Date: Fri, 25 Feb 2000 00:27:01 +0900
From: S
Subject: Re: 間が開きまして



どうも、例によって遅筆のSです。

内藤> それはもちろん多くのことを考えています。ただ、今回のISASの
内藤> 失敗に関していえば、衛星が運用できなくなったことで生じる
内藤> 観測の重大な欠落が痛手と考えているので、技術的な心配はあまりしていません。
内藤> 全く系列の違う技術ですので。ただ、NASDAとの組織統合がなされれば、
内藤> 予算的に大部分を実用衛星とH2Aロケットに奪われ、学術衛星の
内藤> 運用が食われることはこの国ではおそらく必至なので、それを懸念しています。

そうですね、確かに。小生は観測について意味を良く把握していなかったので
そのような視点が欠落していました。それにしても、統合された場合、
合理化の皺寄せはどう考えても観測衛星に持ち込まれそうです。

近頃人間の遺伝子解読が進んでおりますが、研究機関の解読が
未だ終わらないうちに、ある学者が設立した会社が解読を行い、
その成果を特許にして企業などに販売する事業に乗り出したそうです。
このままでは遺伝子情報が一企業の資産になってしまうということで、
研究機関も解読を一層速めることになったそうです。
日経新聞にそれを評して、企業のスピードと学術研究の緻密さが
お互いに良い刺激を与え合ったと、まことに即物的に書いておりました。

要するに、「科学」を「技術」に使うための道具としか見ていない
訳ですね。知性の働きというものをただ金銭に換算することでしか
認識できないというのは、大変危険なことではないかと思います。

内藤> 先日、児島氏と話したのですが、最近の傾向として、
内藤> 考えたり物を知ろうとしたりという能動的な知性の働きについて
内藤> 重きを置く人が少ないように感じます。

という話にも関連してくるのではないかと思います。
「個人」と「大衆」の話、興味深く読ませていただきました。
やたらと個人レッテル張りをして、ある種の集団を想定し、
それについて論じるのは必ずしも良いことではない場合があります。
しかし、内藤さんの論では「レッテル張り」ではなく、
自らに既存のレッテルを貼り(しかもそのレッテルの字を碌に読んでいない)
それで済ませてしまっているという行動を批判している
訳ですよね。それに対し「エリート」というレッテルを
張り返すことでしか対抗できないというのは、全く自らの
存在を認識しようという意欲が欠如しているのでしょう。

内藤> 昨今の風潮として、物事の価値が知性的、内面的、そう言った抽象的なものから
内藤> 即物的享楽的なものに流れているのは、
内藤> 個性とわがままを履き違えた没個性教育による画一化、無責任化、教育面の失敗や、
内藤> 一旦経済的な隆盛を過ぎて下った時代の脱力感、無力感、退廃など、
内藤> いろいろとあるのでしょうね。

具体的知識と抽象的思考を結び付けていろいろ考えることは楽しいのに。
結局、小生としては、戦後の経済最優先に基づく国家的方針が
大多数の国民の世界認識の方向をも規定してしまい、
それが現在揺さぶられているために上のような問題に至っているのでは
ないかと思います。それに対抗して、「グローバルスタンダードを導入し
世界規模の経済競争に勝利する」のも、「栄光と誇りに満ちた国民の歴史を
取り戻す」のも、「グルに従う、これが世界の定説!」ってのも、
どれも同じ問題点を孕んでいるのではないかと思います。
自らに「大衆」でも「国民」でも「信者」でも、何かレッテルを貼って
それで事たれりとしているわけですから。
小生はここで一人の「個人」、生きている存在に立ち戻り、
それと「世界」との結びつきを認識するべきであると思います。
レッテルはその際の便宜的な道具として、一定の役には立ちますが、
それ以上のものではない筈です。

なんだか偉そうなこといって、内容が欠如しつつあるようなので
具体的な話に戻ります。
内藤さんの地文研における取り組みと地文研での反応について
以前伺いましたが、今度は小生が鉄研において類似した企画を考えています。
鉄研で「趣味をするとはどういうことか」という抽象的思考を
皆に迫ってみようというのですが、これによって趣味と社会の
関係にも目を開き、蛸壺に嵌まった「おたく」との違いを
認識してもらえるかな、と思っています。
まあ、顛末は又の機会に。

内藤> 今週は、あるキリスト者達の集まりを紹介されていて、
内藤> 現在の宗教というものと人々、その信仰のあり方や、世界認識について
内藤> 観察してこようと思っています。低劣な教団でないと祈りつつ。

是非、話を聞かせて下さい。
小生は今週、金曜・土曜とも学生会館にいます。金曜は鉄研の会議、
土曜日は戦史研のゲーム会です。

それではまた。