Back



月亭八天さんに話を聞く 11/29/02

 田中啓文氏が次回作の取材のため落語家に話を聞きたいというので月亭八天さんにいろいろ訊くことになって、なんでかぼくもついていった。大阪の紀伊国屋前で待ち合わせだったのだが、ちょっと早く着いてしまいぶらぶらと店内を歩きまわって気がついたら『バック・トゥ・ザ・フューチャー』DVDトリロジーボックスというものを初めいろいろ大量に買って財布がほとんど空になっていた。まったく本屋は大きければ大きいほど危ない。
 喫茶店で八天さんから弟子時代の話などを聞いていたところ、すぐ横に座っていたおっさんが突如とんでもない大声で叫びだし何事かと思ったら携帯電話で喋っているのだった。せやからわしがちょうどなにやっとったとこなんですけどわしがどないにもなんですかはあはあそうそうそうですわなんぎなことでなあそれがあれでもうわやですわあずああそうそうそうですわあはははははちゃいまんがなちゃいまんがななに言うてますのんずはははははうるさくてたまらんのだった。ああびっくりした。
 そのあと啓文さんとよくいく店で三人で飲んでいたら、なぜかコピーライター時代の同僚に会ったりした。吉本にいたころなかよくしていた人と久しぶりに会ったその日に、広告屋のころ親しかった同僚と会うというのも珍しいことであるなあと感慨深かったのだが、よく考えてみるとこの店、広告屋のころデザイナーの兄さんに教えてもらった店だった。当時もいっしょによく来ていたし会っても不思議はない。しかし不思議はないと思いながらもなんとなく不思議な気分で、夜中電話をかけてきた友人に今日そういうことがあったと言ったら向こうは一瞬押し黙り「おまえ近々死ぬんちゃうか」冗談かと思ったら本気だったのでちょっとびびった。

『トリプルX』 "XXX" 11/28/02

 今月末まで有効の只券があったのであわてて見に行く。ぎりぎりになるまでなかなか動かないので困る。いっつもそうなんでもそう昔からそう。
 アホな映画だと期待していたのだが本当にアホな映画で満足した。電撃トリプル・アホアホ大作戦である。DVDが出たら買おうと思う。始まってすぐのパーティーのシーンにトニー・ホークとマット・ホフマンがにこにこ出ていてちょっと驚く。エンドクレジットで知ったがブライアン・ディーガンも出ていたようだ。でもブライアン・ディーガンの顔なんて覚えてないし。
 バイクのスタントシーンで意味もなくスーパーマン・シート・グラブをしたり、無理矢理スノーボードのシーンに話を持っていったりもうなんでもいいのでXゲームみたいな映画を作ろうとしましたというのがストレートに伝わってきてあまりに馬鹿馬鹿しくておもしろい。ストーリーそのものはめちゃくちゃありきたりでなんということもなく、全体にスノーボードとかスケートボードとかアクション・スポーツ系のビデオのノリである。昔バートンのビデオでスパイ映画みたいなのがあったけど、まったくあのまんま。こんな映画が流行るなんてアメリカってやっぱりアホやなあとへらへら笑いつつけっこううらやましい。
 
六甲縦走に行けなかった 11/23/02

 準備は万全であったにも関わらず、たまたまいろいろなことが重なって行けなくなってしまった。体はここに向けて万全に仕上がっておりいきなり体力をもてあます。なんだかものすごい損をしているような気がしたのでとりありずなんにも考えずに毎日三セットやっているウェイトトレーニングのメニューを六セットやりそれでも全然動いた気にならないので仕事場のまわりをハイペースで二十キロ走ってから夜までマウンテンバイクに乗って野山を駆け回る。ツキノワ熊と戦い水牛を殴り倒し悪いベンガル虎を食い殺し密林の王者となってしばらく君臨してみたがまだ足りぬ。どうしてくれよう。
 
マフェトン理論 11/15/02

 少し前のことだが先輩が頼みもしないのに例のマフェトン理論を解説した本をわざわざ持ってきてくれたので、とりあえず読み、とりあえず書かれてあることをなんとなく実践してみたところ驚いたことに毎日ほぼ同じ運動量をこなし同じ生活を続けているだけなのにどっと体重が減ったおいこれ体に悪いのと違うか。しかも同じ運動量とはいえ、書いてあるとおりにやると全体にだらだらなのであまり運動した気にならないほど楽なのだ。たしかに目標最大心拍数を維持したまま何十分もとなると死にそうになると思うが、ぼくの場合いつも全部で三十分から四十分くらいしか動かないのでつらいのはほとんど一瞬である。これで長距離に強くなるならまるもうけ。そろそろぼくの体にもエアロビック・ベースが構築されつつあるのではあるまいか戦えエアロビック・ベース! 人類を救えるのは君たちの他にない! 地球の平和を守るのだ!
 
