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"STAR WARS EPISODE 1" の予告編 3/31/99

見ましたか。これのために特に観たくはない『アルマゲドン』に行こうかと逡巡していたのだが、スター・ウォーズのオフィシャルサイトにクイックタイムムービーがあると聞き、一時間以上もかけてダウンロードしてひっくり返った。めちゃくちゃかっこいい。ぞくぞくする。死にそうである。アメリカでは『ジョー・ブラックによろしく』だったかの公開時、この予告編目当てにやってきたスター・ウォーズマニアが、予告編だけ観てぞろぞろ帰っていったというような話を聞いて、なんでそんなもったいないことをするのか映画の方も観ていけばいいのにと首を傾げたものだが、この予告編ならそれだけで帰っても充分元は取れると思うし、余計なものは見たくないと思うのもわかる。ちょっとでも早く本編を観るため五月にアメリカまで行こうとしている人たちの気持ちもよくわかる。お金と時間があればぼくも躊躇なく行く。日帰りででも行く。いやあしかし、久々に興奮した。もう一回見よ。ああかっこええなあ。"Wipe them out. All of them." ひやあかっこええ。もう二三回見てから寝よ。"THE SAGA BEGINS MAY 19TH" くあーかっこえー。


奇妙な電話 3/30/99

ここ数日変な電話が続いている。なにかいやなことを言われるとか、無言であるとか、セックスしているところを延々と聞かされる(いや、これは実際に以前留守番電話に入っていたことがある。ええからもう。やめてて。やめ、ほんまにやめてえや電話切ってて言うてるのにんはっ、ああん、な、そんな、やめ、いや、あっあっ、へへへへどうや、はふっふはっあふっ、いや、あっ、やめ、こうかこうか? へへっ、あっ、んっ、そうっ、××××に×××……そうっそうっ××××っ××××××××××××っっっっというようなものであった。十分間入っていた)とかならいろいろと対処のしようもあるのだが、このところずっとかかってくるのは、出ようとすると切れるのである。ちょうど便所から出ようとしているときなどにベルが鳴る。あわててどたどたと電話のところへ走るとばつっと切れる。ちょっと出かけようとして靴を履き、外に出て玄関の鍵を取り出したあたりでベルが鳴る。あわてて戻ると受話器に手が触れるか触れないかというところでばつっと切れる。電話のすぐそばにいるときなどは、ベルが二度も鳴ったかというところで手を伸ばすと見事に切れる。風呂に入っているとベルが鳴り、耳をすませて聞いていると「ただいま留守にしております。ご用件を」くらいで切れる。他の用件で電話をしているときにキャッチホンが入り、ちょっと待ってね、などと言いつつ「キャッチ」のボタンを押すと同時に切れる。こういうことが一日何十回もある。どこかから見ているとしか思えないのである。ぼくに恨みを持つ人で、しかもこのような手の込んだいやがらせをしそうな人というとどう考えても百八十五人くらいしか思い浮かばないのだが誰だろう。あまり気にはならないのものの仕事もはかどらないしで、とりあえず腹いせにアホ犬よだれを裏返す。久しぶりである。病気も治り元気になったせいでめちゃくちゃ苦労したがやりがいがあっておもしろかった。窒息ごっこも復活。楽しい。


