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ムカデに噛まれた 6/30/98

毎年一度か二度はやられるのだが、幸い去年は一度も噛まれず、近所の畑の農薬による蝶々バッタの激減にともなってムカデも減ったかと安心していたら今年は早々とやられてしまった。裸足で飯を食っていたら(足で食っていたわけではありませんぞ。え、足で飯食いはるんでっか、とか絶対言いそうな人が一人いるのだ最近なにやら忙しそうな作家で)足の上を這いやがったのだ。ごく小さいやつであったし、ちくりとした程度だったのですぐにアンモニアをべとべとにつけたら、さほど腫れずにすんだ。これからはできるだけ仕事場で寝るようにしよう。田舎の夏は恐い。

昔コピーライターをやっていたとき、寝ているあいだに腕を二カ所噛まれ、腕全体が風船のように腫れ上がったことがある。仕事にはなんの支障もなかったが、当時はろくでもないお風呂(金ラメ浴槽テレビ付き。アホですがな)の宣伝や建築関係のどうでもいいイベントのパンフレットなどよりも自分の小説を書く時間が欲しくてたまらず、これ幸いとそれを口実に会社を休んだものであるが、今はムカデに噛まれてもただ痛いだけでなんのいいこともない。頼むから噛まんでくれ。


とにかく人気がない 6/29/98

『電撃アドベンチャーズ』の最終号に、実はこのホームページのアドレスが載っているのであるが、発売日から十日も経とうというのに参照数の増え方はまるで変わらんのである。やっぱりあの雑誌買ってぼくの小説読む人はおらんのだなあとつくづく考え込んで腹立ちまぎれに今日も犬のよだれを裏返す。二度やったが、二度とも硬直して白目を剥いていた。

とある出版社からファンタジー小説あるいはジュニア小説を書くための心得のようなことを書いてみよという話があったのだが、はっきり言ってぼくはファンタジーもジュニア小説も書こうとしたことすらないので、ちょっとそれはと言うと他のテーマでもよいということになった。ファンタジーもジュニア小説も今のところぼくには関係ないように思うのだが、そういえば大久保町のシリーズをジュブナイルと紹介されたこともあるし、そうなのかなあ。


車検証 6/28/98

先日車検に出したということを書いたが、車だけ先に引き取って車検証とフロントガラスに貼る四角いステッカーはあとで郵送してくれるということになっていたのである。そんなことは今まで一度もなかったのだが今回はなぜかそうだった。で、土曜日にわざわざ書留で送られてきたのだが、先ほど実家へ帰って封筒を開けてみるとこれがまったく他人のものであったのだ。なんのための書留じゃ。ぼくのは七年経ったパジェロなのに、送られてきたのはまだ三年しかたっていないディアマンテのものである。よし、この車検証で百万は借りられると一瞬思ったのだが、ぼくの車検証もおそらく別の人のところへ行っているだろうから、それを手にした人が借金まみれな上にぼくと同じようなことを考える人で、しかも実行力ばりばりなどということのないように心から祈る。車検証だけでそこまではできないと言われるかもしれないが、やっぱりちょっと気持悪いのである。そういえば前回の車検のときも今回も、車の中にシール剥がし用のごつい刃がついたカッターがぼそっと置き忘れてあったが、なにかにつけぼんやりした営業所なのだろうか。はははブレーキのネジ一個忘れてましたわ、効かんはずですわ死なんでまあよかったよかった、という声がどこからともなく聞こえてくる。だいじょうぶかほんまに。次に車を買うなら三菱だけは絶対やめようと強く思う。


『ブルースブラザース2000』 6/25/98

明日で終わりと新聞に書いてあるのを見てあわてて観にいった。たいへんおもしろかったが映画としておもしろいというよりは、かつて楽しいひとときを過ごした仲間との同窓会みたいな雰囲気で、前作をよほどのめりこんで観たおしたような人間でないとミュージシャンに頼ったただむちゃくちゃなだけの映画なのではないかと思う。話の展開も強引だし、ギャグもいまいち冴えない。それでも胸に迫る懐かしさでぐっときてしまうのだが、やはりなんのこっちゃという人も多いはずである。しかしつくづくジョン・ベルーシというのはものすごい存在感の人だったのだなあと思う。いない人のせいで、とても淋しい気持にもさせられる映画だった。