 つづく 
 
 しかしこの理論というかこの本「トライアスリートのため」とはタイトルのどこにも書いてないにも関わらず読み進むうちに完全にトライアスロンを主眼に置いたものであることがわかって妙な雰囲気である。ウェイトトレーニングはしない方がよい、ストレッチもせんでよいトライアスロンするのに関節柔らかくしても意味ないし、などと極端なことも書いてあって変な宗教みたいでちょっとどきどきする。やたら水飲めとか肉食えとか玉子食えとかあるある大辞典とみのもんたに真っ向勝負を挑んでおり、だいじょうぶかいなと心配になったりもするのである。この極端さに頼るのは、ある種の信心といってさしつかえないだろう。でもって入信すると祭壇にエアロビック・ベースを供えてみんなで祈るのだ。戦えエアロビック・ベース人類の未来と地球の平和はしつこいか!

おっさん向け自転車雑誌 11/12/02

 久しぶりに自転車の雑誌を買った。初めて見る雑誌で表紙には「大人のための」自転車生活がどうとか書いてある。裸のお姉ちゃんが路上で自転車プレイ(どんなんや)とかいろいろ倒錯したものがあるのかとちょっと期待したのにそういうのでは全然なかったあたりまえか。昔は『バイシクル・クラブ』というのをずっと買っていたのだが見あたらず、仕方なくこんなおっさん向けのものを買ったのである。ぼくおっさんやしな。
 なんと自転車通勤は本当に流行っているようで、自転車通勤用のタイヤ「ツーキニスト」なんてものまであるのだった。自転車通勤というと、自転車が好きで好きでじっとしていられない少々クレージーな人がどうしても毎日乗りたくて乗りたくてもう辛抱たまらない我慢できませんと何十キロもの距離を毎日毎日雨の日も風の日も台風来てるのに死にかけながら自転車で通勤したりして他の社員からアホ扱いされ酒の付き合いもしません隣で煙草吸わないでください出世なんかとっくにあきらめましたとにかくじじじじじ自転車乗りたいんです乗りたいんです自転車乗るんですうっというのがぼくのイメージだけど、どうやら最近では「自転車通勤をしよう」という決意がまずあって、そののちやたらめったに高級な自転車を買うというスタイルのようだ。それはそれでいいのだけどしかしこの雑誌ツーリングの記事などなかなか興味深かったもののどうも全体に気取りまくりでちょっと気色悪い。極めつけは「いいブルゾンを手に入れる」というタイトルの下、西洋人のじいさんモデルが自転車といっしょにコジャレタ洋服を着て立っているやつで、いったいなにが始まったのかとなにげなく読んで飲んでいたビールを噴き反動でふっとんで本棚に突き刺さった。ブルゾン十二万円。カシミアのニット十七万八千円。カシミアのジャケット三十三万五千円。レザージャケット三十三万五千円。ニットキャップ一万九千円。あほや。なにがつらくて自転車に乗るのにこんなに着飾る必要があるのだ。自転車に金かけてちんたら遅いのはかっこ悪いと思ってたけどそんな次元ではないのだったニットキャップてあんたそれ毛糸の帽子ですぞ頭大丈夫か毛糸の帽子に一万九千円。っへーんなの。

とある危機 11/9/02

 事情によりあまり詳しくは書けないのだが、最近ちょっとした悪事に首を突っ込んでいるとある友人が、今日会う約束になっている人物の背後に非常に危険なものを感じるので、こっそりついてきてくれないかと言うのだった。聞けばたしかに危なそうな話ではあるものの、いやなら行かなくてもいいだけのことで、なんでそんなところへわざわざ足を踏み込もうとしているかというと、うまくすれば多大な利益を得られるかもしれないと本人が考えているからであり、そしてその利益というのはぼくにはまったく無価値なものなのである。というわけでちょっとおもしろそうかなとは思いつつもついてはいかず、本当にやばそうだったら呼んでくれろということにしておいた。
 夕方電話があって、なんとか無事にすんだので飲みに行こうという話になったところが突然、ちょっと待ってくれまたかけ直すと言って電話が切れた。それっきり連絡はなく、こちらからかけても通じない。どうなったのかなあと心配していたら真夜中に電話がかかってきて、大変なことになったので今から来てくれないかというのだった。それから想像を絶するものすごい展開になったのだけど、事情により書けないのである。書きたいのに。

