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千町峠と竹取の湯 7/27/03

 やっと晴れたので兵庫県生野のあたりの千町峠とかいうあたりへ行く。いつもコースは先輩Y氏にまかせっきりなのだが、今回はY氏もいいかげんな地図しか持ってないということで道中いろんな人に道を訊きまくり、結果帰ってきた今でも自分がどのへんをどう走ったのかよくわからんのである。しかしまあとにかく登り下りしかない山奥のコースであった。平地はまったくといっていいほどなかった。坂を登っているときは歩いているような速度にまで落ちることもあり、こつこつこつこつゆっくり走るしかないのだが下りは突っ立っていてもスピードは出るので舗装路だとあっという間に終わってしまう。その結果、ずーっと登っているみたいな気持ちになるのだった。まあそれが楽しいのだけど自転車に乗らない人にはなかなか理解してもらえないところである。
 生野の山の中ではヒグラシばかりが鳴いている。他のセミの声はどういうわけかまったく聞こえない。山間にときおり響くヒグラシの声、というのはなかなか風情のあるものであるが、山全体で叫んでいるかのようなヒグラシの大合唱は風情がどうこうというより相当不気味である。走っている間中ずーっとけけけけけけけけけけ。けけけけけけけけけけ。けけけけけけけけけけ。クレッシェンドディクレッシェンドの連続。実に気色悪い。たまに見たことのない模様のアゲハチョウや野鳥など見かけて嬉しくなるが、すぐにけけけけけけけけけけと笑われてぎくりとする。黙々と坂を登っているとき耳のすぐ横でけけけけ言うこともあって、もしかするとあれヒグラシの鳴き声によく似た奇声を発するなにか他の生き物だったのではあるまいか。
 未舗装の、それもあちこちえぐれ拳大の石がごろごろ転がっている道が多く登りも下りもY氏のランドナーではかなりつらかったようだ。降りて歩かないといけないところも多かったみたいだが、ぼくの方はフルサスなのでラクラクである。笑ってしまうほどすいすい走る。石や段差を乗り越えるときのライン取りにあっ失敗したと思っても、後輪を誰かが支えて押し上げてくれているかのようにぐいっとグリップしてくれる。Y氏にとっては散々だったものの、ぼくの方は今まで走ったどのコースよりめちゃくちゃおもしろかった。やっぱりマウンテンバイクというくらいで山を走るためにできとるのだなあと思う。フルサス買ってよかったなあ。
 けっこうしんどかったが走行距離はたかだか四十五キロほど。瞬間最高速度は下り坂での時速五十三キロ。プロのロードレースなんかだと平地でも六十キロくらい出してるわけで、それを思うとおっさんのツーリングはなんとものんびりしているのである。
 車に自転車を積んでから香寺まで走り「竹取の湯」という温泉に入る。露天風呂があってその背後が竹藪になっているので「竹取の湯」である。よく知らないがたぶんそうなのだろうと思う。ヒグラシの合唱も遠くから静かに聞こえてきて、もう怖くない。ひんやりと草の香りのする風の中、ひたすら青く高い空を眺めつつお湯に浸かる。と書くと美しく詩的な雰囲気に思えるところだが、家族連れのガキはうるさいし竹藪のそばだけに蚊が多いし、世の中そんなに甘くはなかった。

車に蜂の巣 7/22/03

 最近はほとんど車に乗らず以前にも増して自転車ばっかりで、前に自動車運転したのは何ヶ月前かなあというような状態なのであるが今日見たらドアのヒンジ部分に蜂が巣を作っておるのであった。車のまわりは蜂だらけ。わんわん言っている。アシナガバチである。完全に乗っ取られている。寒い時期は猫が寝床にし夏には蜂が巣を作るのである。実家に置いていた頃はよくタイヤで蝉が羽化していた。おまえら俺の車をなんだと思っておるのだ。殺虫剤を注入し、のたうちまわりながら地面に落ちる蜂を次々と踏みつぶして殺し尽くしたのち卵やら蠢く幼虫やらが満載の巣をこそぎおとしてさらに踏む。大虐殺である。よくまあこんなに残酷なことができるものだなあと薄ら笑いさえ浮かべている己の残虐さに感心しつつ、アメリカの気持ちってこういう感じなんだろうなと思う。

