ご挨拶


お買い上げ下さいました皆様、ありがとうございました。
本ゲームはイギリス製のゲーム"the London Game"のファミリーゲームとしての面白さを生かしつつ、より馴染み深い東京に舞台を移してみたものです。我々・都営12号線再改称推進国民会議の中には鉄道趣味者が数名おり、それゆえ地下鉄をテーマにしたこのゲームに特に関心を抱いた事は確かですが、しかしそうではない人にもこの"the London Game"は充分アピールするものを持っていました。

日本では昨今、コンピュータゲームに押され些か影の薄くなった観は否めないボードゲームでありますが、その面白さは独特な−コンピュータで代替し得ない−ものがあります。そして、直接顔を合わせてコミュニケートしつつプレイする楽しさもまた格別です。海外、特にドイツやアメリカでは現在もボードゲームが幅広くプレイされ、鉄道をテーマにしたものも一分野をなしているそうです。我々も本作を通じて、多くの方にその楽しさを感じて頂ければと思います。

ボードゲームは、具体的描写では到底コンピュータにかないません。しかしプレイに集中していますと、自ずと想像力が刺激され、よく知った街を思い出し、未だ見ぬ地をも思い浮かべる事が出来ます。この作品を通じて、舞台となった東京という街と地下鉄網に少しでもプレーヤーの皆さんの関心がかきたてられれば、製作者一同これに勝る喜びはありません。

ここで長ったらしいサークル名に付いて一言申し述べさせて頂きます。都営地下鉄12号線はつい先日全線開業、「大江戸線」なる名称が都知事の肝いりで与えられました。しかし、江戸、そして東京という街について多少の知識のある方ならば、この名称の可笑しさに気づかれた筈です。江戸時代の街の広がりは現在よりも東よりでありました。江戸城は町民たちにとって西にあるものでした。皇居を中心に山手線が周りを走る地域として、東京と言う都市が人々に想起されるようになったのは、昭和に入ってからの事なのです。本郷三丁目の交差点に「かねやす」という店があります。由緒ある店ですが、ここにはこんな言葉が掲げてあります−「本郷も かねやすまでは 江戸のうち」。本郷より先はもはや江戸の街を外れた郊外と認識されていたのです。街を知る事、その来歴を知る事。伝統を云々する都知事はその大切さを分かっているのでしょうか。

我々はこのゲーム作成をきっかけに、少しばかりではありますが、東京という街に対する知識を深める事ができました。皆さんも、機会があれば紹介されたスポットに出掛けてみては如何でしょうか。地下鉄の階段を上れば、そこには優しい光が皆さんを待っている事でしょう。




嶋 理人(名誉議長)





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