汚い夢 3/29/99

汚い夢を見た。実に汚かった。あんなに汚い夢を見たのは生まれて初めてではないかと思う。夜、なぜかオートバイで仕事場へ向かっていると、びちゃびちゃと空から大量のうんこが降ってくるのである。きちんとしたうんこではなくちょっと調子が悪い感じの、ちょうどヨーグルトくらいの柔らかさのやつである。全体にどことなく光沢があって、ぷるぷるした拳大のやつがびちょびちょと辺り一面に降り注ぐ。ああ、オートバイなんかにせずちゃんと車で来ればよかったのに、と後悔していると、うんこはどんどん降り積もり、そばをダンプカーが走るとびっちゃあ、と音をたてて頭からうんこが襲いかかってくるのだ。これは大変だ、なんとかしなくてはいかんなあどうしよう、となぜかそばにいた田中啓文に(夢の中の話なので今回は呼び捨て)訊ねると、地下に行きまひょかみんなもおるみたいですわ、などとのんびり言うので地下五階まで降り、そこにいた我孫子さん(夢の中の話でもさん付け)に、もうそこら中うんこだらけで大変で、というようなことを言ったとたん我孫子さんは鬼の首でもとったような満足げな顔で「ほらっ。ぼくの言ったとおりでしょう。やっぱりうんこですよ」よくわからないのだが説得されてしまい、体がうんこだらけなのでトイレかなにかで洗いたい、と言うと我孫子さんは「トイレならすぐそこにあります。ぼくも行きたいのでいっしょに行きましょう」ときっぱり立ち上がってすたすた歩き始めるのだが、なかなか見つからない。「おかしいなあ。去年はここにあったんです。何度も来たからまちがいない。きっとチビチビ同盟の連中が持っていってしまったんですよ」チビチビ同盟? と思うのだがそのとたん、ああそういえばそいつらのせいでラテンアメリカの作家が書いた小説は読んではいけないことになったのだったと突然思い出し、せっかく高い本をいっぱい買ったのにこんなことなら学生のとき読んでしまっておけばよかった、と悔やみながら歩いているとすでに一人になっている。とにかく早く体を洗って体育の授業に出なければならないのにとものすごく焦る気持ちで高校の校舎の中を必死に歩き回って便所を見つけ、やっとあったと喜んで入ろうとしたらテレビのコマーシャルで見たことのある可愛い女の子がどういうわけか奥へ果てしなく続く廊下のような便所をこっちへ歩いてきて「お風呂に行く?」と微笑む。そりゃ便所よりお風呂の方がありがたいなあと、廊下を進んでいくとそこはなぜかずっと昔にも来た記憶がはっきりある旅館の廊下となっていて、あああの角を曲がれば大浴場があったなあと懐かしい気持ちでいると女の子はぼくを振り返って「今日もいっしょに入ろうね」と照れたように笑った。こんな可愛い女の子、それもテレビのコマーシャルに出ているような女の子といっしょに風呂に入れるなんて、みんな知ったらうらやましいだろうなあぼくは幸せだなあ風呂からあがるとあんなこともできるんだなあそれからあんなこととかあんなこととかあんなこととかと思っていると電話が鳴って目が醒めた。だっだっ誰や。


早起きした 3/28/99

早起きと言っても十一時なのでそれほど早くはないのだが、寝たのが七時過ぎだったのでやはりこれは早起き。おかげでスーパージョッキーの最終回を見たりして、笑いつつも感動した。これで今日は早く寝て、明日は九時くらいに起き、徐々に早寝早起きにシフトできるのではないかと考えたのだが今すでに朝の六時過ぎである。外は明るい。このところ毎日でありますが明るくなってから寝ようとすると、この世の最低の屑になったような気持ちになるのはなんででしょうか。明日、というか今日、早起きはできるんでしょうか。更新の時間が不定期になってしまったずぼらでマンネリ気味の明日の日記を刮目して待て。


筋肉バトルを見て首筋がおかしくなり過去を振り返る 3/27/99

いや、仕事をばりばりやっていたのでテレビなど見ていないのだが、やっぱり男は筋肉やなあと感心し、突如鍛えようと無理をしたため首筋がおかしくなる。首筋というより後頭部のあたりだが異様に痛い。目がちくちくするほどである。おそらくむやみに負荷をかけたスクワットのせいだと思うがおかげでじっと机に向かっていることが困難となり、ただでさえはかどらない仕事がますます滞る。しかしまあ影響されやすい性格で自分でも呆れるのである。そういえばかつてトライアスロンなど始めたのも、そもそも最初のきっかけは『ランボー2』であった。あれを映画館で見た日、たまたまそのあと寄ったジュンク堂三宮店でマガジンハウスの『ブルータス』にスーパーサーキットトレーニングなるものが載っているのを見つけ、これは偶然ではあるまい神は俺に体を鍛えよとおっしゃっておるのだとばかりそれを買って帰ってからというもの数ヶ月、一日と欠かさず毎日二十分のスーパーサーキットトレーニング(とにかくこれだけやっておれば筋力持久力耐久力瞬発力集中力記憶力決断力統率力スイカにサキイカがつくというものすごい触れ込みのトレーニングであった)を実施し、よしよしけっこう筋肉ついたやないかと思ったとたんテレビで宮古島のトライアスロンを見ておおこれや。これに出よう。そう思ったぼくはすぐさま高校時代乗っていた自転車を改造し、いきなり水も持たずに往復六十キロの旅に出かけ、疲労のあまり帰ってくるなりそのまま玄関で眠りこけたのであった。絵に描いたようなアホであった。数年で飽きてしまったため結局宮古島の大会には出ることがなかった、というかロングディスタンスのレースには出たことがないのだが、今となってはなんであんなことしたんかいなあと不思議でしようがない。でもやっていた頃はめちゃくちゃおもしろかったのである。なんであんなことがなあ。この気持ちは、なんであんなん好きやったんかいなあ、とちょっと可愛いだけで頭がアホだったりさほど可愛くもないうえ脚が太くてイケズな性格だったりもっといろいろあるけど万一これを読んでいたりするとさしさわりがあるのに加えぼくの偏った性的嗜好がばれそうなので詳しくは書けない女の子たちと過ごした日々を思い出すのに似ている。俺、あの子好きやったんや、と胸張って言えるのはかなり好意的に見積もっても二三人しかいない。ああなんとアホな人生。首が痛い。


