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アイスキャンデーの工場 6/30/02

 アイスキャンデーを作る工場には「凍らすライン」があるそうだ。

『アベノ橋』打ち上げパーティー 6/27/02

 ああこれで本当に終わってしまうのだなあ、と思いつつ『アベノ橋魔法☆商店街』打ち上げパーティーに行く。会場は、新宿なのに「銀座アスター」とはこれいかに。時間になってもなかなか始まらず、どうなっておるのだと思っていると剥き出しの千円札数枚をひらひら振り回しながらサエキトモがやってきて、なんでそんなもん持っとるんやと訊くと「貴重品やから」他は財布まで全部クロークに預けたのだそうだ。財布くらい持っとけ。へんなやつ。
 いろんな人と会ってにこにこしているうち『アベノ橋』最終話の上映となる。ええ話やなあと思っていると上映後、作画監督の平松禎史さんがぼくのとこへ来て「どうでしたか。最終回」と訊く。前にぼくが平松さんに「第一話のあるみちゃんがいかに美しかったか」を熱く語ったので「今回のあるみちゃんは気に入ったか」ということらしかった。それはもうばっちりだったのでそう答えると「田中さん、これ気に入ってくれるかなあ。このあるみちゃんは美しいかなあ、と考えながら描いたんです」と言うではないか。おい聞いたかみんな。あのあるみちゃんは「田中哲弥のために」描かれたあるみちゃんなのである。だからあれは「田中哲弥のためのあるみちゃん」なのである。あれはおれのんや。どんなもんや。
 二次会ではあるみちゃん役の松岡さんと携帯メールのやりとりをしたりして気分はラブラブである。どんなもんや。サエキトモは武田さんとなにやら話し込んでおり、遠くから眺めるとそのようすは暴走族の初代総長が現役ヘッドに説教を垂れているという趣であった。いいかサエキ、兵隊の数は多ければいいってもんじゃねえんだぞ。みたいな。
 二次会を途中で抜け武田さんと推理作家協会のパーティー組に合流し、カラオケボックスで南智子さんに脇腹をくすぐられる。どんなもんや。サエキから携帯に電話がかかってきたりする。一応どんなもんや。出るなり「あたし」と太い声が聞こえたのでてっきり浅暮三文さんか誰かがいたずらしているのだと思ったのだが実はサエキだった。どういうおっぱいが好きなのかというようなことをしつこく訊かれる。
 深夜三時頃新宿のホテルに戻り、牧野さんの部屋でだらだらすることになったが、アベノ組の宴会がホテルの近くでまだ続いているということだったのでそっちに行ってみたところ、サエキはともかく松岡さんももう帰ってしまっており残っているのはおっさんばっかりでがっかりした。それでも五時まで遊んで、ぶらぶら歩いてホテルに帰ると牧野さんの部屋ではまだ我孫子さん藤原ヨウコウさんに田中啓文さんがげらげら笑っていて、結局八時前までアホな話をする。

北野勇作出演の芝居を見に行く 6/22/02

 虚航船団パラメトリックオーケストラの芝居を見に行く。連れは毎度のことながら田中啓文氏。たまにはきれいなお姉さんと行きたいものである。北野さんは声がでかいなあとか、一心寺シアターとかいうこの劇場は椅子の高さがめちゃくちゃ低くて座りにくいなあとか、どうでもいいようなことばっかり考えているうち芝居は終わり、自著の他SF大賞のパーティーのときのパンフレットみたいなものまで並べて偉そうにしている北野勇作氏をおちょくる。北野さんが、産卵する亀の写真をやろうというのでなんでそんなもんをと思いながらもとりあえずもらい、その後だらだら梅田で飲む。二軒目に入った店ではジャズのライブをやっていたが、そこで演奏していたテナーサックスが下手だと言って田中啓文はものすごく怒るのだった。あまり知られていないことであるが、温厚そうな外見とは裏腹に田中啓文はけっこうなんにでも怒る人で、先日も(訳あって削除)