今回一番おもしろかったのは前作ではローハイドを歌うところにあたるモンスタートラックのショーで"Ghost riders in the sky"をやるシーン。どうおもしろかったかは観てない人のために書かないけど、ぼくはこの曲好きなのでとても感動した。今、マッキントッシュにCDを入れてこの曲をかけている。「靴のヒラキ」で買った三枚組二千円の『カントリー&ウエスタン』というCDに入っているのだ。歌っているのはThe sons of the pioneersと書いてあるが誰なのかなんにも知らない。歌詞もわからん。イッピーアイオーとはどういう意味なのだろう。なんにしてもかっこええ曲や。

ジョン・ランディスの映画には必ず"See You Next Wednesday!"という文字がどこかに出るということらしいが、どこに出たのからわからなかった。けっこう気にしていたのに。

トランペットのアラン・ルービンという人が、年を取って長門ヒロユキ(字がわからぬ)そっくりになっていたぞ。イッピーアイオー。


車検/『水妖』 6/23/98

もう八年目に入るのでこれを換えないとブレーキが効かなくなるかもしれません、底から錆びてしまうかもしれません、オーバーヒートするかもしれません、爆発するかもしれません、いやがらせがあるかもしれませんなどとさんざんいろいろ脅されたがいや大丈夫いりませんとよけいな交換をすべて拒否し、調子の悪かったミッションのオイルなどオイル類以外はそのままでやってもらったにも関わらず十六万円以上かかってしまった。中古の軽自動車なら買えるのとちがうか。おかげで今月からは銀行通帳の数字が赤くなることが確定。

廣済堂文庫『水妖』読了。こういう短編集は風呂でちょっとずつ読むのにまことによろしい。一番おもしろかったのは菅浩江氏の「蟷螂の月」で、これまでに出ているシリーズ五冊中ベストではないかと思う。


今度は太った 6/22/98

土曜日仕事場の三階に住む友人と飲みにいき、帰ってきてからも友人宅で飲みつづけたのでひさしぶりにべろべろとなった。寝る前に、仕事の紹介のメールが来ていて返事を書いたようだが、そういえば返事書いたなあと思い出したのは翌日その返事が来てからであった。何を書いたかは当然記憶になくあわてて読み返すと正真正銘酔っぱらいの文章でひゃひゃひゃなどと書いてある。一応仕事の話でありずいぶん失礼なのではないかと思うところであるが、相手が田中啓文さんだからこれは別にいいのである。

幸い翌日まで酒は残らず、しかし起きたのは二時過ぎで雑用がいろいろあったため夕食までなにも口に入れなかったし、夕食もそれほどたくさん食べたわけではないのになぜか今日は太っている。こうしてキーボードを叩くのも、指が太くなりすぎているためなかなかひとつのキーだけを叩くというのが難しい。また腕についた脂肪がじゃまで肘がほとんど曲がらず、三十分もキーボードを叩いていると肘から先全体が鬱血してしびれてしまうのである。立ち上がったりちょっと便所へいくという程度の運動でさえ異様な重さのせいでままならず、さきほど苦労して荒ゴミを出しに外へ出ようとしたところ、体が玄関に挟まって二時間ほど身動きできなくなり、やっとの思いで外へ出ると今度は階段の踊り場で方向が変えられない。よく見ると、肘掛け付きの仕事用のデスクチェアが腰の肉を挟んだまま尻にひっついており取ろうにも腹や腕の脂肪のせいで尻まで手が届かないのだ。下の道を通る小学生たちはぼくを見つけて「椅子ヤドカリや椅子ヤドカリやー」と喜ぶし、ゴミの収集車は行ってしまうし、くしゃみをしたおかげで椅子は外れたものの粉々に吹っ飛んで近所数軒の窓ガラスを割ってしまうし、人間太るとろくなことはないのである。


電撃アドベンチャーズ 6/19/98

拙作『やみなべの陰謀』の最終回が載っている『電撃アドベンチャーズ』が送られてきた。今回で休刊ということらしく、連載はことごとく最終回のようである。他のみなさんのところの最後には「今秋電撃文庫から出版予定」みたいなことが書いてあるのに、ぼくのところにはなくてびびる。売れそうにないので本にしてもらえないのかもしれない。たしかに連載の五回ともぼくの小説だけ明らかに色物という雰囲気であり、他の人気作家を目当てにこの雑誌を買う人がぼくの小説を読むとはとても思えず、まあこの際全五話完結までなんのお咎めもなく好き勝手に書かせてもらえただけでよしとしよう。なんにしろ自分で読む分には自分の小説が一番おもしろい。