今日もばりばり仕事 3/26/99

もうほんとにばりばりばりばりばり仕事する。仕事の鬼である。二時までどんより寝ていてビートたけしに腐った弁当をもらう夢を見たり、夕方まで女の子と電話でだらだら喋ったり三階の友人とビールを飲みながらげらげら笑ったり一人になってからテレビで筋肉バトルを見ておさるに感心したりそのままの続きで前から見たかったジム・キャリーの『ライアー・ライアー』をビデオで見ておもしろいけどめちゃくちゃ強引な設定やなあと思ったりすることをまったくせずに全部我慢して仕事をした。なのになぜか進まない。不思議だなあ。


とりあえず終了 3/25/99

ここ数日ばりばりやったおかげで、とりあえずきしざる工務店の仕事はおおよそ終了。と書くと、これを読んだ一瞬ぎょっとして焦りまくった人がたぶん一名いると思う。もちろん嘘である。全然進まん。


背骨がドレミファソ 3/24/99

元々体中のあちこちの関節がぼきぱきと音を立てやすい体質なのだが、昼過ぎ机に向かったままいつもやるように腰をねじったところ背骨が下の方から順番にドレミファソと音を立てた。いやいやほんとほんと。そんなふうに聞こえた、のではなくて見事に正確にドレミファソであった。ぼくには絶対音感などないので、始まりの音がCであったかなんであったかはわからないが、きっちり長調の音階でドレミファソとなっていたのはまちがいない。何度ねじっても同じように鳴る。友野詳さんがメディアワークスの忘年会のビンゴで当てたやつをくれると言うのでわざわざ友野さんの家まで行ってもらってきたヤマハキーボードで確認してみると、おおなんとちゃんとピアノのドの音から始まっているではないか。ツェードゥアーである。おもしろいので思い切ってねじり方を強くしてみたらドレミファソラシまで鳴った。すごいすごい別々に鳴らすことはできるだろうか他の音は出ないだろうか和音は出せるだろうかとそれから一日中ずっと背骨をこきこきと言わせて練習したところ、なんとかメロディらしいものが弾けるようになった。これはテレビに出て白いギターとジーパンもらえるんとちゃうかとうきうきし、さらに練習を続けた結果音域も広がり和音も出せるようになりハーモニクスを利用して長い音をのばす方法も覚え、もうたいていのことならできるまでに上達した。そこでなにか楽譜はないかと昔買ったオーケストラスコアをひっぱり出してきてマーラーの『巨人』とストラヴィンスキー『春の祭典』とバルトーク『オーケストラのための協奏曲』を続けざまに一音のミスもなく演奏してみたのだがさすがに疲れたな。


ばりばり仕事 3/23/99

朝早く目が醒めてしまったので、そのまま一日中昼飯も忘れてばりばり仕事をする。本当のことなのにいつにも増して嘘臭いのはこれいかに。


アカデミー賞 3/22/99

NHK衛星で放送するのやめてくれないかなあ。なんでわざと泥臭くするかなあ。見事に台無しにしますなあ。そのまま流せばそれでいいのになあ。馬鹿とちがうかなあ。いつか滅ぼしたいなあ。


近所の婆さん 3/21/99

仕事がはかどらないのでいらいらし、気晴らしに本屋へ行こうとぶらぶら歩いていたら踏切につかまってしまって余計にいらいらした。踏切から電車までの距離を判断して遮断機が下りるらしく馬鹿がすぐそばの駅で特急待ちかなにかでずっと停まっているやつにまで反応してひたすらかんこんきんかん意味もなく鳴っているのである。もうちょっと利口な遮断機を設置せんか馬鹿者、と憤っているとそこへ親子連れとおぼしき老婆と中年女性がやってきた。ぼくの横で停車中の自動車を見るなり娘の方が「いやあナントカさん」と嬉しそうな声をあげ、車の助手席にいた中年女性も窓を開けて「いやあ久しぶりやねえ。お元気?」というような会話が始まって実ににぎやか。婆さんの方も顔見知りらしく「お宅さんはいっつもお元気そうでよろしいねえ」とか「お子さんはどないしとってのん?」「またいつでも遊びに来てくださいねえ」「はいはいおかげさまでもう七十三」「また今度よしてもらいますさかいに」など実に楽しそうに声高らかに笑いあり驚きありの会話が弾む。電車が三本ほども通るのを待ったのち、やっと踏切が開いて車は発進し「ほなまた」と去っていったのだが、車が行ってしまうなりがらっと口調の変わった婆さんは娘に向き直って怒ったように「今のん誰」