えらい言われようじゃぞ皆の衆 6/19/02

朝日新聞夕刊 『山本直純さん死去』より抜粋

小澤も僕も目標だった
東京芸大時代から親交のあった指揮者の岩城宏之さんの話
 芸大時代は、小澤(征爾)も僕も、目標は直純だった。日本であれほど才能に満ちあふれた男を知らない。小説で言えば中間小説のような方向に行ってしまったのが残念で、「お前を目指して勉強したのに、純文学に戻れ」と小澤と2人で朝まで口説いたこともある。
 その後、N響の定期公演を振らせることにも成功したが、公務執行妨害事件を起こし、テレビに干されてしまった。あの事件さえなければ、純文学に戻ったかもしれないと思うとかえすがえすも残念だ。

 けっこうむかつく。

世界王者決定戦 6/17/02

 JRの車両には「モハ」とか「クキ」とか「ザク」とか「ドム」みたいな記号が書いてあるが、その中で特定の車両だけを集めて世界一を決定するための大会をやるのである。
「キハ・ワールドカップ」

迷い犬 6/16/02

 電柱に「迷い犬」「犬を探しています」という見出しの張り紙があって、信号待ちをしながらなんとなく読んでしまう。飼い犬がいなくなって、ものすごくつらい思いをしているのだなあということがひしひしとわかる、なかなかの力作であった。うちのよだれがいなくなっても、張り紙してまで探したりはせんやろなあ二時間くらいであきらめるやろなあこの犬は愛情のある飼い主に飼われて幸せなやつやなあ踏まれたり裏返しされたりおあずけ二時間の刑とかされたことないんやろなあなどと思う。しかし「白黒ブチ中型のおとなしい性格」はよいとして、名前「ロスト」というのはできすぎというかなんというかちょっと待てよと思う。そんな名前にするからいなくなるのだ。

なぜ闘牛 6/13/02

 昔なじみの女性と電話で話していて、とある友人が病気をしてめちゃくちゃ痩せてしまったのだと聞かされた。元々どちらかというと太っていた人なのに「ミイラかゴボウみたいにガリガリ」だったという。ミイラとゴボウが同列に並ぶ様はなかなかにおもしろかったが話は意外な展開を見せ「でも病気は治って、今はマタドールになっている」というのである。
 なんで病み上がりで闘牛なんかするのだ。しかしなんだかわくわくする話ではないか。友人にマタドールがいるというのはけっこう自慢できるのではないか。
 と思ってよくよく聞いたら「マタドール」になったのではなくて「元どおり」になっただけだった。つまらん。はっきり喋れ。

ごじあます 6/10/02

 ネットで腕時計を買ったら相手の人がとても丁寧なメールをくれたのだが、語尾が何度も「ごじあます」となっていておもしろかった。「ドイツの軍人が、自ら使用することを前提にスイスのメーカーに発注し、丁寧に作られた時計でごじあます」とか。ローマ字入力ならではのミスである。誰でもこういうのを見ると「ああ"ai"と打つべきところを"ia"と打ってしまったのだな」と推測してくれるのだろうが、親指シフト入力だとこういう間違いは起こらない代わり(ぼくの場合マッキントッシュの拡張キーボードというやつのスペースバーを親指キーの代用にして、左右親指キーを時間差でやっているため)「な」と「で」や「え」と「が」、「ま」と「づ」が入れ替わったりして、普通の感覚だと絶対にまちがえるはずのないまちがいが発生する。下手をすると知性まで疑われることがあってちょっと困る。「これがまあなんともえらいことで」と書いたつもりで「これえづあでんともがらいことな」になったり。自分で読んでもなんのことかわからんのである。
 まちがいがくりかえされることで言葉の意味が変化したり、言葉そのものが変化したりすることは多いが、これからはこうした「ローマ字入力ならではのミス」によって変化する言葉が出てきたりするのではないかと思ったりしたことでごじあます。

