろムードメーカーですので(やっとわかったような気がして調子づいた)我が部署のみならず我が社においてあってはならないタガメと言えるのであります!


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