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虚空に怒りをぶつけるおっさん 4/26/02

 明石駅で人と会う約束だったのでなんと七時半に起床、九時過ぎ東京発の新幹線に乗る。明石駅のコンコースではおっさんがひとり虚空に向かって喧嘩を売っていて大変やかましい。誰に向かってもの言うとんのじゃやるんやったらやったるど、かかってこんかい誰にもの言うとんのじゃぼけ、誰にもの言うとんのじゃ言うとるんじゃ、言うてみい、誰にもの言うとんのじゃあっ、それ、誰にもの言うとんのじゃあああっ。誰もなんにも言うてへんがな、と通りすがりのおばちゃんが突っ込んでいたがおっさんの耳には届かず、わめきつづけるおっさんは警官に連れ去られた。

第八話アフレコ 4/25/02

 行きの新幹線でエッセイひとつ書き上げる。ああなんて仕事熱心なんだろうと自分で感心する。アフレコ終わってからは男ばっかりで食事。つまらん。

田中和弥 4/19/02

 帰ってきて、サンテレビで留守番録画していた『アベノ橋』の第三話を見てエンディングでぼくの名前が「田中和弥」となっているのに気づく。誰やそれ。今までいろいろまちがえられたがこのまちがえ方は初めてである。親戚にこんな人おったような気がするなあまあたしかに第三話はオレ全然関係ないしなあとは思うもののけっこうむかついたので大急ぎで実家に帰って犬を踏む。七回くらい踏む。
 
第七話アフレコ 4/18/02

 驚いたことに九時前には終わってしまった。遅いときは十一時くらいになったこともあったのに。
 ガイナックスの佐藤さん武田さん山賀さんにキングレコードのジャンボOさん、それに「あるみ」と「サッシ」で中華料理。松岡由貴さんとふたりで写真を撮ってもらったりしたので、この日記に貼り付けて自慢しようと思っていたのだが、できあがった写真を見るとぼくの顔はあまりににやけたアホ面だったため断念する。テーブル席だったせいかサエキトモさんは靴下を脱がなかった。

クレヨンしんちゃん『大人帝国の逆襲』 4/12/02

 最近はアニメが気になるので、目についたやつはとりあえずなんでも見る。今まではスタッフの名前など模様のようにしか認識してなかったというのに、なるほどひとつのアニメも、いろんな人がいろんなことをして作っているんだねえと教育テレビ口調で感心したりしているのである。
 しかしクレヨンしんちゃんの映画というのは今までのやつだいたい見ているが、いつもおもしろくて感心する。まあ、今回のはやりすぎというかできすぎというか、別にクレヨンしんちゃんでなくてもよかったような話ではあるけれど、見事に泣かされてしまい唸ってしまった。「ずるいぞっ」というのは実に見事だなあと思う。

第六話アフレコ 4/11/02

 アフレコ終了後「あるみ」の松岡由貴さんと「サッシ」のサエキトモさんもいっしょに飲みに行く。サエキトモさんは途中で靴下を脱ぐ。酔うといつも脱ぐのだそうだ。もっと酔うとおっさんを蹴るらしい。アベックの多い薄暗い店だったのだが、松岡さんとサエキさんは「探検」と称してずかずかアベックたちの席の方まで入り込み、なるほどあんな風になってんのか、なんでひっついて座るねん向かいに座ったらええやないか、わっ今キスしたでっ、などと傍若無人。キミタチは子供か。
 松岡さんとはそのままいっしょに電車で帰る。と書くと、ふたりきりみたいで嬉しいのだが他にガイナックスの佐藤さん武田さん山賀さんも残念なことにいっしょであった。
 
情けない顔の犬 4/8/02

 仕事場の近くに世にも情けない顔の犬がいる。いつ見ても、ああもうあかんわややもう死ぬしかないという顔をしているのである。おもしろいので見かけるといつも「ほれイヌイヌイヌ」などと声をかけてみるのだが、そのつど、なんでわしみたいな年寄りに声かけるねんやめてくれもうわし死の思て覚悟決めたとこなんや、という顔をして目をそらすのである。よくもまあこんな犬がいたものだと思う。我が家のよだれも相当情けない顔をしているが、あの犬には到底歯が立たぬ。世が世なら情けない顔のチャンピオンとしてひとかどの武将たりえたほどの情けなさである。今日はたまたま飼い主が散歩に連れて行くところに出くわしたのだが、後ろから見るとしっぽをきょんきょん振って跳ねまわり、めちゃくちゃ嬉しそうである。あいつでも喜ぶことあるんやなあと思って前に回って見てみると、やはり顔だけは悲しげな切ないつらそうな暗いくらい表情であった。嬉しいときは素直に喜べばいいのに、なんと屈折した犬か。