遅れてきた男 3/20/99

天満で牧野修氏と田中啓文氏がホラーの書き方を講義するというので聞きにいく。ところが田中啓文氏は開始時刻の五時になっても姿を見せず、しかたなく牧野さん一人ではじめることとなった。一人でするのはいややいやや怖いつらいしんどいおなかいたいぼくもう帰るとごねていたくせに、牧野さんの語る講義内容は実に立派なものであった。だてにホラー坊主と呼ばれているわけではないんですなあ。しかし田中啓文は来ない。たぶんどっかで死んでしもたんやそうにちがいないとみんながあきらめかけた六時頃啓文さんはどたどたとやってきて嬉しそうに言うには「六階で待っとったんですわ」会場は五階であった。この講義は講師が毎回変わるがほぼ毎週あって、そのつど五階だったり七階だったり、第一回なんか全然違うビルでやったりしたのである。五時になった段階で知った顔がなければ普通は場所まちがえたかなあくらいのこと気づくと思うのだがいかがなものか。一階下でみんながやきもきしているとき、すぐ上の階でひとりぼっさーと待っている姿を考えるとなかなかに悲しいものがあって笑える。あほやあほやあほやー。


きしざる工務店の仕事 3/19/99

全然進まん。これはなかなかえらいことですぞ。なにあなたも書けない。ではぼくは満州に逃げますのであなたモンゴル行きなはれ。あんたも書けん。わしも書けん。書けんもんが三人。おもろい。おもろいことないがな。わけわからんか。わからんじゃろうなあ。ではあなたにわかるようお話いたしましょう。ひろーいひろーいのーはーらーじゃ。おわかりかな。すると丁稚が屋根から落ちてくる。とにかくえらいことじゃえらいことじゃ豊年じゃ豊年じゃ。今日はめちゃくちゃじゃ。


怪現象 3/18/99

コーヒーがなくなりあるはずの買い置きがなく悶え苦しんでいるのにプリンターのインクが切れ急ぎの用事を手書きでごまかしてファクスしたところその返信でいきなりファクス用紙がなくなりやはり買い置きはなくばたばた買いにいき唇が荒れたのでメンタームを塗ろうとすると爪の先にちょこっと付く程度しかなく一塗りで完全に底をつきスパゲティを茹でようとしたら五本しかなく代わりにインスタントラーメンを作ると玉子がなくよくよく見てみたがやはりコーヒーはなくくさくさして風呂へ入るとシャンプーがなく出ると着替えのパンツがなく夜遅く腹が減ったのでうどんを作りさあ食べようとして七味がなくなり頼りないまま黙々と食しビールを飲んで寝ようとしたら友人数人が突如やって来てまだ十数本あったビールをすべて飲み尽くして帰っていき仕方がないジンを飲もうと思うと氷がなくあきらめてストレートにするかとジンの瓶を見ると空っぽでぎょっとして前にもらったはずのウィスキーを探したが見あたらず発狂しそうになりながら寝室の灯りを点けたら電球が切れた。


大変ざます 3/17/99

きしざる工務店の仕事は大変ざます。右へ行くざます。左へ行くざます。クライシスの箱が五十個もあるんざます。小豆島があるなら大年増もあって豊島園と三つで年増三姉妹。春には祭で年増三獅子舞。という謎のような話を電話で五時間。勇敢マダムは戦うのである。わけわからんざます。


気持ち悪い 3/16/99

早朝ふと目が醒め、突如として短編のネタを思いついた。夢で見たのではなく、目が醒めて天井を見たとたんばばばばっとひらめいたのである。毎日こうならなあ。いやしかしこらなかなかええがなとあれこれ頭の中でひねくりまわしているうちにふたたび眠ってしまい、昼前に起きたときにはきれいさっぱり忘れていたかというと全然忘れておらずきっちり覚えていた。ぐっすり眠り込んだのではなく悶々としていたためずっとそのネタに関する夢を見ていたような感じで、それがまあ実にどろどろした気持ち悪い話であったため自分がその事件に直接巻き込まれているようないやな気分で起き、きっちり覚えていた代わりどっと疲れてしまったのだった。実際に短編として仕上げるにはあれをこうしてそれはああしなくてはならんからとりあえず置いといて、と他の仕事にとりかかったもののいやな気分は抜けず、そうしているうち実際に背中の筋肉がこわばってきて吐き気までする。食欲もない。夜遅くなって、ちょっと気分転換をしようしかし本を読む元気はないおおそうだWOWOWでやっていたのをなんとなくビデオに撮っておいた『パーフェクト・ブルー』というアニメがあったあれを見ようとうきうき見てどえらいめにあった。あんな話だとは知らなかったのである。アニメでR指定と言えば誰だってうっふんだめよ先生誰かに見られちゃうみたいなものを想像するではありませんか。「ブルー」という単語からの連想でぼくの頭の中では勝手にロボットの中に入って宇宙人と戦う超能力美少女の援助交際と地球防衛と歌と踊りみたいな話ができあがりつつあったというのに見ればこれが実によくできた異常心理モノで、怖くて気持ち悪いいやないやな話なのだった。なんでこういうときによりによってこういうものを見てしまうのかその偶然が恐ろしい。気分転換どころか泥沼に引きずり込まれたようなものである。ああしんど。ラストはちょっとずっこけたけど。