20日発売である。これを逃せばもう読めないし、万一まとまって本になったとしても雑誌掲載時とは大きく変わるはずなので田中哲弥ファンは買うべし。いやしかしぼくのファンというような人がどこかにいるのだろうか。UFOを見るより先に発見できるかどうか誰か賭けんか。

先日の新聞でも、このアドベンチャーズ誌の記事でも映画『ディープインパクト』はけっこう褒められている。あんな不自然なうえにありきたりな泣かせのパターンの繰り返しのどこが重厚なヒューマンドラマかと思うのはぼくだけなんだろうか。みんながおもしろいと言っていると、ついもう一度見て「うんやっぱりおもしろかった」と言いたくなるので困る。おもろなかったけどなあ。

廣済堂文庫の『水妖』を買う。誰もくれないので自分でローソンで買った。まだなんにも読んでないが今回はイラストが空山基氏でとても美しい。昔この人のイラストにあこがれてお年玉をはたいてエアブラシを買ったりしたことがある。二万円もしたが絵を描くたびに高価な(と当時は思った。当然今でも思うはずである)ボンベが次々必要となるのに恐れをなしてほとんど使わなかった。全然空山基みたいは描けないし。いちいち凍るし。まだ実家を探せばあるはずだ。誰かいらんか。

蛇の皮 6/18/98

実家のサクラの木の枝に、まとわりつくようにして脱いであった。年々大きくなるようで今年のは二メートル四センチもある。この蛇はどうも天井裏に住んでいるらしい。(写真はタイトルをクリック)

雀の雛を助けてやった 6/17/98

朝どうもがさがさちゅんちゅんとやかましいので窓を開けてみたらベランダに雀の雛がいた。雛とは言っても飛べるようになるまであと一歩という感じのやつで、ピンクで線目でずるはげの不気味なあれではない。さらにベランダと言っても幅三十センチ程度しかない長細ーいもので、布団を干すにも苦労するほどの狭さしかない。おそらくその狭さゆえ、飛び立つことができなくなったのであろうが、そんなとこでなにをしとるんやと手を出すと真っ赤な口の中をがわっと開いて見せて威嚇された。なかなかの迫力に心底びびったのでしばらく放っておく。

十分ほどしてから見るとまだいたため、飯粒を指に載せて顔の前に突きだしてやったところ、そそくさとそれをくわえたのでそうか食い物は取るのか思ったらすぐにぺっと吐き出しやがった。しかし頭を撫でてやるとじっとしているようにはなったのでそのまま掴み取り、丸焼きにしたらうまいかともちょっと考えたのだがあんまり小さくて断念する。空へ投げてやったら飛ぶかと思ったがぼくの仕事場は二階であるし、そのまますーっと落ちてべしょっと死なれたりすると困るしで投げるのはやめ、一階まで降りていって地べたに置くことにした。すぐに母鳥とおぼしき雀がやってきて、それが地面を走ると雛も続いて走りだし、よかったよかったと安心していたのだが母は飛び上がっても雛はアホなのかトロいのかそのまま地面にいるのである。

小一時間ほどもちゅんちゅかちゅんちゅかと母鳥とともに地面を飛び跳ねておったが、その後どうなったかは知らない。言っておくが、ぼくは決してひまではない。

夜、某テレビ局でアナウンサーをしているとても可愛い女性から久しぶりに電話があった。日本のミュージシャンのインタビューなどもよくするらしく「もう本当に最低」なミュージシャンを数人教えてもらう。ここにその名前、書きたくてたまらんのだが、我慢する。

なぜか朝六時に目が覚めてしまったのでビデオを観る 6/16/98

『ミスター・クレイジー殺したい男』(MR.WRONG)という映画をビデオで観る。主演は去年と一昨年グラミー賞の司会をやっていたエレンなんとかという女の人で、それを追っかけまわすのが最近よく見るビル・プルマン。それなりにおもしろかったがなにより一番おかしかったのは頭の切れた女を演じていたジョアン・キューザックという人である。この人はたぶんスティーブ・マーティンとリック・モラニスが出ていた『マイ・ブルー・ヘブン』で、ものすごく可愛い役をやっていた人だと思う。それが今日観た映画では別人かと思うほどのきちがいぶりで、そのギャップもあってめちゃくちゃおもしろかった。こういう美人は好きですなあ。


