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寒さのピーク 1/29/03

 無茶苦茶寒い。風も強い。天気予報で、今日がこの冬の寒さのピークだと言っているのを聞いた。ということはつまり今日のこの寒さに耐えさえすればこの冬はあとずーっと楽に過ごせるのではないか。と、そう考えて夜遅く自転車に乗ってみた。なぜそんなことを考えたのかはよくわからない。零度くらいまで下がっているのだろうなあと思いつつ走るが、とにかく顔と指が痛くて冷風にさらされた眼から涙がどほどほ流れる。一時間ほど走り、ああ寒かったと帰ってきてから外気温を調べるとマイナス三度であった。実に寒くてつらかった。これでもうこの冬は大丈夫だと思う。なぜそう思うのかはよくわからない。

急激に太る 1/28/03

 一昨日とその前日夜遅くに帰宅し、なぜか二日とも大変空腹だったため夜中に麺類ばっかりどか食いしたせいだろうと思うが三キロくらいどっと太って驚いた。長距離のレースの場合、試合の一週間ほど前からカーボローディングというのをやったりする。ぼくもごく大雑把にではあるが何度かやったことがある。これはタンパク質中心の食事とハードトレーニングで一度徹底的に脂肪を落としてから、今度は運動量を減らして炭水化物ばかり摂取し、わざと脂肪を溜め込むようにするという技であるが、ほぼこれと同じことを図らずもやってしまったらしい。ちょっと溜め込みすぎたとは思うけど。
 よしそれではと昨夜、自転車で走り回ったあと今度はだらだらランニングしてみたが実に快調。狙ってやってもこうはいかんというくらいにエネルギー満載である。いくらでも走れる。十日間くらい機嫌よく走れるのではないかと思ったが最近あんまり走ってなかったせいか靴擦れしてしまったので一時間ほどでやめた。今日計ると元の体重より一キロ近く減っており蓄えはすっかりなくなったようだ。こういうことをくりかえしていくと、体質がスポンジみたいになって一日で十キロ太ったあと翌日十キロ痩せるというようなことが可能になるのではあるまいか。五分で五十キロ太って二分で五十キロまた痩せる、くらいのレベルに達すると見せ物として充分おもしろいと思うので、誰か挑戦してみてくれたまえ。

またラジオ 1/26/03

 どうやら月に一回くらいは『アベノ橋』のラジオに呼んでもらえるみたいである。本番中に誕生日を祝ってもらったり、松岡さんに腕時計をもらったりした。サエキももうすぐ誕生日だというので腕時計はサエキとお揃いだ。はははどうじゃ微妙にうらやましいか皆の衆。
 サエキの妹さんや北野勇作夫妻も遊びに来ていて終始和気藹々。サエキの妹さんはめちゃくちゃ可愛い人で、皆驚く。最初見たときてっきり仕事でやってきたアイドルタレントかなにかだと思ったほどである。アニメの仕事をしてよかった。

牧野会 1/25/03

 牧野修SF大賞受賞を祝う会、略して牧野会が大阪であった。会場へ行く前に紀伊国屋書店に入ったのだが、土曜日の夕方だったせいか店内は満員電車並の混雑である。一度足を踏み入れたが最後指一本動かすことさえできずあとは人の流れに押されるがまま移動して、途中たまたま目当ての雑誌に手が届いたのでなんとかそれだけを購入することに成功した。しかしあの混雑の中平気で立ち読みしているのがたくさんいたけど、あれは本当に人間なのか。
 ぼくが幹事というわけではなかったのだが、店の予約をしたのがぼくだったせいでなんとなく料理の注文などしなくてはいけないような状況となり、しかしそんなことはぼくには無理なので人任せにしたらどういうわけかその後揚げ物ばっかりがテーブルに並ぶこととなった。ぼくはそれでもまったく平気だったが、やはり我孫子さんは怒った。ぼくは全然悪くないのに、なんとなく非難の目で見られて非常に心外であった。
 宴会そのものは北野勇作大暴走に始まり大暴走のまま終わる。「百万円いうたら百万円やけど犬でいうたらもう二千万円くらい、猫でいうたら五千万円くらいやで。もうそら大変やえらいことや。ぼくアホちゃうで」そうかそうか。

突然飲みにいく 1/17/03

 このところ仕事ばっかりしていてぼくは偉いなあたまには遊ばないとなあ、と思っていたら突然飲みにいこうと誘われたので飲みにいく。ぼくも含めて三人寄ったのだがひとりは五年ぶりくらいに会うやつで、ずいぶん雰囲気が落ち着いていて驚いた。かつては五分に一回くらい手を叩きながらのどちんこ見せて大笑いしていたのに全然笑わない。具合でも悪いのかと思ったのだがそういうわけでもなく、なるほど人間歳を取るとそれなりに落ち着くものなのだなあと感心する。しかし考えてみればぼくもそいつと同い年なのだった。ぼくもう落ち着いたかなあ。
 もうひとりは会えば必ずのべつ自慢をしているという不思議な人物で、これは昔も今も全然変わりがない。中学生の頃からずっと自慢しつづけているのである。自分が今の職場でいかに重要な仕事を任されているか、どのような素晴らしい功績を上げたか、どれほど忙しく勤勉であるかなど現在の自慢はもちろん学生時代の冒険からクラブ活動での成績そのうち過去に起こした交通事故まで自慢し自分の苦手な分野の話題になると、家族に友人、会社の同僚、同僚の知人にその知人の遠い親戚のことまで持ち出してきて延々自慢する。オレの友人なんかものすごいやつがいて、と言うのでどんなことをしたのかと思って聞いていたら「一輪車に乗れる」だけだったりしてこれはひさしぶりにびっくりした。それを自慢するおまえの方がずっとすごいやつだ。
 