おお 3/15/99

おおもう十五日。なんともうええのかそうかそうか早いなしかし。


イカナゴの釘煮 3/14/99

毎年三月初めになると、明石市内ではどこへ行っても醤油と砂糖が煮える甘辛い匂いが充満している。どこの家庭でも「イカナゴの釘煮」を作りはじめるからである。いつから始まった風習か知らないが、それほど古くはないと思う。少なくともぼくが子供の頃はやっていなかったはずだ。ところが今では、この時期明石の主婦たちは鬼のようにイカナゴの釘煮を作り、なぜかせっせと他人に配るのである。大量の釘を巨大な土鍋に入れて火にかけ、釘が熔けて赤くどろどろになったところでイカナゴをばどどっと放り込み、すぐさま大量の醤油と砂糖をぶっかけて鉄の温度を下げ、鉄が固まりきらないうちに鉈で五センチ角程度に切っていくのだが、この一見鉄のかたまりと見えるものが実はカルシウムを多く含んだ高蛋白物質で、これはイカナゴの体内に多く含まれるババロドンピリンによって急激に酸化した鉄分が、醤油の主成分であるベベロヤンカーチとともに熱せられることで空気中の酸素とドドンパ結合し、というようなダイナミックな料理を想像するかもしれないが実はそうではなく、砂糖と醤油でイカナゴを煮るだけのことである。よく知らないがショウガも入れると思う。三月初めに獲れるイカナゴはシンコ(新子?)と言って小さく柔らかく一番おいしいのだそうで、それをどっばーっと魚の棚なんかで買ってくると馬の餌かと思うほど大量に煮るのである。そうして無理矢理あちこちに送る。明石では主婦は全員これをやるため町中にはイカナゴの釘煮グッズが氾濫する。イカナゴを入れて送るプラスチック容器や袋などである。宅配便の窓口には「イカナゴの釘煮専用窓口」が設置され「イカナゴの釘煮専用ラベル」が置いてあるのだ。またこのアホはしょうもない嘘書いて、と思っているあなた。今度ばかりは本当なのですぞいやまったく。当然うちの母親も大量に作った。「イカナゴの釘煮専用パック」にきちんと詰めて積み上げたものを背に仁王立ちとなり、あの人とあの人には送りなさい住所教えなさいはいこれ送ってきなさい早くしなさいと普段はおとなしいくせにこのときばかりは妙に断定的に強制するのだった。あまりの勢いに圧倒されことの善し悪しを判断する間もないまま命令にしたがってしまいどうやら今年も何人かに送ってしまったような気がする。もしかして明日あたり田中哲弥から甘ったるい匂いのする荷物が届くことがあるかもしれませんが、怯えず落ち着いて対処すればなにも心配はありませんのでご安心ください。


中華料理 3/13/99

三階の友人がすぐ近くにめちゃくちゃうまい中華料理屋があるので行こう今から行こうと強く誘うのでひきずられるようにして行った。見た目はラーメンと餃子でランチ480円、みたいな店なのにメニューはちゃんとしていて驚いた。最多価格帯は1500円くらいであろうか。実にちゃんとしていて一瞬帰ろうかと思ったほどである。ぼくは食べ物の好き嫌いというのが皆無なので、なんでもいいよと注文はすべて友人に任せたところ、エビのナントカカントカ煮、というのと酢豚と、レモン鶏、という三皿が出てきた。一皿の量が多いので二人だとがんばってもそのくらいしか食えないのだと言う。レモン鶏というのはそういう鳥を捕まえてきて料理したわけではなくニワトリの肉を唐揚げのようにしてからそこにレモン風味のどろりとしたものをかけた料理で、酢豚は酢豚であり、エビのナントカカントカ煮はエビをどうにかして煮たものらしい。どれもおいしかったのだがエビが特にうまかった。また食べたいと思うほどである。ぼくはだいたい栄養さえきちんと取れればなにを食べていてもいい人間で、うまいとかまずいとかはあまり気にならない。というよりよくわからないのである。しかしこのエビのなんとかは実においしいと思った。料理にまるで興味のないこのぼくでさえおいしいと感心するのであるからきっととてつもなくうまいと思うか、どうせ味などなんにもわからないぼくのごとき鈍感がおいしいと感じたところで、たまたま腹が減っていたぐらいのことできっとどうということもないと思うか、さあどっちでしょう。


