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『スター・ウォーズ』三昧 4/30/01

 WOWOWは今日『スター・ウォーズ・デイ』ということで、ジョージ・ルーカスのインタビュー他アメリカのテレビ用ドキュメンタリー三本から始まって一日中、明日の朝までずーっと『スター・ウォーズ』シリーズをやり続けるのだった。つまり三部作と『エピソード1』を二回ずつやるのである。
 映画は全部ビデオで持っているので放送してもらってもさほど嬉しくないのだが、しかしやっているとついつい観てしまうので困る。困るなあと思いつつ結局ひととおり全部観てしまい頭がくらくらする。しかし四つ全部通して観ても一番ぞくぞくするのはやっぱりエピソード4の、それもデス・スター突入前のXウィングがきょわきょわと翼を開く一瞬だったわけで、神話的な世界観がどうとかストーリーの奥の深さがどうとかよりも、このシリーズの魅力はディテールがすべてだと思う。はっきりとそう思うものの、しかし断言するとこの話題についてはいろいろ言いたがる人が多いので、なんとなくそんな気がするという程度にしておくことにする。
 夜になって仕事場のアパートの自転車置き場で、つい「帝国はー、つーよいー、つーよいー」と口ずさんでしまい通りがかったおばちゃんに笑われた。ですーすーたあーまーるいー。

太った 4/18/01

 太った太ったと会う人ごとに言われるようになった。そういえば最近たしかにズボンがきつくなったなあと思って体重を計ってみると六十六キロ。さほど重くはないような気もするが、十年前に比べると十キロも増えているわけで、毎日十キログラムの脂肪を無意味に運んでいるのかと考えるとちょっとげんなりする。このままの調子で肥満が進むと今着ている服が着られなくなったりして不経済だし、還暦を迎える頃にはまいったなあ一トン超えちゃったというのもめちゃくちゃしんどそうで困る。
 というわけで痩せることにした。十キロも痩せてしまうと、やたらと風邪を引きやすかったり骨張った鳥の雛にまちがえられて猛禽類に天高くさらわれたりするので、五キロだけ減らしてみようしかし食事やビールの量を減らすのも面倒だしなあ、そうか食うのを減らすのではなく出すのを増やせばいいのだと気づき、トイレで五時間ほどがんばったらちゃんと五キロ痩せた。いやあよく出た。

伝道師の話 4/15/01

 全米を旅してキリスト教の布教に励む伝道師のそばには奇跡を起こす青年が常にいっしょにいた。集まった人々の前で伝道師が神への祈りを捧げると、青年の掌からは血が滴るのである。感動した聴衆から伝道師は多大な寄付金をせしめ、次の土地へと移る毎日であった。ところがある日伝道師のところへ青年がやってきて、もう奇跡を起こすことができなくなったと告白する。わけを聞けば青年はうなだれ「もはや聖痕つきはてました」
 という話を昨日田中啓文氏に語って聞かせたところ、途中でいきなり「つきはてましたんか」と悟られてしまったのだった。さすが駄洒落のみで暮らしを支えているだけのことはあると感心した。えらいえらい。

USJに関するひどく偏った情報 4/14/01

 天満へ、笑える小説ってどんなんやみたいな話をしにいき、その後またしてもいつもの面々で中華料理を食べに行く。
 北野勇作さんは奥さんがユニバーサル・スタジオ・ジャパンになにやら関係があるということで、そのアトラクションのほとんどを見たらしいのだが、とにかくあんなもんはおもろいこともなんともないとぼろくそに言っていた。オープンしてみれば思うほど混雑してはいないという噂もあって、只券あるしほな行こかなあと思っていた矢先にまたくじけてしまったことである。ぼくはハリウッド映画のあほらしさがけっこう好きなので、USJに期待するところも大きいのだが、あれをおもろいと思う人はまずおらんやろうなどと北野さんは言うのだった。四十歳を過ぎてなお「感動した」と訊ねもしないのにわざわざメールしてきたほど喜んでいた人をひとりだけ知っていますぞと反論すると、その人は「絶対おかしい」と断言する。
 考えたのだがおそらく北野さんの日常はUSJのアトラクションなど陳腐にしか思えぬほどのスリルに満ちているのではあるまいか。朝起きればいきなり毒蜘蛛が顔を這いクローゼットに潜んでいた中国人の殺し屋に絞め殺されそうになり命からがら寝室を出ればそこは宇宙空間で洗面所へ行こうとして未来へタイムスリップうんこをしたとたん恐竜に踏まれそうになって服を着替えると家は爆発炎上玄関を開ければ飛行機が落ちてきて全身水浸しになり振り返ればガンマンに撃たれETは家に帰っていくのである。
 こんな生活をしているおっさんに合わせてアトラクションを作ったりすれば確実に毎回何十人と死ぬはずで、ごく平凡な人々を対象としたUSJが北野さんにとって退屈極まりないとしてももっともなことである。日々退屈な人生を消化するだけの我々ならきっと楽しめるはずだ。負けずに行ってみるのだ。
 と思っているところへまた友人から電話があって「ユニバーサル行ってきたけど、あらあかんで」などと言うのであった。もしかしてみんなでぼくを行かすまい行かすまいとしているのではないか。なにかぼくに見られると困るものでもあるのか。