そろそろ飽きてきた 6/15/98

ホームページを作ったものの、見知らぬ女子高生から熱烈なメールが来てややこしいことになるというようなこともなく、せっかく本の宣伝までしているのに増刷の声がかかることもなく、見知らぬ人妻から誘惑されることもなく、ファンクラブができるでもなく、見知らぬ小泉今日子からデートの誘いが来るでもなく、なんのいいこともなくてわしゃいったいなにをやっとるのだろうかという気分である。作ってからまだ二十日もたってないではないかと言う人もいるかもしれないが、なにを隠そうぼくはめちゃくちゃ飽きっぽいうえに褒美がないとなんにもやる気にならんのだぞ。なんかくれ。

ああつまらん。


サッポロドラフティでコンバースが当たった 6/14/98

生まれてこのかたこういうものでなにか当たるということがまったくなかったので、ちょっと驚いている。二万七千名に当たるということであるが、たぶんぼくは百口くらい出した。シール二枚で一口だったから実に約二百本分である。いやコンバース欲しさに飲んだわけではない。今はワンケース二千四百円というアメリカの発泡酒を見つけたので(ぼくにはビールとの違いがまったくわからんのだ)それを主に飲んでいるが、ちょうどプレゼントのキャンペーンのころドラフティはワンケース二千五百八十円と大変安かった。しかもドラフティには黒ビールもあり、友人がアメリカから持ち帰ってきたペプシのどでかいプラスチックコップだと缶ビール二本分七百ミリリットルが充分入るので、普通のと黒と二本どぼどぼ入れてハーフアンドハーフにするとまことに具合がよく、結果一度に二本飲むことになって一日に飲む量も見事に二倍となったのだった。

しかし景品とはいえコンバース。コンバースと言えばあなた、昔はお洒落な若い衆はその名を聞いただけでひれ伏したものですぞ。偽物のコンバースまであって、近所の靴屋では偽物を「普通のコンバース」本物を「アメリカのコンバース」として分けて売っていたりしたものである。まったくお洒落でなかったぼくでさえ、なるほど本物はズック靴のくせにずいぶん高いのだなあと思って感心した記憶がある。そういうものが、抽選で当たるなどという希有な過程を経て手元に来たとなると、あまりにももったいなくて履くに履けないのである。さてどうしたものか。


鬼平が終わった 6/11/98

昨日の放送で『鬼平犯科帳』は終わりだそうである。時代劇でこういうのができるのだから、現代劇でももっとまともなテレビドラマがあってもよさそうなものなのになあ。

というわけでここでキャンプなどでできるゲームを一つ。用意するものは十手。なければ棒状のもの(新聞紙を丸めるとかでもいいが固い方がおもしろい)。適当な人数で内側を向いて円く座り、鬼となった一人が円の外側を歩きながら適当に一人の背後に十手を置く。ここまではハンカチ落としと同じ。そして置かれた者は左周りに円の周りを一周するのだが、その際十手で右隣の者の尻をいくら叩いてもよいのである。このとき「御用御用」と一発につき一回大声で叫ばねばならない。したがって気をつけるべきは自分の左側の人物が十手を手にしたら、すぐさま逃げるということで、のんびりかまえていると円を一周する間何十発も尻を叩かれることになる。一周すると叩かれ続けた人物は元の場所に座り、十手を手にした者がふたたび誰かの背後に十手を置く。これが『鬼平ハンカチ落とし』である。

もし実際にやることがあったら発案者である田中哲弥まで連絡ください。やったあとでもかまいません。たぶんおもしろいと思うので、感想が聞きたいのだ。


ペプシで宇宙 6/10/98

わざわざペプシを買わなくても、葉書さえ出せばよいのだそうだ。当たれば宇宙へ約二分三十秒間行ける。気になるのは、選ばれる五人というのは全世界でなのか日本でなのかということだが、全世界で五人となると、これに当選するよりもこれから一生懸命働いて運良く本が馬鹿売れした結果千五百万円くらい余裕で遊べるような金持ちになるという可能性の方が高いような気もする。いやしかし死ぬまでになんとしても一度は行きたいものである。一千万円でクイーンエリザベス二世号世界一周よりもぼくは千五百万円で二分三十秒の宇宙に行きたい。