『蒲生邸事件』/『慟哭の城XXX』/『闇の運命を背負う者 3』 3/12/99

のんびりしていたわけではないのだが半日ずっと本を読んでいた。心の奥底ではあれもしなくてはこれもやらなくてはと焦りつつ、本を読むのであれば資料になりそうなあれとかあれを読むべきであるのになあとわかっているのに、なぜか読んでしまったのである。切羽詰まると読書量が増えるのである。そういうものである。

宮部みゆき氏『蒲生邸事件』(光文社カッパ・ノベルス)と田中啓文氏『慟哭の城XXX』(集英社スーパーファンタジー文庫)を続けざまに読了。心地よく切ない読後感のある緻密な構成の力作と、片やいやーないやーな後味の悪ーい濁流のごとくネタを畳みかける強引な力業。しかしながらどちらも読み始めると次が気になってしかたがない点では共通していて感心した。ぼくも仕事せなあかんなあと思う。それはそうと、おんにょごにょん。というのを書かずにおれなかったアホさが笑えました。ちんぬるお! てなに。

約6時間同じ姿勢で本を読み続けていたため体がぎしぎしし、とりあえず実家へ帰ると神坂一氏から新刊『闇の運命(さだめ)を背負う者 エピソード3』(角川スニーカー文庫)が届いていた。こちらはアクションを畳みかけつつほんのり恋物語というジュニア小説の王道。ぼくも仕事せなあかんなあと思うのに気がつくと結局この本も読んでしまっているんですなあ。仕事せなあかんなあ。空間凍結! というのは流行りそうな気がする。


確定申告 3/11/99

昨夜遅くから、細々と溜めた領収書やらなにやら取り出してごそごそ画策しはじめたのだが今年は非常にシンプルな確定申告になることに気づきほとんど記入せずそのまま税務署へ赴く。去年担当してくれた税務署の人はめちゃくちゃ親切で内訳なんかなんにも見ないで数字だけ確かめると「はい完璧です」と言ってにこにこ世間話なんかして和気藹々であったのだが今年の担当は実にややこしそうなゲイリー・シニーズに似たいっさい笑うことのない非情なタイプだった。去年のように苦労の末いろいろと工夫した経費などを見せていれば実にややこしい笑いのない非情な事態が発生したと思う。しかし今年はシンプルなので実にらくちん。「ああ。赤字ですか」と鼻で笑われただけであとはほいほい進んで文句の一つもなく全額返ってくるのだ。わっはっはどんなもんじゃ楽勝楽勝喜んどる場合かあっ。

夕方から三宮へ出て田中啓文氏と会ってだらだらと飲む。新刊『慟哭の城XXX』をいただいた。まだ読んでないが目次のあほらしさに呆れ果てる。どう考えてもあの目次はアホです。


「朝ごはんが食べたい」 3/10/99

なぜか今頃、昔に書いたショートショート「朝ごはんが食べたい」について言及されることが多い。書いたのは二十歳の頃でまだ学生であり、今読むとなんとなく恥ずかしい気もするのだが誉められると嬉しい。嬉しいなあもっと誉めてもっと言って飲もうよ飲もう。飲んでる? うわあ本物の我孫子武丸だあ飲もう飲もう。ううーん(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)訳あって削除)頭きちゃうよね。(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)(訳あって削除)本日のこの日記は特定の人物とは全然関係ありません。飯野さんお元気ですか。


高校時代の彼女の子供の写真 3/9/99

高校の同級生で、今でもときどき電話やら手紙をくれる二人の子持ちの主婦がいるのだが、その人が突如なにを思ったのか高校三年生のときぼくがつきあっていた女性から来たという年賀状、それもぼくのことになどまったく触れていないしかも去年の年賀状を、わざわざ封筒に入れて送ってきた。七五三のとき撮ったらしい男の子二人の写真が貼り付けてある。これがいやがらせというわけではなく、明らかに好意で送ってくれたらしいのであるわけがわからん。同封の手紙には、下の子なんか(その女性に)よく似ているでしょうみたいなことが書いてあるのだがそんな顔だったかなあ。上の子が「ぼくに」よく似ていたりするというのなら、あわてて過去の所業を振り返ったりもするであろうが母親に似ているくらいで振り返る余裕はない。きっちり前を向いたままである。過去のことは全部なかったことにしよう知らん知らん俺は忘れたみんなも忘れてくれ思い出すな考えるな訊くなしゃべるなどこへ行くんじゃじっとしとれ。と思っているところへ高校の同窓会名簿を作るので現在の職業や学歴などの必要事項を記入して送り返せという往復はがきが来た。なんでそんなもん作るんじゃいやがらせかとすぐさま捨てようとしてふと見ると、名簿は一冊18000円ですが購入希望の場合は下欄に丸をなどと書いてある。18000円。買う馬鹿はいるのだろうか。なにあなた毎年買っているちょっと来なさい話があります。