ルイスvsタイソン 6/9/02

 タイソンみたいな化け物でも力が衰えてしまうのだなあと、あたりまえのことなのにめちゃくちゃ意外に感じてしまった。負けるのはしかたないとしても、終わってからしょぼくれた顔で「チャンスをくれたルイスに感謝する」みたいなこと言うのだけはやめて欲しかったなあ。タイソンがそんなこと言ってはいけません。今日はたまたま負けたがこれから夜道を歩くときは耳に気をつけろよ次に会うときは絶対殺してやるからなとかみんなそういうのを期待してるんだからね。でもまあ「ルイスのパンチをまともにくらっても倒れない。しかもものすごい勢いで殴り返す。あれだけ殴られてもまだ動く」といった化け物ぶりは見せてくれたので、まだまだ終わってないと思うけど。

最終回アフレコ 6/7/02

 ワールドカップサッカーのせいなのかどうかは知らぬが新幹線が満席だらけである。先週も乗れなかったので一時間近く早く出たにもかかわらず、結局新大阪の駅で二時間ほど待つこととなり、スタジオにはまたしても一時間遅れで入る。サッカーのせいなのかどうかは知らぬがサッカーのせいなのだろうなあと思ってめちゃくちゃむかつく。よそでやれ人の迷惑考えろ。
 最終回なのになぜか予告がつく、ということを突然言われてあわててアフレコの最中スタジオで書く。予告がやりたくてたまらないサッシに「予告をさせない」というネタで続けてきたのだが、最後の最後でまたしても予告をさせない台本を書いていると、横でそれを見た佐藤さんに「やっぱり最後まで予告させたらへんのですか。あんたひどい人やね」と言われる。そんなこと言われても。
 終わってからインド料理かなんかの店に行き最終回の台本に、山賀監督初め、庵野さん、平松さん、出口さん、あかほりさん、松岡あるみちゃん、のサインをもらう。絵描き関係の人は絵も描いてくれるのでものすごく得した気がする。松岡さんまでなぜか超人ロックの絵を描いてくれた。幼い頃からのアニメファンだというだけのことはあってこれがまた大変上手で驚く。サエキは頼まなくても勝手に殴り書きしていた。全国のアニメファンのみなさま、どうじゃうらやましいか。
 いやしかしついに終わってしまった。これで来週からまた暗く淋しいひきこもり生活に戻る。

久しぶりに落語 6/2/02

 よくわからなかったが田中啓文氏が仕事の関係もあって桂春菜さんの独演会に行かねばならんというのでいっしょに行った。ゲストは月亭八天さん。春菜さんは故春蝶師匠の息子さんである。
 トリイホールというのの場所がよくわからず、ふたりで千日前をふらふら迷っていると突如見知らぬおっさんが「トリイホール?」と声をかけてきて、そうやと言うと親切に場所を教えてくれた。不思議な体験であった。
 生で落語を聴いたのは本当に久しぶり。もう二年くらい行ってない。春菜さんは父親譲りというかそっくりというか、博打打ちのおっさんなんかの迫力は相当すごいものがあって、顔も男前やし人気でるやろなあと思う。八天さんは相変わらず生真面目な上手な落語で、今日の寄席はかなり得をした気分である。
 そのあとだらだらふたりで飲みにいき、先日明石にやってきたとき帰りに田中啓文が襲われた未曾有の不幸について聞かされ驚愕する。生まれてこのかたあれほどの悲惨な目には遭ったことがない、とは本人の弁であるが、ぼくも絶対にそのような目にだけは遭いたくないものだと心の底から願う。どのような体験か、書きたくてたまらないのだがとてもではないが悲惨すぎて書けないのである。いやほんとに。

なんとかレーが燃えている 6/1/02

 映画の話をしていたときである。
「なあ、ヒッチコックの映画で、ジョディ・フォンテーンかなんかそんな名前の女優が出てて、なんとかレーが燃えている、いう台詞言うやつ、あれ、なにレーやったかなあ。スタンレー、みたいな」
「そやスタンレーや」
「いやいやスタンレーはちゃうはずや。スタンレーみたいやねんけどスタンレーちゃうんやええとなあ。あ、帰ってきた。あいつやったら知ってるやろあいつに訊こ。おいあのな」
「マンダレーや」
「そうやそうやマンダレーや。マンダレーが燃えるんやようわかったな。で、あれなんちゅう映画やったかいな」
「絶壁やろ」
「おまえあほやろ、それを言うなら断崖や」
「そうや断崖や」
「レベッカじゃっ」



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