舞踏舎 天鷄
鳥居えびす&田中陸奥子
Butoh-sha Tenkei
/ Works /
1987年9月15日〜20日

『青空にドン(ユモレスクX)』

君は五月のスフィンクス
一刻の休息の
いかりを桜の掛の下におろす
君は泣くも笑うも自由だから
青空
かろやかにお道化たまえ

青い空に
私は昨年の11月に引越しをしました。庭とはとても呼べないわずかな地面に、一本の桜の木が、しっかりと根を張って樹齢を重ねています。格別桜が好きというわけでもなかったのですが、冬の落葉を根に置いたり、玉子焼きを作ればその殻をまいたり、酔えば小便をふりかけなどなど、ひと冬枯木を眺め、花の咲くのを楽しみにしていました。早春のある朝、新聞を取りに外に舳てみると、たった一枝に待ちこがれた花が開きかけていました。やっと咲いてくれた、これからぱっと、ぱっといくんだ、桜だ桜だ…と。
しかし今年の天界の機嫌はよほど悪かったのか、花は咲きたがるのに雨が降ったり寒かったり、それでも七分くらいまでは開いてきたのですが、私の桜はそこでおしまい。ポトリポトリ七分咲きのまま落ちてゆきました。なんともくやしい私の早春賦だったのです。そしてこの時候に、友がひとり足早に人生を駆け抜けていってしまいました。
「青空にドン」は、こんな春先きの桜の木の下で、うつらうつら夢見られたものです。このおどりを、はじめてお会いする大阪と名古屋の皆様、そして、故谷川楕長に捧げます。たとえばおもちゃ箱のざわめき、壊れかけたものの笑い−−−ブリキの月うさぎ、首なし、放火魔、ライター、おしゃべり老女、ギリシャの春男、虫、タンポポ、だんご−−−鉛の兵隊は出てきませんが、皆、欠けたままのおかしな姿で、カタカタ、ドンドン、通り過ぎたり、ころがったりします。騒々しくて、馬鹿馬鹿しくて、滑稽で、けれどどこかひっそりしている、そんな景色をお見せできたらと思っています。
大きな劇場でやるのではありません。手に取るように観ていただけたら、うれしいのです。
とりいえびす
舞踏舎 天鷄

舞踏舎 天鷄 大阪・心斎橋島之内協会/名古屋・大須七ッ寺共同スタジオ
1987年9月15日〜20日

舞踏手
鳥居夷・田中陸奥子・紺野尚子

STAFF
照明:阿部善郎
音響:大阿久和夫
舞監:丸山良尚
写真:大畑早苗
宣伝美術:ギガグラフイツク
Special Thanks:
劇団日本維新派、galleryシヤンソニエ、池内琢磨、七ツ寺共同スタジオ、キョードー名古屋
企画・製作:舞踏舎 天鷄

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