おかしい 3/8/99

毎日きちんと日記をつけているはずなのに、この日の分がない。ない、と書いてあるのはこれいかにというような悠長な話ではありませんぞなんでないのか。ちんこの話を書いたので消されたのかと思ったが見れば7日のちんこは健在である。おかしい。誰や。誰の仕業や。知り合いの顔すべて思い浮かべて全員を疑う。しかしなんでないのかなあ。たしかに書いた覚えもないのだが、これまでの数ヶ月書いた覚えがなくても起きたらきちんと毎日更新されていたのである。この日、なにがあったのか。それも思い出せない。おかしい。誰や。


本棚を買う 3/7/99

今の仕事場に引っ越してから一年と半年が経つが、ずっと買わねばならんなあと思いつつ延ばしのばしにしていた本棚をやっと買った。近所に最近できたらしいDIKというホームセンターのチラシに安くてよさそうなのがあったのである。同じものを四つ買う。これで床に積み上げてある本がすっきり片づくことであろうしかしあなたディックですよディック。店内にはディックのテーマみたいな歌がときおり流れ、あなたのディックわたしのディックみたいなことを連呼しているのである。ドイツではホーデンと言うのだと聞いたことがある。とある留学中の日本人女学生がドイツ人教授の運転するベンツでアウトバーンを走っているとき、車のドアで静電気がばちっと走ったのを見てすかさず「ほーでんっ(放電)」と叫びながら隣にいた男子学生の太股に手をやったところ、仰天したドイツ人教授がハンドル操作を誤って蛇行し、危うく全員死にかけたという話もある。なんの話かとな。ちんこじゃちんこ。

失礼いたしました。飯野さんお元気ですか。


深夜の来客 3/6/99

またしても夜中十二時過ぎに友人がやってきた。出張で九州に行っていたが昨日帰ってきたということで、いろいろ大変だったというような話を聞く。宿泊していたホテルでは隣の部屋で自殺騒ぎがあったとかで、それはえらいことやったんやなあと感心していると、ちょうどそのときに電話したではないか忘れたのかなどと言いだし、もちろんそんな電話などなかったのでなんだか奇妙な具合であった。疲れているのかどうも言うことが変で、見れば顔色も悪い。何度知らないと言っても電話したと言い張るし、死んだ女の人の遺書の横にはぼくの著書が並べてあったのだとか気味の悪いことを言う。夜中であろうと電話があれば妻が気づかぬはずがなく、そんな電話なかったよなあと妻に訊くとたしかになかったと微笑んでいる。うちの奥さんもああ言うておるぞと笑っていると友人は真っ青になり、おまえ結婚なんかしてないやないかとまたしてもわけのわからんことを言いつつ突然がたがたと顫え出した。結婚してないというのならここにいるこの女はいったい誰なのだと妻を指さしてやると突然帰ると言って逃げるように玄関へと向かう。わけがわからないまま妻と二人で玄関まで見送ると、あわただしく靴を履きつつ彼は妻を見て「たしかにおまえに抱きついて笑とう女が見えるけど」と泣きそうな顔になり「顔がどろどろや」そう言うなり走って行ってしまった。どういうことだっだのだろう。