『新世紀エヴァンゲリオン』リニューアル版DVD-BOX 7/18/03

 前に出ていたDVDも全部持っているのだが、またもらったのである。アニメファンの皆の衆、うらやましかろう。いやあとにかく箱がすごいめちゃくちゃかっこいい。赤くて透明で両側ににょいっと開くのであるわからんかわからんだろうなあ。とにかくいかにも「エヴァの箱」という感じである。この箱のためだけにでも買ってしまう人は多いだろうと思う。映像も綺麗になっているようだが音が5.1chになっていて、ぼくのところの手作り擬似サラウンドシステムでも以前のものとの差は歴然としている。相当手の込んだリニューアルである。音だけでもおもしろいのでみんな買うように。とわざわざもらったので宣伝しておこうと思ったのだが聞くところによると発売と同時に完売したそうで、しかも箱がややこしくて増産できないらしく、もう店頭で新品を手に入れることはできないという話である。ぼくは持っている。ああええ気分や。はっはっはっうらやましいかどうじゃうらやましいかなにどうしてもと頼むのであればちょっとくらい触らせてやってもよいぞふっふっふ。

『マトリックス・リローデッド』 7/15/03

 意外にもギャグ満載であった。無理してかっこいい振りをせず、このノリでギャグ全開にしたらもっとものすごいのができると思う。ぜひやって欲しい。

雨でも自転車 7/8/03

 よく考えてみると実家と仕事場を往復する場合、雨に濡れたからといってもすぐに風呂に入れるし着替えもできるわけで気温の高いこの時期雨の中自転車で走ってもなんにも困ることはなくむしろ気持ちがよいくらいだと、一月くらい前にふと気づいたのだった。もちろん買ったばかりの高級マウンテンバイクを雨中に持ち出す度胸はないので安物のママチャリに乗るのである。少しでも雨が降りそうな気配があれば天気予報がなんと言おうとママチャリだし、空が晴れ渡っていても降水確率が10パーセントなどと言われればやはりママチャリにしか乗らない。整備が完璧な状態の自転車を雨に晒すのもいやだが路面の泥を跳ねて汚れるのもいやなのでとにかく濡れた路面は走りたくないのである。ギアやサスペンションの部分に泥が入って傷がつくなど考えただけで眩暈がする。先日、天気予報が降水確率0%だと自信満々にぬかすのでうっかり信じて新しい高級最新型マウンテンバイクに乗っていたらぱらぱらと雨が降ってきたため仰天しなにが0%じゃあほぼけだぼさく騙しやがったか気象庁この礼は必ずさせてもらうからなと毒づきつつマフェトン理論もエアロビック・ベース構築もほったらかして鬼漕ぎの全力ダッシュで死にそうになって帰ったりした。分不相応な高級自転車に乗ると大変気をつかうのである。
 その点安くてボロなママチャリなら泥がつこうが少々錆びようがまったく気にならないというわけで、すかっと晴れない日ばかり続くおかげでせっかく買った超高額最新フルサスマウンテンバイクは三ヶ月経ってもまだ遠出を含めて五百キロ弱しか走ってないのに、ママチャリでは近所ばっかりなのに毎月五百キロ以上走っているのだった。

朦朧とする日々 7/1/03

 寝てもすぐ目覚めてしまったり昼間突然眠気に襲われたりする。毎年暑くなるとやられるのだが、さほど暑くもないのに今年は早々とおかしくなってしまった。たぶん仕事のやりすぎだと思ういいやそうや絶対そうやまちがいないいいやまちがいない。眠ってもおかしな夢ばかり見るし起きても頭はどんより朦朧としていて現実と夢とが入り交じる。いつ寝たのかいつ起きたのか今起きているのか夢の中なのかわからなくなり、最近はときどき明晰夢も見るので自転車で山の中を走りながら突然明らかに人工のものと思われるジャンプ台が目前に出現したのを見て普通の道にあんな見事なジャンプ台なんかあるわけないしこれはきっと夢やからハイスピードのまま突っ込んでもふわりと向こうの斜面まで軽く跳べるはずと思って跳んだら実は現実近所の山の中、空中で完全にバランスを崩して着地に失敗し顔から落ちて鎖骨を折った。夢の中で空を飛ぶのは楽しいが、今みたいな時期はくれぐれもビルの屋上や断崖などには近寄らないようにしなくてはいけないなと思う。おもしろがって現実にやらかすと確実に死ぬからである。


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