コンピューターをもらう 4/5/02

 東京から帰ってぐったりしていると、友人から電話があって今からコンピューターを持っていってやろうと言う。そういえば何日か前に、建築事務所で捨てたやつをもらってきたのだがマッキントッシュはやっぱりよくわからないのでよかったら使わないかと言われたのだった。くれくれ使う使うということで、もらったのはマッキントッシュG3MT266というものである。今までのはPowerPC604eの200で、今度はG3の266。たった66しか強くならんのかと思ったところがびっくりするほど速くてびっくりした。実家のiMac(G3/500)とそんなに変わらんではないか。前のはそろそろハードディスクもやばそう(ときどきかかかっ、かかっ、かっかっかっかあーっとなにがそんなに可笑しいのかとびびるような大声を出して沈黙してしまう)だったので、いいときにいいものをもらった。電気スタンドみたいなiMac買おうかと検討していたところだったのである。二十数万円の出費が未然に防がれたことははなはだ喜ばしい。しかも元々はついてないはずのUSBとFireWireの端子もおまけでついているおかげで実家のiMacでしか使えなかった新しいデジカメもこれからは仕事場でも使えるのだ。OS9も使えるようになったし最近はその辺の電器屋で一万円ほどで売っているCD-RWなんかも使えるしとりあえずぼくが仕事で必要な環境としては申し分ないめちゃくちゃ得だ。CADとかいうものを必要とする建築事務所だと最速のマシンを入れることでのメリットが大きいというのはおぼろげに理解できるが、こんなに使えるものをゴミとしてしか処理できないシステムはどこか大きく間違っている気がする。とはいえそのおかげでほんの数年前には四十万円もの値段で売られていたコンピューターを、いらんからやるわともらえるのならこのままずーっと世の中にはどんと大きく間違っていていただきたいものである。みんなもっとぜいたくになって、ミニコンポとか自動車とか家とかいろいろぼんぼん捨ててくれないものかなあ。それをもらうだけで一生暮らせるような気がするなにが貧乏くさいアホかこういうのはリサイクルというのだエコロジーじゃ地球に優しい環境を考える自然を守るクジラも守るとりあえずこういうことは言うたもん勝ちである。

赤坂で高級しゃぶしゃぶ 4/4/02

 アフレコが早めに終わったのでスタッフと声優さんとでしゃぶしゃぶに行こうということになりなんだかよくわからないまま大変高級そうなお店に入る。なるほどこれがしゃぶしゃぶか。どうやらぼくがこれまでの人生でしゃぶしゃぶだと思って食べてきたものは「しゃぶしゃぶによく似たもの」でしかなかったようである。「好きなだけ食ってよい」というようなことを漏れ聞いたので、たしかに大層おいしいものだなあとなんにも考えず好きなだけ食っていると上品そうな和服姿のお姉さんがどんどん野菜やらなにやらよそってくれる。にこにここっちを見るので食べなくては悪いと思いおなか爆発しそうになりながら無理矢理食べるのだが恐ろしいことにこれまた大層おいしいのでどんどん食べてしまう。すでに普段の三日分くらいの量をいちどきに食べて死にそうになっているにもかかわらず、今度は鍋にそばが入るデザートが来る。やはり和服のお姉さんがよそってくれてにこにこ見ているので食べなくては悪い。もうあかん死ぬ爆発する目から耳から肉が噴出すると思うのにやはり大層おいしいのでどんどん食べてしまう。ホテルに帰ってからも、おなかが苦しくて眠れず朝まで悶々とした。ゆっくり動かないとふとした拍子に体中の穴という穴からコロイド状になった肉や野菜がぴゅうぴゅう飛び出すので迂闊に動けず大変である。十年ほど前はじめてサッボロビール園に行ったときも、いちびって死ぬほど飲んで食って死にかけたが、今日のこれはあのときの記録をついに上回ったと思われる。いくらなんでもこれは食べ過ぎで、死んでいてもなんの不思議もなかったというようなレベルであった。そんなものいつ食べたのか記憶にないのにくしゃみをしたら耳から和服のお姉さんがぽんぽん五人も飛び出して仰天した。


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