舞踏舎 天鷄
鳥居えびす&田中陸奥子
Butoh-sha Tenkei
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「ノクターン」批評/シカゴ・トリビューン誌

クターンはまさに「神秘の美」を実現した by シド・スミス

舞踏舎 天鷄『ノクターン』は観客をその研ぎ澄まされた緊張感で包んで離さない。
次から次へと繰り出されるイメージは、醜さ、奇形、狂気、畏怖といった、呪われた美に満ちている。
秋色の衣で形づくられた塔に灯がともされ、シュールな妖精たちの鳥かごになる。その中で、最後に現れる主宰の鳥居えびすの黒塗りのからだは、衰弱のあるいは異形の者の象徴であるかのようだ。
やがて鳥居は鳥かごの脇をすりぬけると、この世の者ではないものへと変身を遂げる。
時を刻み、混沌を孕んで動く彫像と化すのであった。

───そしてこの作品の一番の見せ場は、やはりなんといっても、小柄だが恐ろしいほどに目を赤く見張らせて踊る田中陸奥子の、集中力と抑制との天賦の才によって表される、静かに燃え立つパッションであろう。


作品紹介→WORKS / 1994 ノクターン
出典HP→シカゴ・トリビューン


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