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いろいろあった 2/1-28/01

腹話術の人

 日航機のニアミス事故があった。ニュースをぼんやり見ていると事故機に搭乗していた乗客のひとりがしきりに「腹話術の人」が天井まで飛ばされたというので、いったいどんな人だったのかと不思議に思っていたのだが、あとでよく聞くと「スチュワーデスの人」であった。
 
システムを合気道

 冬樹さんの「システムを合気道してください」で思い出したのだが学生時代、家庭教師をしていたとき生徒の中学生美少女が「たいていの隕石は太極拳に突入するとき燃えてしまうのでしょ」と言ったことがあった。燃えるより前にそんなものには突入さえできないと教えてあげたのだが、その後家庭教師をやめてから何年かしてデートしたときカリフォルニアワインを飲んだ話になり、すでに大学生であったにもかかわらずあいかわらず美人というよりは美少女であったその子は、ワインといっても瓶に入ったものではなく、あれはなんて言うんだろう日本酒を飲むときの「ひょっとこ」みたいなやつ、と言ったものである。それは徳利ですよ。また会いたいなあ。
 
明石で暴飲暴食 2/8/01

 編集者が他の仕事のついでに明石まで来てくれて、もはや習慣となったかのように魚の棚で蛸の干物を購入、そのまま魚の棚の明石焼き屋でたこ焼きを食べ、それから居酒屋へ行って大量の魚料理とともに地酒の新酒をばがばがば飲み、続いてアイリッシュバーへ行ってギネスビールをがぶがぶ飲み、二十分ほども歩いていった「二国ラーメン」では餃子やなんかいろいろ食ったあげくにきちんとラーメンまで食べ、それから結局いっしょにぼくの仕事場へ戻って知らない間に寝ていた。編集の人は、ぼくの寝ているあいだに猫のように去っていた。あとで聞くと、この日だけで二キロ太ったそうである。ぼくは風邪を引いた。

間違い電話

 あー。おばちゃんやけどなあのな納屋の方にあれやわ納屋の奥の方やねんけどな、棚の上の棚のなんちゅうの、棚あるん知らんかなあ右の方のな、納屋のその裏の方の納屋の棚の奥の棚の上みややんのもーったとこにあるねんけどなあなんか赤いんかなあ赤やあかそやな赤やな(そばにいる誰かに向かって)赤やなあ。え、黒。どっちやのんな赤やな赤やな(戻ってきて)赤い箱に入ったなんやて袋? 袋かいな。箱やないの? はあはあ赤い袋やてえ、それやわ絶対。わかった?
(わからない)あのー電話まちがえてらっしゃいますよ。
 え。(約二秒間)あっらー、すみませんねえほんまにわっはははははどないしよまちがえとってんわいややわー知らんさかいにどないしょほんまんははははは。(そのまま切らずに一分くらい笑っていた。ぼくも笑い声をずっと聞いていた)

古いTシャツの利用法

 ワイドショーを見ていたら「生活から無駄をなくす達人」とひとりのおばばが紹介され、無駄の多い生活をしている主婦の暮らしを指南するという。なるほど無駄はない方がよい。今後の参考になるかと思って見ていたのだが、まずは普段着ることのない洋服をどっさりクローゼットから取り出し「着ない洋服は持っていても無駄になるだけです」と言う。ふむふむ。ではどうするのかなと思ったら達人のおばばは胸を張って「こういうものはフリーマーケットなどで売ればよろしい」達人というわりにはものすごくあたりまえのことを言うのである。続いて古いTシャツを見つけた達人は「こういうものもただ捨てずにうまく利用するのです」と言う。ナレーターは「さてその究極の裏技とは?」などと言う。うちにも古いTシャツは多い。ボロ布として使うしか考えたことないものなあいったいどう利用するのだろうなあと究極の裏技に期待していると達人はハサミ片手にTシャツを切り始め「こうして切って雑巾にすればいいのです」猿でも思いつくわなめとんのか。
 
