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どうも怪しいJR 11/30/04

 JRの悪口を今度のエッセイに書こうとあれこれ考えつつ東京へ行く。ところが指定席を取るため赴いたみどりの窓口には若い美人がいてめちゃくちゃ親切にあれこれ調べてくれ、最後にはにっこり笑っていってらっしゃいませと手まで振ってくれた。こんなことは今までなかった。おちょくられているのではないか。
 ガイナックスで『アベノ橋』のラジオドラマについての打ち合わせをし、前にぼくが『SFJapan』に書いた「バッファローじいさん」を元にしたものでいこうということになる。時間も少なく、使える声優さんにも限りがあるので少々アクロバティックなやり方で行こうかと密かに考えつつ宴会に突入し鶏鍋を食べてギネスビールとラム酒を飲んでからホテルに戻る。
 翌日東京駅でやはり指定席をとろうとしたのだが、今度は若い男がいてこれまためちゃくちゃ親切なのである。元々ぼくは「のぞみ」のチケットを持っていたのが、いったん指定席を取ってからもしかすると「ひかり」に変更しても同じ時間に西明石に到着し、しかも乗り換えがなくてすむのではないかとふと思ったのでその旨伝えると信じがたいことに愛想よく手際よくちゃんと調べてくれ、たしかにそのようなのででは変更しますかとあたりまえのようににこにこしている。というわけで変更してもらったのだが、もうちょっといやそうな顔をして失礼な態度を取ってもらわないと新幹線に乗る気分になれないではないか。
 車内検札の車掌もにこやかで愛想よく、どうもぼくが悪口を書こうとしているのをなんらかの方法で知って先回りしたのではないかと思うのである。JR侮り難し。

やはり不思議なJR 12/11/05

 宴会のため東京へ。新幹線の切符を買いにいくとみどりの窓口の係員はおっさんだったがまたしてもびっくりするほど親切。訊きもしないことまで勝手に調べてくれて便宜を図ってくれるのだった。なんか気持ち悪い。おちょくられているのではないか。
 メディアワークスのパーティーでは知り合いがほとんどいないのでたまたま横の席にいた谷川流さんと静かに過ごす。PSPやNintendoDS、iPodに大型液晶テレビと豪華な賞品が並ぶビンゴ大会ではリーチすら達成できず。まあこれはいつものことである。
 翌日帰りの新幹線の指定席を取ろうとしたらこれがまたすごかった。窓口に座っていたのはめちゃくちゃ可愛い清楚な女の子で、一生懸命に対応してくれやはりにっこり笑って会釈してくれるのだった。驚きを通り越してちょっと幸せな気分になったほどである。乗車してみれば検札も礼儀正しく愛想がよい。どうしたんだJR。なぜ喧嘩売ってこないんだ。

iPod 12/16/05

 先日の打ち合わせで会ったときガイナックスの武田さんはぼくのiPodについて常に否定的な意見ばかり言っており、曰く「だいたい外で音楽聞くことないし」「イヤホン嫌いやし」「そんなぎょうさん音楽持ち歩く意味がわからん」「難聴になるわ」「そない四六時中音楽聞いてどないするねん」
 ところがである。「武田日記」12月13日を読んでぼくは自分の目を疑った。「新幹線では、この前買った「iPod photo」で音楽を聴きながら爆睡する。」買うたんかいっ。

クリスマス 12/25/04

 どういうわけかぼくの仕事場で小さなクリスマスパーティーを開くことになった。おもろい女子高生も来たので、先日ガイナックスでもらった『綾波育成計画』と『碇シンジ育成計画』をやると喜んで、トナカイ踊りを踊ってくれた。へんなむすめ。

平成ガメラ 1/5/05

 WOWOWで平成ガメラ三部作を全部やってくれたので見る。どれも何度か見ているのだがガメラはええなあ。と感心して夜には『伊東四朗一座旗揚げ解散公演』というのを見る。伊東四朗とガメラが同じ顔をしていることに気づく。

