Liberation (解放)

1994. Pencil

高校1年の時の美術の授業課題。「自分の体の一部を使った表現を描け」といったものと記憶している。 単なる"自画像"ではない。進学校の生徒だが皆センスや才能に満たされており、deformされた身体の一部を表現した寓意的な作品や高度なデッサンが並ぶ中で この絵など際立つところはない。しかし、細い線を重ねて明暗を分けていくペンの流れは珍しかったらしく、「線の流れが美しい」と評価された。

そもそもこの絵は規則のない世界への解放を描こうとしたものだ。中学時代、区立の中学へ通学していた僕は規則を破るのを嫌っていた。 規則といっても些細なものまで含めての話で、無論違反者も少なからずいたが、僕は規則に堅固に従うことを好んだ。

そして今、規則のない世界に僕はいる。そこで、これまでの規則というガラス瓶から自分を出そうとした。もっとも、今でも僕は規則、規律というものを軽んじるつもりはない。 自らを律する道義、規律というものは社会の中で常に意識しなければならない。ここでの「解放」とは、別の世界への入り口を開くことであり、決してRuleの存在を否定するものではない。

そしてもう一つ、この絵を描きながら考えたのが「固執」である。固定観念が強いといわれる自分を、ガラス瓶の枠から解き放ち、広い視野を持ちたいと思う。 もちろん自己主張は続け、時には頑固になることもあるだろうが、他者を受け入れられる寛大な心、広大な視野をもてたならと考えた。

--製作ノートより