ところでペプシの抽選に応募するにはクイズに答えなければならない。「***で宇宙へ行こう!」の***にあてはまるカタカナ三文字が問題である。ぼくは正解がわかったが、競争率が高くなっては困るので答えは誰にも教えないのである。


風邪をひいたかもしれない 6/9/98

暑いのか涼しいのかわからなかったのに、なんとなく窓を開けて寝たらどうも体の調子が悪い。どんよりとだるいので、これはいっちょ運動をすれば筋肉もほぐれて元気になるかと一時間ほど重いものを持ち上げたり下ろしたりしてがんばったところよけいしんどくなった。

昼からぼんやりだらーっと『ブルースブラザース』のビデオを観て過ごす。仕事はなんにもせず。しかしこの映画はおもしろい。

『炎の証言』(Origin and cause/Shelly Reuben 桃井健司訳 扶桑社ミステリー)読了。父親が買ったらしく実家にあったのを持ってきて、ちょっとずつ風呂で読んだ。登場人物が端役までおもしろいので楽しかったが、ミステリーと呼ばれる小説のパターンで、ラストに謎解きがあってがっかりした。これが好きな人はそれがいいんだろうけど、ぼくはどうしても最後にくどくどと探偵役の人物がこれまでの謎解きをするというタイプの話が好きになれない。この話は別にそれをしなくてもよかったと思うのでちょっと残念だった。帯には北上次郎氏がベストに選んだ! みたいなことが書いてあるけどだいたい「今年の1位!」とか、こういう文句にはあまり期待しない方が普通は腹が立たなくていいような気がする。でも『炎の証言』はけっこう楽しめました。


『タイタニック』を観た 6/8/98

もうじき終わるというので観にいった。大阪のOLなんかが不細工な目を剥いて「めちゃめちゃよかった」などと言っている姿をさんざん目撃したので、あまり期待していなかったがたしかにおもしろかった。脚本はハリウッド映画としてはAマイナスくらいのところではないかと思うのだが、終止映像に押しまくられる。船首の尖端にいるディカプリオと女の子のアップから、そのまま上空へ浮いたカメラが船を見下ろしつつ船尾まで行き、海面近くの高さまで下りて船が去っていく姿を映したのには感動した。特撮とはわかっていながらも、どないして撮ったんやと不思議でしようがない。映画とはかくあるべしという見本のような映画であった。途中、こらもうあとは鉄砲のドンパチさえあったら文句なしやなと思っていたところちゃんとそれらしきものもあった。しかもそれがちゃんと次のシチュエーションへのきっかけになっている。エンタテイメントの鬼と言えよう。

イラストレーターの高橋秀和氏によると、ディカプリオがアカデミー賞でノミネートさえされなかったのは、実はディカプリオのシーンはすべて本人ではなくCGであったからだというのだがみなさんどう思いますか。

今日行った映画館は明石市の大久保駅前のスーパーの中にある映画館で、どうせチンケなもんだろうとあなどっていたらずいぶんいい映画館で感心した。椅子もいいし前の人の頭がじゃまにならないようスタジアムのようになっていて画面もそこそこ大きい。ワーナー・ブラザースと関係があるらしくいちいち映画館のロゴタイトルがどーんと出るのもかっこよかったし、映画が始まる前にバッグスバニーが出てきて映画館の案内や注意事項を喋るのも気がきいていた。シルベスターもヨセミテ・サムも出て、続いてロードランナーとワイリーコヨーテも出るかと期待したがこれは出なかった。なるほどあいつら喋らんからなあ。昔神戸新開地の新劇会館で三本立てを観たとき、映画の前に原語のまま字幕スーパーでバッグスバニーを一本やってくれて感激したことがある。ドクター・モーのネタであった。ワーナーマイカル、などと名乗るのであれば、ぜひそのくらいのことはやってもらいたいものだがみなさんどう思いますか。