犬には好かれる 3/5/99

銀行に行ったり郵便局に行ったり家賃を払いにいったりローソンでコピーをしたり本屋に行ったり確定申告にもまだ行ってないし雑用ばっかりでいらいらする。いらいらしているのにどういうわけか散歩途中のゴールデンレトリーバーにえらく気に入られて抱きつかれてあちこちなめられたりした。訊けば雌だという。飼い主に引き離されてもめげずに、ぼくのズボンの裾を軽く咬んで引っ張ったりするのである。かわいい。どこぞのアホ犬とは大違いである。見ず知らずの異性に突然好意もあらわに抱きつかれあちこちにキスをされ、遊ぼうあそぼうと袖を引かれるというような経験はなかなかあるものではない。犬でも嬉しい。そういえば昔近所の山の中を自転車で走り回っていて、疲れたので自転車にまたがったまま汗を拭いていたところ、背後から音もなく忍び寄ってきたジャーマンシェパードにペダルに載せた踵を咬まれたことがある。その咬み方というのが、がぶっというのではなくちょいちょい、という感じで、ぎょっとしてぼくが振り返ると尻尾をばさばさ振りながらじっとこっちを見ているのだった。遊んでくれと言っているのである。あれも可愛かった。ジャーマンシェパードと言いゴールデンレトリーバーと言い名前からしてえらいしっかりしたはりますなあというようなああいう賢い犬だと飼っていても毎日楽しいに違いないと感心して実家に帰るとアホ犬よだれはぼくの顔を見るなり散歩に連れて行けと小屋から出てきてびゃんびゃん吠え、興奮して飛び上がって自分の犬小屋の屋根で頭を打って仰向けにひっくりかえり、あわてて立ち上がろうと水の皿に足をつっこんでひっくりかえして全身水浸しになり、きゃんと叫んで小屋に飛び込んで奥の壁でごぐっと頭を打ってから、今わたしの身にいったいなにが起こったのでしょうという不思議に満ちた顔をしてゆっくり小屋から出てきたのであった。アホな犬には呆れるばかりである。


4.5キログラム5500円 3/4/99

稀代のアホ犬よだれが病気によく効く1キログラム1800円という途方もなく高価な餌を馬鹿みたいにがつがつ食い尽くしてしまったためさてどうするかということになったのであるが、なぜか実家の長である父親はやおら裏の物置から古いドックフードを出してきてなんの根拠もなくこれを与えるのがよかろうと宣言した。あまりよくないのではないかとは思ったものの、そのあまりの決然とした態度に気圧され放っておいたところ、翌日よだれの尿道はふたたびつまってしまったのだった。それまでのきちがいじみた元気をなくして小便のたびにきゅうーんなどと泣きごとを言っている。ほほーえらいあっさりつまるんやなあと、自分の仕業で飼い犬の病を悪化させておきながら父親は淡々と感心するばかりでなんら手だてを講じようとはせず、結局獣医へ赴いて今度は4.5キログラム5500円と多少はお得ながらも恐るべき高価な餌を買いにいくのはぼくの役目であった。しかし犬畜生、しかもなんの芸もなく見知らぬ人が来れば死ぬほど怯えて小屋の奥に丸まって息をひそめるだけの番犬の役にも立たない見てくれもとくに可愛くもないまぬけ面のアホ犬の食費に5500円というのは、なにやら不細工でわがままで頭の悪い茶色い薄汚い油の浮いた品のない大阪のアホの女子高生に高級ワインを飲ませるみたいで納得がいかん。


ヘッドライト 3/3/99

最近ヘッドライトのまぶしい車が多いように思うのだが気のせいであろうか。一度対向車のライトがハイビームになっているのだと思って、まぶしいので下げてくれというつもりでこっちも一瞬ハイビームにしたところ、さらにまぶしくされてしかもそのまますれ違うまでまぶしいままであった。追いかけていってこの手で息の根を止めたかったが狭い道のためどうしようもなく、暗くて運転手の顔も見えなかったのでもう一度会うまで機会を待つということもあたわず、ひたすら冷水を浴びつつ経を読んで呪うだけにしておいた。あれからあの車のドライバーは二三日ほどで内臓が腐って眼球が濁って溶けて飛び出して鼻毛がすべてミミズ蛇になって顔中の肉を囓られ痛さのあまり家から走り出て石に躓いて近所の池に落ちたはずなのだがたしかめるすべがないのでちっともおもしろくない。最近の馬鹿が好んで乗る車にはハイビームの上にまだもう一段明るいスーパーハイビームというようなまるでウルトラマンの武器みたいな装備があるというのも考えにくいので、おそらく通常のライトの位置をハイビームくらいまで上向きにしているのであろう。いかにもアホのしそうなことである。そういう車を何台も見る。アホに車を与えたりするからである。ヘッドライトとは別にフォグランプとか補助ライトを点けていてまぶしい車もある。ああいうものは霧が出ていたり、とてつもなく見通しのよい場所を高速で走り抜けるとき使用するものであって、交通量の多い場所で雨も降っていないのに点けるものではあるまい。そんな判断もできないのか。しかも対向車を真っ向から照らすようなセッティングにしてあるためまぶしくてしかたがない。そんな車を何台も見る。アホにフォグランプなど与えるからである。アホは歩け。


忘れていた 3/2/99

東京から帰って、あとになってその顛末を書いたりしていたので日記のサイクルがずれて混乱し、2日の分を書くのをすっかり忘れていた。しかしすっかり忘れていた、と書いてあるのはこれいかに。


まだ書いてない 3/1/99

まだ書いてない、と書いてあるのはこれいかに。


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