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大便を調理 2/26/02

 大便をごはんと混ぜてフライパンに入れる。いつも使っている普通のフライパンに大便を直接入れてしまったがこれでよかったのかなあと少し心配になりながら、黙々と炒めていると、電話が鳴って目が覚めた。田中啓文からであった。ちょうど今、大便をごはんといっしょに炒める夢を見ていたと話すと少しも驚かず「ああなるほど」と言うのであった。
 
また天満 2/23/02

 小林泰三が講義をするというので出かける。他にも用事があったので天満のジュンクに寄り、その後あっちこっちにどかどか置いてあったディアゴスティーニ、スター・ウォーズなんとかファイルというのを衝動的に買ってしまう。たった290円なのにとても大きくてかさばるのである。本当にびっくりするくらいかさばる。近所の本屋でも売っているのに、こんな遠くでこんなかさばるものを買うのではなかったと後悔したがアフターフェスティバル。このファイルまだまだ続くらしいが、中身はつまらなかったので次からはもうどうでもいい。とにかくでかくてかさばるファイルが290円というのは安かった。でもおかげで一日中邪魔だった。
 小林さんの講義は驚いたことに去年より多少工夫されていたものの、気だるい雰囲気はいつもどおり。今年の生徒さんたちは活気があってよい、と小林さんはぐっふぐっふと喜んでいたが、本当のところなにに喜んでいるのかは深遠なる闇に紛れて常人には見ることができない。とにかくなにかに喜んではいた。終わってから中華料理屋で飲んでいると北野勇作氏もやってきて、なにを言ってもいきなり「ああ、あいつアホや」といろんな人の悪口を言い倒す。小林さんはずーっと笑っていた。なにに笑っていたのかはやはりわからない。

曲は 2/13/02

 オリンピック、フィギュアスケートの中継のときアナウンサーが「曲はムソグルスキー作曲、禿げ山の一夜」と言ったので椅子から落ちそうになった。単純な言い間違いだとは思うがスケベビッチ・オンナスキーみたいで笑える。コカンヲフ・マサグルスキーとか。
 それとは別に、夜NHKを眺めていると上海で行われたとてつもない花火を取材した番組をやっていた。途中から見たので詳しいことはわからないのだが、なんだか本当にものすごかった。空一面に光が飛び交うというタイプの壮大な夢をぼくはよく見るのだが、それに似ていてわくわくした。あれはなんや。

オリンピック開会式 2/9/02

 早起きして見る。鷲が見事に着地したこと以外は別におもしろくもなんともなかったが、原住民代表みたいな人たちの中のひとりが各大陸の代表選手に対してメッセージを告げるところでいきなり大声で「あほー」と叫んだのが印象的であった。

藤原ヨウコウ 2/7/02

 先日書いた短い話は藤原ヨウコウ氏の絵をメインに据えた企画のためのものだったのだが、今日その絵がゲラとして届いて、あまりのことにしばし言葉を失った。自分の小説につく絵でなくとも、ぼくのめちゃくちゃ好きな絵であることにまず驚いたのである。なにか内面の奥深くまで覗き込まれたような不思議な感覚だった。雑誌では二色刷になってしまうのが実に残念である。けど、藤原ヨウコウはすごい。
 しかし今回の「恩返し」という話、たいていの読者は「これ、なにがおもしろいの?」と思うだけなんだと思う。ええねん別に。
 
スーパーボウル 2/4/02

 見ましたかスーパーボウル。今日ほどNHKを張り倒したいと思ったことはない。まあ放送のなにもかもがひどかったが、カメラの位置が観客の後ろにあって、エキサイティングなプレーが出るたび毎回客の背中で見えなくなるというのは、怒りを通り越して笑ってしまった。コントやっとるのか。客が座っている分には、非常に見にくい不自然な位置ではあったもののフィールドが見えているのだが、スポーツ観戦をしている客それもスーパーボウルを見ているアメリカ人がずーっと座って見ているわけがないことくらい想像できんのか。君たちは馬鹿か。
 番組が始まる時間になってもその前のゴルフ中継が続いており、スーパーボウルはゴルフが終わり次第放送しますと出たのも呆れ果てたし、得点の出し方やリプレイの出し方もどんくさくて泣きそうだったし、ハーフタイムショーのときは向こうの映像をもらっているせいかハイビジョンカメラだと両側が余ってしまい、不細工極まりない飾りで隠していたのもみっともなかったし、そのおかげで画面の上下左右が切り取られ一回り以上小さくなってしまっていたのも大いにマヌケで笑えた。まあU2のショーそのものもつまらなかったからそれはまあいいんだけど。
 NHKにはちゃんとした番組もないことはないので、おそらくまともな人は普通の放送、だめな人間は衛星放送みたいな使い分けがあるのではないかと思う。というのも一度、衛星放送の方のニュース番組に出演していた女性が地上波のニュースに登場した際、アナウンサーはその人を紹介しようとして「衛星放送でご活躍でしたが、このたび本放送にステップアップ」などと言っていたからである。どうせ衛星放送なんか格下のもんだし、というのがNHK内部での認識なのだろう。そしてその中でもとりわけアホな人たちがスーパーボウルの中継をやっているのだきっと。こ、これでいいのかなー。あー、いいと思うのなー。こーかなー。んーとんーと。あーうんこしちゃったー。やったじょー映ったじょー。大変だじょー外人の背中しか見えないじょー。とか。
 毎年どんどん駄目になっているので、来年はもっとすごいことになるに違いない。今年よりひどい放送というのはちょっと想像がつかないのだが、とてつもない大爆笑巨編となることはまずまちがいあるまい。ああ楽しみじゃ。

死にかけの石焼芋 2/1/02

 仕事場と実家のちょうど真ん中あたりを自転車で走っていると、いつも死にかけの石焼芋売りに出会う。軽四トラックでゆっくり走っているのだが、そのスピーカーから流れる声が老人というか病人というか妖怪というか、この世の悲しみ苦しみすべてを背負ったかのごとき忌まわしい響きなのである。まず、ぴひーという石焼芋特有の甲高い音が鳴っているわけであるが、いきなりこれからして他の石焼芋と違ってあまりに切ない。かすれ震えるおどろおどろしきその音色は聞いているだけでつらくて胸がふさがりそうになる。そしてやがて息も絶え絶えに、今際の際の老人が助けを呼ぶような声が聞こえてくるのである。
 いいーいー、んはあ(いきなり息がつづかない)しやあー(あーのあたりで声はかすれて、泣き声みたいになって途切れるのである。かなり間があってから)きいもほよーん(助けてくでーというような口調である。唾を飲み込むような沈黙ののち)はひー(荒い息)ふひー(荒い息。そしてついに絶命した、という感じで)いも。
 くりかえし。
 早く誰か買ってやれ。死んじゃうぞ。




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