工事のお知らせ 11/8/02

 起きて新聞を取り出すと、いっしょに「工事のお知らせ」なるチラシが入っていて、それによると「道路維持補修工事(測道側壁補修工事)」というもの(寝ぼけていたため一瞬「明治維新補修工事」に見えた手遅れやろと思った)を「明日9日から12日まで」行いますなどと書いてある。車が通れなくなるので出入りがある場合は朝のうちに知らせよとも書いてあってそうか明日から工事かしかし今日もうるさいなあと思って前の道路を見ると驚け工事はもう始まっているではないか明日からやりますというチラシをわざわざ今日放りこんでおきながらなんで今日始めるのだわけがわからん。さらにチラシはもう一枚あり、それによると来週13日から20日までの間のどれか一日道路舗装工事をするとある。13日から20日まで行うのではなく、そのうち一日だけなのである。なんじゃそれは。もしかして日付をきちんと認識できない人たちが工事を行うのだろうか。今日は何日? と訊かれても「ええとそうやまちがいない秋の途中くらいや。まだ冬やない」「俺もそう思う」「うん、たしかに秋や」とか。となると「工事時間午前九時から午後五時」というのも怪しい。もうそろそろ朝九時くらいかなあと真夜中に工事を始め近所から苦情が出ると、みんなで頭寄せ合ってなにが気に入らんのやろちゃんとお知らせしたのになあ腹立つなあとかぶつぶつ言うのである。ちょっと楽しみだ。

『サウスパーク』第五シーズン開始 11/4/02

 いやあ第一回目からいきなりものすごいなあ。バッグス・バニーというかルーニー・トゥーンをパロって終わったのは、まさかアニメでここまでやるとは思わなかったであろうという洒落なのだろうけど(サウスパークもワーナーだし)でも実際バッグス・バニーの残酷さは子供のころのぼくには笑えないほどちょっとやりすぎな感じだったわけで、そのあたりも含んでいるのかなあと思ったり、トムとジェリーなんかのスラップスティックギャグが子供への影響を考慮してテレビで放送できない、なのにハリウッド映画はバイオレンスとサイコキラーだらけという風潮へ向かってのカートマンの笑顔だったのではないかと考えさせられたり、まあなんにしろ今日のやつはシリーズ中屈指の名作なのではあるまいか。

ラジオに出た 11/3/02

 松岡由貴さんとサエキトモによる『アベノ橋魔法☆商店街』のラジオがしばらく前から始まっていて、それにゲストとして呼んでもらったのである。ラジオに出るのは初めての経験。実はテレビには何度か出たことがある。どういうものかは言わないけど。
 生放送が九時半から、その前に来週の分を先に録音するというスケジュールで、打ち合わせやらなにやらわけがわからないままどんどん進んでいき気づけば来週放送分の録音は終わっていた。公開放送にはまあものすごい人数が集まったもので松岡さんとサエキの人気のすごさ(というか逃げ出したくなるような濃さ)に改めて感心する。サエキのファンは女の子ばっかり。その紅潮した頬やうるんだ瞳は相当に倒錯した雰囲気であってもう完全にわたしもうどうなってもいいの好きにしてちょうだい状態である。わかっとるのかあんたサエキはあれでも女やぞあれでも。田中哲弥目当ての人間がひとりくらいおってもええのとちゃうかと思ったがもちろんそんな人はいないのだった。
 終わってからみんなで飲みにいくが梅田で飲み始めたのは十一時過ぎで、しかも料理の出てくるのがめちゃくちゃ遅い店だったため、早めの昼食を取ったきりで空腹の極みにあったにもかかわらずぼくはここで猫の耳ほどの肉片ひとつふたつ口に入れただけで終電目指して店を出なければならなかった。あまりの空腹に眩暈がし電車に乗り込むと同時に意識を失い気づくとそこは見知らぬ駅もちろん電車は上下線とも終わっておりタクシーは見あたらず人の気配もなく街には灯りさえないのだった。


Back to Index