空耳アワーのビデオをもらった 6/6/98

また飲みにいった。別に暇なわけではない。連載が終わって必要以上にのびのびしているだけである。偉そうに言うほどのことではないけど。

今日いっしょに飲んだ人は某国立大学の講師をしていてタモリ倶楽部の空耳アワーを集めている人である。空耳アワーを集めるのはもちろん仕事ではなく趣味なのだが、今日もらったのが六時間分。今までもらったものを合わせると三十時間分くらいになる。一回分が数分しかないことを思うとこれはもうパラノイア。こんなビデオを持っている人間は、日本中探してもあんまりいないはずだ。で、これはとてもおもしろいのである。こんなおもしろいものを、一部の人間だけで楽しんでいていいのかと思う。小学校のカリキュラムに「空耳の時間」を作ってもいいのではないか。できればスパゲティ。はっはっはわからん人にはまったくわかるまい。

二三日前には、アメリカへ遊びに行っていた友人に頼んであった『ブルースブラザース』のビデオが手に入った。日本語字幕なしワイド版THXサウンドである。日本で出ている分はワイド版がなかったと思うのだが、たぶんすでに出ているかそのうち出るかするのだろう。ワイド版を手にしたぼくとしては、出ない方が嬉しいのだが。しかし何度観てもこれはおもしろい。ジョン・ベルーシもジョン・キャンディもキャブ・キャロウェイも死んでしまったのだなあ。

友人によると、ラストの監獄で最初に踊り出す人物がイーグルスのジョー・ウォルシュだということである。それは知らんかった。

眠い 6/3/98

とても眠い。

今日の夕食がすき焼きだったせいかもしれない。もちろんすき焼きを食べると眠くなるというわけでは決してなく、すき焼きのような食べ物はビールの量が増えてしまうからである。

しかしほかほか弁当やコンビニの弁当などを買ったり、外食をすることを思えば一人ですき焼きを食うというのはけっこう安くつく。その代わり続けて三日すき焼きだったりしてしまうが、それでもそこそこの牛肉を買ってなかなかうまいすき焼きが食える。料理というほどの手間もなく一人暮らしにはお薦めである。さらに六時頃の生協へ行って「二割引」というシールの付いた肉を見つければ言うことはない。なに少々色が変わっていようが匂いがしようが肉は肉。死にません。

痩せた 6/2/98

どういうわけかここ二三日で三キロちょっと痩せた。特に普段と変わったことをしたわけでもなく寝る前のビールの量が少し減ったかなあと思うくらいのことなのだが、たしかに軽くなった分臍のまわりの脂肪が薄くなっているようだ。元々脂肪が少なかった上に色白なのでここまで痩せると明るいところだとかすかに内臓の蠕動するようすが見える。筋肉組織や血管なども透けて見えるため裸で鏡の前に立つとまるで人体模型である。運動は毎日ある程度心がけていて筋力は衰えておらずどちらかというと日々鍛えられており、そのせいかさきほど溜まりに溜まった小便を思い切り放出したらその勢いで体が浮いて驚いた。勢いがおさまるまで便所の天井に頭が押しつけられ、少し首をねじってしまったようである。ひどいめにあった。

犬を裏返しにした 6/1/98

裏返しにしたのは昨日のことである。うちの犬は夕方の散歩の直後に餌をもらい、そのあと九時過ぎぐらいに夕食の残り物をもらうという習慣で暮らしているのだが、この二度目をもらってもまだくれくれと鳴くことがある。昨日あんまりうるさかったので、こらしめるため裏返しにしてやったのだった。久しぶりだったのと向こうも経験を積んで要領よくなっているのとで思わぬ抵抗にあい、ひどく手こずったがなんとか裏返す。裏返されると半目を白く剥いて凝固し、四肢も硬直するのでおもしろい。そのまま腹を撫でてやってから放したのだが、放心したように横座りとなってされるがままだった。こういう反応は初めてである。これまではたいてい裏返しの状態でぽんと腹を叩くと跳んで逃げたものだが、やはり年であろうか。たしか今年七歳のはずだ。

なんにでもびびる頭の悪いこの犬の名前は「よだれ」という。もらったとき車で連れてこられたせいかよだれだらだらのふらふらだったためその場で決定した。以後、狂犬病の予防注射へ行くと必ず係りのお姉ちゃんにぷっと笑われるし、獣医さんからの案内葉書には「よだれちゃん」と書かれてあってなんとも間抜けである。しかも顔も間抜けなのである。当然性格も間抜けで毎日自分の飲み水の中で雀が行水をして糞を撒き散らしても黙ってそれを眺めつづけている。(写真を見るには「顔も間抜け」をクリック)


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