「誕生」 1/22/05

 ラジオドラマのレコーディングのため東京へ行く。新幹線が滋賀のあたりを走っているときだと思うけど雪景色が眼前にわーっと開け、綺麗なあと思っているところiPodから中島みゆきの「誕生」が流れてきた。思いがけず非常に感動的であった。今ぼくのiPodには二千曲ほど入っているのだが、これを全部シャッフルして聞いているとときどき景色や雰囲気と曲とが絶妙に合う瞬間がある。新幹線の車窓と「誕生」と雪景色の組み合わせは今までのところ最高だったかもしれない。これはいいなとものすごく感動し、その余韻に浸ろうとしていたら次にかかったのは桂米朝「はてなの茶碗」だった。まあ雪景色に落語というのも悪くはない。
 レコーディングは、直前にサエキトモの体調が思わしくないためこのあとしばらく活動を休止すると聞かされ心配していたのだが本番に入るといつもどおりのハイテンションでなんの問題もなくさすがプロとみな唸る。声優初体験の歌手和田琢磨氏はやや緊張気味だったもののあいかわらずの爆発的な声で、みんなでげらげら笑いながら無事終了。おもしろいレコーディングであった。
 そのあと六本木ヒルズで打ち上げ。ここは回転ドアで死ぬ恐れがあるなどと言っていたら和田さんが普通のドアに指を挟んだらしくて大量に出血していた。どんくさ。
 とてつもなく豪華な中華料理をいただき早めにお開きとなったので、そのあとガイナックス武田さんとふたりで展望台に登り、あれこれ説明してもらってからへんな展示もだらだら眺め、一階のバーでアホな話をだらだらした。二時頃ホテルに戻り、ひとりでビール飲んでから寝る。

ウルトラマンの歌 2/10/05

「ウルトラマンの歌、昔よう歌ととったなあ。ええと、どんなんやったかいなあ」
「きみーにも、見えーる、ウールトラのーほーしー」
「そうやそうや」
 ふたりでえんえん歌い続け「かええーってきたぞ。帰えーってきたぞー、てこれ帰ってきたウルトラマンやんか」
「ほんまやなあ。最初のやつどんなんやったかいなあ」
 しばらく考え込んで「そうや、胸ーえに、や」
「ああそうそう。胸えに、つけーてる(この時点ですでにメロディは帰ってきたウルトラマンの歌)ウールトラのーほーしー。あれ?」
「(ゆっくり小声で確認する)むねえーに、つけーてる(この時点ですでにメロディは帰ってきたウルトラマンの歌)」
 ふたりで「ウールトラのーほーしー」
「おかしいなあ」
「もっと前の方からやってみたら思い出すんちゃうか」
「前の方?」
「なんか、がぎゅーんぎょぎょぎょーんちゅうのんあったやろ。コーヒー混ぜたみたいな」
「あーあったあった」
「がぎゅーんぎょがぎょぎょーん。で、ウルトラQ、かなんかになって、ぱぱぱぱーん」
「(思い出した気がして嬉しい)ばーんばーんば、ばーんばっばっ、ばっばっばー、ばっばっばー」
 ふたりそろって「せぶーん。ちがうがな」
「おっかしいなあ」
「ええとな、前奏は、ずずずず、ずずちゃかちゃか、ずずずず、ずずちゃかちゃか(ちゃんと思い出した)」
「ああそうやそうやそれそれ。むねええに、つけーてる(ちゃんと思い出した)」
 ふたりそろって「ウールトラのーほーしー。ておかしいなあ」
 誰しも経験があろう。