へんな話 4/12/01
 
 目玉がゲロでできているおっさんがでてきたり女の子が「うんこ吐いちゃった」などと言ったりするホラーを書いて、あまりにもめちゃくちゃな気がしたので心配だったのだがそれでよかったらしい。よかったよかった。

『スリーピー・ホロウ』"Sleepy Hollow" 4/9/01

 首のない騎士は登場するたびめちゃくちゃかっこいい仕草で剣をかまえる。ほれぼれする。目玉がびろーんと飛び出すシーンが二回ほどあって、どちらも大爆笑した。やるのう。もっとシリアスなホラーなのかと思っていたのにかなりコミカル。大変おもしろかった。しかし『ノイズ』("The Astronaut's Wife")のときも思ったけど、ジョニー・デップは大森望さんに似ている。あと関係ないけどジェームズ・ウッズと倉阪鬼一郎さんもどこか似ている気がする。

選挙カーの声 4/5/01

「大変お騒がせいたしまして申し訳ございません。ヤマダゴンタでございます」というフレーズをえんえんと繰り返しているうちアルバイトの女性は疲れてきたのだろう、やがて聞こえてきたのは「大変お騒がせいたしまして申し訳ございません。ヤマダゴンタでございません」すると運転手らしきおっさんのがらがら声がマイクを通して低く太く「ほなだれやー」

猫が 4/2/01

 他の車には目もくれず、いつも決まってぼくの車の上でだけ昼寝をする猫がのっそり歩いているのを発見したので、ひとつ文句を言って頭でも踏んでやろうと近づいたら突然ガラガラヘビのように尻尾をふりはじめた。後ろ足をぴんと伸ばし、天に向かってまっすぐ立てた短い尻尾をぷるぷると揺らす。
 もしかしてガラガラネコというような凶悪な生き物で牙には猛毒を持ち噛まれると水牛も三秒で死ぬのではと恐れたのだが、驚いたことにその猫の股間からは信じられないほど勢いのよい小便が弧を描いて飛び出し数メートル先の民家の玄関を濡らしたのだった。
 猫とはああいう小便のしかたをするものであったのか。全然知らなかった。今後猫の背後から近づくのはやめようと思う。

道路工事 4/1/01

 三月の中頃だったと思うが朝の九時頃から仕事場の前の道で轟音を伴う工事が始まったのである。アスファルトを切っているらしく強烈な金属音が響き渡って発狂しそうになる。ぎょんぎょん鋸でアスファルトを切るということは、次にアスファルトを叩き壊して穴を掘るというさらに乱暴な作業が来るはずで、こちらの頭がおかしくなる前に敵工事関係者全員を殲滅するか安全地域へ避難する以外生き延びる道はない。
 殲滅作戦を実行するに手頃な武器が見当たらなかったため図書館か公園にでも逃げようと思っていたところ十時になったとたんぴたりと音は止み、窓の外をうかがえば敵の姿が消えている。なぜ一時間だけの作業なのかよくわからなかったが、しかしこれはまた明日も続きをやるということなのだろうと長期戦を覚悟し、その夜は翌日早朝からの戦闘に備え薬を服用し早く寝た。しかし翌日に工事はなく、その翌日も工事はなく、それからずーっと工事はないまま新年度を迎えたのであった。道路には細く切られた跡が残っているだけである。
 工事すべき場所をまちがえたのではないかとも思うのだが、もしかすると予算消化のための不必要なアホ工事もやるだけやってしまってもはやどこも掘るところがなく、しかたなく一時間ずつあちこち住宅街の道を切りまくってはこつこつ予算を消化しているとかそういうことなのではないかとも思う。そこまでアホなことするわけないと思うかいいやする。恐るべきは田舎の政治である。アホなのである。


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