自転車屋 1/12/03

 行きつけの自転車屋では扱ってないブランドがどうしても気になり、少々遠出をして初めての店へ行った。最初に入った店で見た自転車にほとんど一目惚れするが、いやまてまてとしばらく考えることにする。十八万円のものを見にいっていきなり二十八万円のものを買ってしまってはアホの買い物である。
 この店はぼくが今一番気になっているアメリカの有名ブランドをメインに取り扱っているところだが、とある有名メーカーを「扱わない」と断言していたという噂を聞いていたのでその理由を訊ねたら、大変興味深い話を教えてくれた。ちょっと衝撃的な内容なのでここには書けないが実に説得力のある情報で、あわててへんなの買わなくてよかったと胸撫で下ろす。自転車でもなんでもなにを買おうかと悩むのは悩むことそのものが楽しいわけだし情報は多ければ多いほどよいに決まっているから少なくとも半年くらいは悩みつづけた方がよかろうと考えあれこれ見ていたのだが、やはりわたしは正しかったどんなもんじゃ。この勢いであと三年くらい悩んでやろうかと思う。しかしまあプロとしての誇りと自信に満ちあふれた話にはいたく感心させられた。ぼくは子供のころから人の話はそれほんまかいなそれおかしいんとちゃうかそんなもん信じれるかい絶対嘘やという態度でしか聞かない用心深い人生を歩んできた人間であるが、買うならこの店にしようかなと半ば決めてしまったほどである。
 もう一軒訊ねたいところがあったのだがニューモデルに跨ったり説明を聞いたりしているうち三時間くらい経っているのに気づき、小物をいくつか買ってあわてて次の店へ行く。
 二軒目はいろいろ雑多に売っていて、プロショップというより普通の町の自転車屋さんという雰囲気の店だったが、お店の人々はここも熱かった。とにかく一万円のママチャリでも売る前に一度ばらしてグリスアップやホイールの振れ取りなど完璧にしてから組み直すのだそうだ。ちょっとした調整で自転車の性能は著しく変化する。同じ一万円の自転車でもそのへんのディスカウントショップで買うのとここで買うのとでは、まったく違う乗り心地であるはずだ。それは素晴らしいそれでこそプロだとここでも大変感心してしまう。
 しかし驚くのは早かった。親切にあれこれ動いてくれる奥さんが最初応対してくれていたかと思うと続いてぎょっとするような大声の兄さんが現れ、こちらの脳天打ち砕く大音声でだーっと立石に水の説明を展開する。あーこの(ぼくが検討中であるもうひとつのアメリカ有名ブランド)のやつはフレームのアルミが薄いからここのとここうやって細工せんと強度が保たれへんのですわ見た目綺麗にするだけのことやないんですわせやからほんまは台湾で作りたいけど作られへんようなわけでそいでどないしても割高で値引きもできひんもんでお客さんからこっちのあれとおんなじ値段やのにパーツのランク低いんなんでやもうちょっと安ならんのかいな言われてかなんしせやから指名買いで来る人以外にはここは勧めへんのですわメンテもやっかいでいちいち金かかるし。すると奥でホイールの振れ取りをやっていた白髪の老人ががばっと顔を上げ、その兄ちゃんをも上回るとんでもない大声で「かっこはええんやけどなーっ」風圧でよろめいたほどである。この家族、日常いろんなものが落ちてきたり窓ガラスが割れたりしないのだろうかと心配になる。
 びっくりしたのはこの店でも先の店で話題になった有名メーカーのことをあまり評価していなかったことで、あれは結局一回倒産しそうになってそれを(台湾の大手メーカー)が買うたもんでほとんどあれはもう(台湾の大手メーカー)そのものなんですわ、もう今では第二の(台湾の最大手メーカー)言われてるようなもんでまあ基本的に正味全部台湾の自転車ですわ安いモデルは中国で作らせてますし。とそこで奥のじいさんが「(日本のあるメーカー)もみな中国ですわーっ」店中の自転車がふっとんで外ではトラックがひっくり返り遙か遠くの方で老婆の悲鳴がした。
 この親子に会うためだけにでもここで買おうかと思うほどおもしろかった。結局悩みは増えた。

子供は歌う 1/3/03

 正月早々、仕事場の近くの子供が大声でCMソングを歌いながら走り回っている。コーヒー紅茶で、フセイン。赤ワインでも、フセイン。なんでもかんでもフセインが悪いみたいに言うのはどうかと思う。


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