箱根へ行く 2/21-23/01

 生まれて初めて箱根へ行く。新作アニメのための合宿だそうで、どういうわけかぼくも呼ばれた。本当は二十日が締め切りだった短編がまだ半分ほどしかできておらず、二十三日夕方六時という第二の締め切りを目指すため仕方なくパワーブックDUO280というものを出してきて新幹線でも仕事をする。ディスプレイの四隅が黒く染まり大昔のテレビみたいになって見にくいことこのうえないがこれしかないのだから仕方がない。しかし新幹線に乗ってビールを飲まなかったのは本当に久しぶりである。なんて偉いんだろうとすでに第一の締め切りが過ぎていることも忘れておのれの勤勉さに感動する。
 夕方六時頃箱根の旅館に到着。もうすぐ夕飯なのでとりあえず風呂に入るよう勧められいきなり温泉につかる。これはほんまに仕事なのかとのんびりしつつとてつもなく豪華なご馳走をいただきビールを飲み、それからえんえん夜中までアニメの話をする。別の新作アニメ全六話などもビデオで見る。なぜハル子はギターでどつくのか今でもわからない。四時頃他の人々は寝るが、ぼくは短編を書かないといけないのでひとり淋しく別室で仕事をする。他の人が仕事をしていてもビール飲んで真っ先に寝るのがぼくのこれまでの暮らしだったのに、いったいどうしてしまったのかと首を傾げながら、しかし全然進まない。いや進むのだが、予定の枚数に達しても話が進んでいないのである。どこかで聞いたようないやな傾向である。明るくなってしばらくしてから寝たが、恐ろしいことにホテルではなく旅館であるため、朝の八時過ぎには仲居さんが布団をあげにやってきてしまうのだった。
 一時間ほどしか眠れなかったため、半分寝たまま朝飯を食って結局また寝させてもらう。他の人々は会議を続けていたらしい。しかしぼくは昼頃起きてのんびり温泉。それからみんなで喫茶店へ行き、そこでまたアニメの話。喫茶店の近くからは箱根の山々が見渡せ、あの山の間から第一のナニが出現した、主人公が逃げ出したとき立っていた電車のホームはほれちょうどあそこだというような話を、創った人々に教えてもらうのはなかなか感慨深かった。
 またしても夜はご馳走。もはやなりふりかまっていられなくなったためアニメの話に参加しながらも手元では短編を書き続ける。それでも終わらない。三時頃、会議は終わったがやはりぼくひとり別室で仕事をする。全然終わらない。予定枚数に達しているのにクライマックスはやってこない。どこかで聞いたようないやな展開である。そのまま徹夜しても起床時間の八時には間に合わないことが五時半頃はっきりしたので、あきらめてビールを飲んで寝る。八時過ぎに起きて朝食をとり、そのままいっきに帰れば仕事場には四時頃戻れるので、帰りの新幹線と仕事場とでなんとかやっつけようとすぐさま帰りの新幹線に乗る。
 小田原から名古屋までは空いていたのでよかったのだが、名古屋から新大阪までは驚いたことに若い美人が隣だった。こんなことめったにないというのに、ぼくの膝の上のパソコンには「女子高生」とか「体操服とブルマ」とか「ちんこ触るな」とか表示されていて、ちらちらとディスプレイを見るたび美人の膝はぼくから遠ざかるのだった。
 四時過ぎ仕事場に戻り、二時間ほどがんばるがまだ終わらない。で、できたところまで送って、あとは第三の締め切りである月曜朝までに書けばよいことにしてもらい、早く寝ようと思ったら三階の友人その他がビールとともにやってきて宴会が始まった。

新しいパワーブック

 箱根での合宿の際、先日出たばかりの新しいパワーブックG4を持ってきている人がいて、見せてもらったのだが久しぶりに物欲を刺激された。最近のマッキントッシュにはまるで惹かれるものがなく、一番ましかなあと思うキューブも、ほな買うかと言われるとやっぱりあんなクラゲみたいなのはあんまり欲しくなかったのである。ノートパソコンもマックのやつはどれもこれも鈍重なデザインばかりで、こっちは完全にあきらめていたのだが今度のチタンのやつは大変かっこよかった。そのうち買おうと思う。今は全然金がないのだが、比較的簡単に手に入る方法があることにこのごろふと気づいた。わりと知られていないのではないかと思うが、簡単なことである。「働けばよい」のだ。


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