不審な車 2/22/05

 夜遅くランニングしていると、いつも同じ場所というわけではないのだけどだいたい同じような場所の人通りの少ない道の似たような暗いところにほぼ毎日おんなじ車がエンジンかけたまま停まっていて、どうせ別れを惜しむアベックに違いあるまいどういういたずらをすると効果的に驚かせることができるかと思案していたところ、よく見てみると運転席に若い男がひとりいるだけで車内ではなにやら液晶テレビのようなものが光っている。たいていぼくが走り始めるときにはすでにいて、三十分とか一時間とか走ったあとだらだらと横を通ってもまだいる。いったいなにをしているのか。と誰でも思う。
 そういえばしばらく前にぼくの仕事場に遊びに来た友人が特殊なラジオを持ってきていて、電波を調べてみたら隣の看護婦寮から盗聴器の電波が出ていると言っていた。あの車、盗聴のために毎日来ているのではないか。あまり離れると電波が届かないため、盗撮マニアは盗聴器をしかけたターゲットの近くへ来て録画をするのだというようなことを以前牧野修さんにもらったやばそうな本で読んだ覚えがある。
 しかしひとつ気になるのはその車、なぜいつもぼくが同じ車と認識できるかというとこれがあなたフォルクスワーゲンビートルの黄色いやつなのだ。それも新型の、台所用品みたいなデザインのやつである。こんなあほみたいに目立つ車他に探せというてもなかなかないぞ。盗聴か盗撮か知らないがそんな薄暗いことするならもっと地味な車使うと思うのだが、しかし特殊なラジオが好きな友人にこの話をしたら、それは盗聴か盗撮にまちがいないと断言するのだった。条件から考えてそれ以外考えられないのだそうだ。実際のところどうなのかなあ。盗聴するなら金をくれ! 頭頂剃るなら髷を結え!

献血 2/23/05

 車の免許証更新に行ったついでに献血してきた。突然人類愛に目覚めたわけではなくて健康診断みたいなことはもう十年以上してないしいろいろ調べてくれるらしいからいっぺんやっとこかいなと思っただけである。
 最初に更新センターの出口にあるテントで睡眠時間やら食事をとった時間などを訊かれるのだが、こっちは朝六時過ぎに寝て十二時に起きたので係のおっちゃんは混乱していた。「今日の食事はちゃんととりましたか?」「はい。ちゃんと食べました」「朝、昼……と」「あ、朝は食べてません」「あー朝食は抜きですか」「いえ、あの起きてすぐ昼食を」「はあー? あ、あと今日飲酒はないですね」「えーと寝る前ですが、今朝はけっこういっぱい飲みました」「はあー? あ、まあそれからだと八時間以上経ってるからいいとしましょう」ええんか。
 そこから今度は献血センターとかいう建物まで少し歩き、そこでもまたいろいろ質問の書かれた用紙のチェックをさせられる。輸血をしたことがある。イエスかノーか。不特定の異性と性的接触を持った、イエスかノーか。みたいなものがつづき「エイズの検査のために来た」イエスかノーか。イエスならどうなんだ。「男性の方」という項目には「男性と性的接触を持った」イエスかノーか。「エイズ検査で陽性と言われた」「麻薬、覚醒剤を注射した」「誤って他人の血液が付着した注射針を刺してしまった」「一年以内に海外に出かけ、現地で知り合った人々と見境なく性的接触を持った」「エイズ患者の体液を一度に大量に飲み込んでしまった」こんなんほんまにそうでも正直に書くやつおらんやろと思うような項目が並び、いちいちノーにチェックを入れながら笑ってしまった。覚醒剤打って献血に来るやつ見てみたいわ。
 400ccも血を抜かれ、もともと色白な顔が半透明になってしまい道行く人々は怖がって逃げる。てのひらを太陽に透かしてみると文字通り見事に透けていた。くっきり浮き出る、ぼくの小骨。生きているんだともだちなんだー。

覚醒剤打って献血に来るやつ 2/24/05

 林譲治さんによると実際そういうのはけっこう多いのだそうだほんまかいな。ハイになってへろへろ状態で「血ぃ? そんなもんなんぼでもやるがなとってとってー」ということかと思ったらそうではなくて「 後ろめたいことをした後に、罪滅ぼしにやってくる」らしい。でも結局その血は使えないのである。なんか悲しくて笑える話。

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